デジタル大辞泉 「カラー」の意味・読み・例文・類語
カラー(color/colour)
2 映画・テレビ・写真で、被写体の色が現れるもの。「
3 絵の具。「ポスター
4 固有の持ち味。特色。「地域の
5 ダイヤモンドの鑑定指標の一。Dを最高ランクとしてZまでの23段階で評価する。→4C
[類語]色・色彩・色調・
翻訳|collar
服の首回りに装飾、防寒、防塵(ぼうじん)などの目的でつけられるもの。また、装飾、記章、所属の印などとしてつけられるネックレスや鎖のこと。現在では衣服のデザインのポイントの一つとなっている。語源はラテン語の首に巻く布の意のcollāreがアングロフレンチ語のcolerなどを経て、英語となった。カラーは英語からの外来語で、すでに日本語として定着しているが、和服と洋服の構成上の相異から、和装における衿(えり)と同一の概念でとらえることはできない。古代エジプトの取り外しのできる幅広のネックレス形のもの、サクソン人が奴隷の目印として用いた鉄製の輪、中世以後の宝石を飾った帯状のものなどもカラーとよばれる。しかし、中世初期以前はこのような首に巻くものはあったが、服には襟はなかった。
その後、身頃(みごろ)から裁ち出した襟がゲルマン人の防寒服にみられるが、13、14世紀には身頃とは別裁ちの狭い帯状の立ち襟へと発展し、14、15世紀には襟先が外側へすこし折り返るハイカラーとなる。16世紀に立ち襟に小さなひだがつけられ、カラー・バンドとよばれるようになった。これがひだ付き飾り襟、すなわちラフの始まりである。このひだはしだいに幅広く、大形化して多種多様化し、16、17世紀には男女の服の一大特色となった。リンネル、モスリン、レースをS字形に裁断し、専用のこてで放射状にひだをつけて糊(のり)で固めたものであったが、食事時に便利なように、前を開いて後方部を扇状に立たせたホイスクというカラーが現れた。女子のカラーとしては、ファン・カラー、エリザベザン・カラー、メディチ・カラーなどがあり、どれもレース製であった。
17世紀に入ると、ひだ襟が下へ垂れ下がったフォーリング・バンドが現れた。首から肩にかけて体にフィットしたもので、ルイ13世カラー、バンダイク・カラー、シェークスピア・カラーの別称がある。シャツの襟はラバという小さな折り襟で、クラバットとともに18世紀まで愛用された。18世紀に男子服の上着にラペルが現れ、フランス革命後から19世紀初頭にかけて、シャツのハイカラーにあごが埋まるほどクラバットを巻き付けた。その後18世紀の後半には、細いスタンド・カラーに取り外しのできる襟のついたシャツが現れたが、台襟がより高く、折り返し部分が大きくなるにつれ、のちにはネクタイになる細い飾りバンドが襟元に結ばれるようになった。
一方、女子の服は、18世紀前半には襟ぐりが大きく、細いフリルをつける程度であったが、1850~1870年代のクリノリンの時代にレースや絹製のケープ風の襟が復活した。19世紀末期、バッスルが流行したが、このころには男子服のシャツやテーラード・スーツが取り入れられ、以後男女ともに各種のバリエーションをみせながら今日に至っている。
[田村芳子]
カラーの名称はその形、仕立て方、着方、固有名詞などにちなんでつけられているが、構造から分けると次のようになろう。
〔1〕襟ぐりから首に沿って垂直に立った、いわゆるスタンド・カラーのたぐい。チャイニーズ(マンダリン)・カラー、学生服などの詰め襟、礼服用シャツなどの、襟先だけを折り返したシングル・カラー、シングル・カラーで高さのあるハイ・カラー、あごが埋まるほど高く、じょうご形に開いているチン・カラー、カトリックの司祭の服にみられるローマン・カラー、スタンド・カラーでも首から離れているスタンド・アウェイ・カラーなどが含まれる。
〔2〕首に沿ってすこし立ったところで折り返るロール・カラーのたぐい。セーターなどにみるタートル・ネック・カラー(徳利(とくり)襟)、後方だけ折り山がはっきりしているシャツ・カラー、明き止まりが首の付け根より低い位置にあるショール・カラー、後ろでは襟腰が高く、前の打合せでも襟腰がいくぶんあり、第1ボタンを外すと開襟になるステン・カラー、テーラード・カラーのようにみえながら、ラペルのボタンをかけるとシャツ・カラーのようにみえるスポーツ・カラー、男子の上着や女子のスーツの上着に多用される、刻みのあるテーラード・カラー、羽織の襟のように服の裾(すそ)まで折り返したタキシード・カラーなどが含まれる。
〔3〕襟腰がほとんどなく、襟ぐりに沿ってすぐに折り返るフラット・カラーのたぐい。襟幅5~8センチメートルで襟先の丸い、子供服に用いられるピーターパン・カラー、水兵服やセーラー服のセーラー(ミディ)・カラー、ケープ風に肩を覆うケープ・カラー、イートン・カレッジの制服のシャツの襟である、糊で固めるイートン・カラー、襟ぐりにフリルをつけたフリル・カラーなどが含まれる。
〔4〕台襟があり折返し線がはっきりしているフォールド・カラーのたぐい。ワイシャツのスタンド・アンド・フォール・カラー、ラペルの部分が前身頃から裁ち出しになっているオープン・カラー(開襟)、後方は首に沿い、前方が外側に折り返るウイング・カラーなどが含まれる。
このほか、身頃に縫い付けられているアタッチド・カラー、取り外しのきくデタッチャブル・カラーに分けることもできる。前者には〔1〕~〔4〕までのもののほか、二枚重ねのダブル・カラー、ネクタイ風に結ぶスカーフ・タイ・カラー、襟の先がそのまま長く伸びたのをリボン風に結ぶタイ・カラーなどがある。後者には、いろいろな服に取り付け可能なセパレート・カラー、予備用のスペア・カラーなどがある。布のほか、毛皮、革、レース、毛糸などの替え襟もある。
[田村芳子]
『服装文化協会編『増補版服飾大百科事典』(1976・文化出版局)』▽『ジェームズ・レーヴァー著、飯田晴康監修、中川晃訳『西洋服装史』(1973・洋販出版)』▽『江森京子著『衿・作図と縫い方の秘訣』(1979・文化出版局)』
スイスの有機化学者。スイス人を両親としてモスクワに生まれ、3歳のときから母国で育った。チューリヒ大学に学び、ウェルナーの助手を務め、1911年、錯塩の研究で学位を得た。1913年フランクフルト・アム・マインに赴き、エールリヒのもとで有機ヒ素化合物について研究、1918年チューリヒに帰り、翌1919年母校の教授となり、ウェルナーの後を継ぎ1959年引退までその地位にあった。初期の多糖類、植物色素の研究を含めて数多く(640編)の業績のうち、重要なのはビタミンAが構造上カロチノイドに類似していることを発見し、これを合成したことである。ビタミンB2やEをも合成した。これによって1937年ノーベル化学賞をイギリスの有機化学者ハウアースとともに受けた。受賞のきっかけは、アスコルビン酸(ビタミンC)を発見したハンガリーの生化学者セント・ジェルジーがその構造の解明をハウアースとカラーに委嘱した国際的協力にあった。
[都築洋次郎]
サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の球根または塊茎をもつ多年草で、和名はカイウ(海芋)という。南アフリカ原産で、比較的寒さに弱い。園芸的には春植え球根草として扱う。オランダカイウZ. aethiopica Spr.は性質が強く、水湿地によく育ち、花茎は約1メートル。白色の包葉が漏斗(ろうと)状に広がり、花期は初夏、葉は緑色。シキザキカイウは、草丈はやや低く、四季咲き性で耐寒性が強く、暖地では冬季でも戸外で生育し、開花する。キバナカイウは、花は黄色で葉には白色の斑紋(はんもん)があり、初夏に開花。シラホシカイウは葉に白色の斑紋があり、畑地向きの球根で、夏の一季咲き性。モモイロカイウは矮性(わいせい)で、花は紅と白桃の分離あり、葉は緑色で初夏に開花。トロピカリスは、花色は黄、桃、杏(あんず)色と変化に富み、葉には白色の斑紋があり、一季咲き性で初夏に開花。
[吉次千敏 2022年1月21日]
秋に掘り上げず戸外で越冬させることもできる。増殖肥大させるには掘り上げて球根を消毒し、乾燥しすぎないようにして貯蔵し、春に定植すれば初夏から開花する。
[吉次千敏 2022年1月21日]
モスクワ生まれのスイスの有機化学者.チューリヒ大学のA. Werner(ウェルナー)に学び,1912年講義助手となる.1913年化学療法研究所のP. Ehrlich(エールリヒ)のもとで,有機ヒ素化合物を研究,銀サルバルサン塩を発見した.1919年Wernerを継いでチューリヒ大学化学教授となり,糖類および多糖類,デンプン,セルロース,リケナン,タンニン,レシチンおよびアミノ酸を研究する.1926年からは植物色素の研究に転じ,カロテノイドの構造研究に努める.カロテンがビタミンAの前駆物質であることを示し,1931年ビタミンAの構造を決定した.また,各種ビタミン類を研究し,1935年イギリスのR.J. Kuhn(クーン)と同時にリボフラビン,ビタミンAを合成した.1928年刊行の有機化学の教科書は各国語に訳され標準的なものとなる.これらの研究によって,1937年イギリスのS.W.N. Haworth(ハース)とともにノーベル化学賞を受賞した.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
サトイモ科のオランダカイウ属を総称して園芸的にはカラーと呼んでいるが,ヒメカイウ属Callaとは異なる。南アフリカに約8種が分布し,発達した地下茎をもつ。葉は矢じり形で根出し,花茎は直立し葉より長く,先端に1花序をつけ,花弁状に着色した仏焰苞(ぶつえんほう)にその下部は包まれる。オランダカイウZ.aethiopica Spreng.は,江戸末期にオランダ船が持ちこんだのでこの名がある。5月に咲く白色の仏焰苞は大きく,芳香もあり,切花として普及している。単にカラーといえば本種をさすことが多い。湿地性。キバナカイウZ.elliottiana Engl.(英名golden calla lily,yellow calla lily)は仏焰苞が黄色で,葉には白色小斑点が入る。濃黄色で花立ちのよい園芸品種のサンライトcv.Sunlightが普及している。畑地用種で,排水のよい土地を好み,夏の高温を嫌う。鉢物向き。ほかに葉に白色斑点が入るザンテデスキア・アルボマクラータZ.albomaculata Baill.,苞が淡紅色のモモイロカイウZ.rehmannii Engl.などがある。また最近は種間雑種による品種改良も進んでいる。
執筆者:高林 成年
スイスの有機化学者。モスクワ生れ。チューリヒ大学で学び,1912年同大学のA.ウェルナーの助手となり,P.エールリヒに師事したのち,19年ウェルナーのあとを継ぎ教授。天然物,とくに炭水化物とビタミンの研究で成果をあげた。カロチノイドの構造を明らかにし,ビタミンAを分離して構造決定した。35年,R.J.クーンと同時期にビタミンA,B2の合成に成功し,37年,イギリスの天然物学者W.N.ハースとともにノーベル化学賞を受けた。以来,天然物の重要成分の構造を明らかにして,それを合成することは当時の有機化学の主流となった。彼の《有機化学教科書》(1930)は世界的に広く用いられた。
執筆者:渡辺 健一
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