ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイパー」の意味・わかりやすい解説
カイパー
Kuiper, Gerard Peter
[没]1973.12.23. メキシコ,メキシコシティー
オランダ生まれのアメリカ合衆国の天文学者。本名 Gerrit Pieter Kuiper。太陽系に関する発見と理論で知られる。1927年にライデン大学を卒業し,1933年同大学院で博士号を取得。同 1933年アメリカ合衆国へ移住し,1937年に帰化した。1936年からシカゴ大学のヤーキズ天文台に勤務。ヤーキズ天文台とマクドナルド天文台の台長を 1947~49年,1957~60年務めた。1960年アリゾナ大学に月惑星研究所を創設。1944年土星の衛星チタンの周囲にメタンの大気が存在することを確認した。1947年火星の大気の主成分は二酸化炭素であること,また土星の環は氷の粒子で形成されていることを予測し,いずれも正しいことが示された。1948年天王星の第5衛星ミランダを,1949年海王星の第2衛星ネレイドを発見。1950年冥王星の視直径の信頼できる値を初めて測定した。1956年火星の極冠は従来想定されていた二酸化炭素ではなく,氷結した水で形成されていることを証明した。1951年太陽系の起源について,太陽のまわりで大きなガスの雲が凝縮することにより惑星が形成されたという強力な理論を提唱し,また太陽から 30~50天文単位(AU)の距離のところで円盤状の帯を形成し周回している無数の彗星の存在を示唆した。この彗星の帯の存在は 1990年代に立証され,カイパーベルトと名づけられた。その功績はカイパー空中天文台(1974)に名を残し,月,水星,火星にもカイパーにちなんで命名されたクレータがある。
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