古生代最初の紀で,今から約5億9000万年前から5億0500万年前までの,およそ8500万年の期間をいう。イギリスのカンブリア地方(ウェールズ地方の古名)に分布する地層にちなんで,1835年にA.セジウィックが命名した。
先カンブリア時代からは,殻や甲殻のような硬組織をもつ海生無脊椎動物の出現によって区別される。次のオルドビス紀とともに,三葉虫類が最もよく栄えた時代であり,紀の細分や古地理学的区分には,しばしば三葉虫群の特徴が使用される。
カンブリア紀の生物は,この時すでに大多数の綱classが出そろっている。カンブリア紀前期には古杯類という海綿類に近似の群体性動物が栄え,一種の単純礁を形成した。古杯類は以後まったく発見されていない。
中期の地層で,カナダのアルバータ地方のロッキー山中に露出するバージェスケツ岩からは,70属130種以上の化石群(バージェス動物群)が発見されているが,多くは付属肢や軟体部など微細な構造を残しており,系統上重要な情報を提供している。
カンブリア紀は,主として三葉虫群の特徴により前,中,後の3期に分けられる。前期をオレネリアンOllenellian,中期をパラドキシディアンParadoxidian,後期をオレニディアンOlenidianと呼び,ヨーロッパで典型的に発達している。中国などアジアではレドリキアRedlichiaが前期を,ブラックウェルデリアBlackwelderiaが中期を,それぞれ特徴づける。この時代の地層は日本からは未発見である。
→地質時代
執筆者:浜田 隆士
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…現在でも海は非常に多くの生物種が生活している場所である。海産のおもな動物群は,古生代の初め(カンブリア紀)にそのほとんどが出現しており,魚類は少しおくれて,オルドビス紀に原始的な甲冑魚として出現する。陸の生物が海から移りすむのは,その後のシルル紀である。…
…高原にはカール,U字谷などの氷河地形が刻まれ,牧羊・牧牛地帯となっている。古生代の最初のカンブリア紀の名称はこの山地名に由来する。【長谷川 孝治】。…
※「カンブリア紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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