だって(読み)ダッテ

デジタル大辞泉 「だって」の意味・読み・例文・類語

だって[接]

[接]助詞「だって」の接続詞化したもの》相手に反論したり、相手の反対を予想しつつ理由言い訳を述べる場合に用いる。そうはいっても。でも。なぜかというと。「とても間に合いません。だって人手が足りません」
[類語]しかしだがところがけれどもけれどだけどだけれどもされどそれでもでもしかしながら然るに然れどももっともさりとてそれなのにそのくせ言い条かと言ってとは言えとは言うもののにもかかわらず

だって[接助・係助・終助]

[接助]接続助詞「たって」が、ガ・ナ・バ・マ行の五段活用動詞の連用形に付く場合の形》「たって」に同じ。「ここなら泳いだってかまわない」
[係助]《断定の助動詞「だ」に係助詞「とて」の付いた「だとて」の音変化という》名詞副詞、一部の助詞に付く。「でも」に似るが、語調がより強い。
ある事柄を例示し、それが他と同類、または、同様であるという意を表す。…もやはり。…でも。「鯨だって人間の仲間だ」「ここからだって見える」
いくつかの事柄を並べて例示し、すべてが同類であるという意を表す。「水銀だってだって公害のもとだ」「野球だってテニスだってうまい」
疑問・不定を表す語、または、数量・程度を表す語に付いて、例外なくそうである意を表す。…でも。…も。「だれだって知っている」「一度だって姿を見せない」
[終助]《係助詞「だって」の文末用法から》引用句に付く。相手の言葉に対して、非難・驚きの気持ちを込めて強調する意を表す。「欲しいくせに、いらないだってさ」「なぜ休んだかだって病気だよ」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「だって」の意味・読み・例文・類語

だって

  1. [ 1 ] ( 助動詞「だ」に助詞「とて」の付いた「だとて」が変化したもの ) 体言または体言に格助詞の付いたものをうけ、副助詞的に、くだけた話しことばとして用いる。…でも。
    1. [初出の実例]「あの人だってそれ程の事の出来ねへ風でもねへさうだ」(出典:洒落本・富賀川拝見(1782)山本屋の段)
    2. 「借金してだって、衣類(きもの)を質草に為(し)たって」(出典:酒中日記(1902)〈国木田独歩〉五月六日)
  2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙 ( [ 一 ]の自立語化したもの )
    1. 相手のいう事柄などについて、不承知で反論する場合に用いる。そうはいっても。でも。だっても。
      1. [初出の実例]「『吾儕(わたし)の体を〈略〉金にして持って往(い)って、お懸合ひなはいな』『だって、まさか左様(さう)も行くめえぢゃアねえか』」(出典:人情本・春色恋廼染分解(1860‐65)五)
    2. 先行する事柄について、その理由や言いわけを補足する場合に用いる。なぜかというと。
      1. [初出の実例]「だから僕(ぼか)ア議論して遣ったんだ。だって君、失敬ぢゃないか」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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