バイアス(その他表記)bias

翻訳|bias

デジタル大辞泉 「バイアス」の意味・読み・例文・類語

バイアス(bias)

織物の布目に対して斜めであること。また、それに沿って裁った布地。バイヤス。「生地をバイアスに使う」
バイアステープ」の略。
真空管トランジスターを適切に作動させるため、その端子間に加える直流電圧。バイヤス。

社会調査で、回答に偏りを生じさせる要因となるもの。質問文の用語や質問の態度などについていう。
先入観。偏見。
[類語]先入観先入主先入見僻目ひがめ贔屓目ひいきめ欲目固定観念偏る不公平不平等偏する僻する偏向偏見偏在偏重偏頗へんぱ差別片手落ちアンフェア

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精選版 日本国語大辞典 「バイアス」の意味・読み・例文・類語

バイアス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] bias )
  2. 布地を、布目に対して斜めに裁つこと。また、その布。
    1. [初出の実例]「胸元にバイヤスを使ったドレス」(出典:がらくた博物館(1975)〈大庭みな子〉犬屋敷の女)
  3. バイアステープ」の略。
  4. 真空管、トランジスタなどの素子を適切な動作状態にするために、それらの素子の各端子間に加える直流電圧
  5. 先入観。偏見。また、物事の傾向の偏り。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイアス」の意味・わかりやすい解説

バイアス
ばいあす
bias

増幅回路変調回路などに用いる電子管やトランジスタに動作の基準を定めるため、制御電極に定常的に加える直流電圧。バイアス電圧は電子管やトランジスタなどに入力信号がないときの安定値となる。この値を電子管の陽極電流またはトランジスタのコレクタ電流が最大電流の半分程度流れる点に設定するのをA級増幅、電流が流れ始める点に設定するのをB級増幅、全然電流が流れない点に設定するのをC級増幅といい、増幅しようとする信号の大小、必要とする出力の大きさ、波形ひずみの許容の程度、あるいは入力が搬送波であるか被変調波であるかによって、適した級のバイアス値を選択する。バイアス電圧は電子管では制御格子に負の電圧として与える。トランジスタでは種類によってコレクタに加える電圧の極性が異なるが、コレクタに加えた極性と同じ極性のバイアス電圧を与える。

 テープレコーダーではひずみや雑音の少ない録音を行うために録音ヘッドに可聴周波数より高い高周波をつねに加えておくが、これはテープの励磁の度合いを一定にして録音の安定化を図るものであり、高周波バイアスとよばれている。テレビ撮像管では被写体の像に重ねて一定の光で光電面を照らす場合があり、これをバイアス光とよんでいる。

[石島 巖]

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改訂新版 世界大百科事典 「バイアス」の意味・わかりやすい解説

バイアス
bias

あらかじめ電圧をかけたり,電流を流したりしておくことによって,動作にかたよりをもたせること。電流を流してそれに対応する音を発生するスピーカーの場合,音声電流で直接電磁石を動作させると,電流の極性にかかわりなくその大きさに応じて鉄片などを引きつける力が決まってしまう。これでは,例えば1kHzの音声電流を流すと,音声電流が正のときも負のときもそのピークで引力も最大となって2kHzの音が出てしまう。これに対し,音声電流に直流バイアスをかけてやると,音声電流の極性に応じて,バイアス電流による引力を強めたり弱めたりすることになって目的を達する。増幅器の動作点を決めるバイアスのかけ方には多くの方法があり,入力交流信号の極性にかかわらずほぼ忠実に波形を増幅するには,入力バイアスは,ダイナミックレンジのほぼ中央にするA級がよく,逆に波形は乱れてもさしつかえない場合にはダイナミックレンジをはずした深いC級バイアスとして電力効率の高いパルス状増幅が用いられることもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイアス」の意味・わかりやすい解説

バイアス
bias

調査結果における誤差のうち一定の傾向を持った誤差のことをいう。たとえば収入を調査する場合,回答の秘密が保持される保証がないと,税務当局に収入を知られ,税金を課せられることを意識して収入を過少に回答する傾向が出てくる。このようなバイアスの存在に気付かずに,結果をそのまま受け取ると,実態の把握という調査目的にかえってマイナスとなるので,十分な注意が必要である。またバイアスは,問いの文面が中立的な表現でない場合などにも起こりうる。数理統計においてのバイアスとは,不偏推定量 (推定量の平均値と真の値とが一致するもの) ではない場合の推定量の平均値と,真の値との差のことをいう。

バイアス
bias

回路に信号を与えて動作させるとき,基準になる点を決めるための電圧を与えておくこと。信号電圧に一定の直流または交流の電圧を加えたりする。真空管のグリッドに加えるものをグリッドバイアスという。トランジスタに関してはベースに加えられ,それぞれの特性曲線での希望する点付近で動作させるために用いられる。この電圧を独立な電源から与えるものを固定バイアス,回路自身の動作電流を利用してつくるものを自己バイアスという。磁気録音ではその特性を改善するため交流バイアスを用いる。

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流通用語辞典 「バイアス」の解説

バイアス【bias】

調査に起きるさまざまな偏りのこと。有意抽出法では、調査員が「親切そうな人」を対象者に選びやすいとか、郵送調査法では、調査テーマに関心のない人や筆無精の人が脱落しやすい、といったバイアスがある。そのほか、女性の年齢は低めに答えられやすい、借金や商店の売上も少なめに答えられやすい、商品の選択理由としてはデザインや価格よりも品質をあげがちである、といった回答内容についてのバイアスがある。調査実施にあたっては、このようなバイアスの発生を極力抑える必要があることは当然であるが、調査結果の活用においてもバイアスの存在する可能性を考慮しておく必要がある。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「バイアス」の解説

バイアス

トランジスタなどのハードウェアの部品に、機能上必要な直流電流をあらかじめ流しておくこと。

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栄養・生化学辞典 「バイアス」の解説

バイアス

 偏りともいう.種々の意味に使われるが統計的には分布の偏り.

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