プランク定数(読み)プランクテイスウ(その他表記)Planck's constant

デジタル大辞泉 「プランク定数」の意味・読み・例文・類語

プランク‐ていすう【プランク定数】

量子力学における基本定数記号hで表し、h=6.62607015×1034J・s(ジュール秒)。これを円周率の2倍(2π)で割ったものを換算プランク定数またはディラック定数とよび、記号ħで表すことが多い。1900年、プランクの放射法則を説明するために導入
[補説]2019年5月20日に施行された国際単位系SI)の改定において、プランク定数は不確かさのない物理定数となり、質量単位であるキログラム定義に用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プランク定数」の意味・わかりやすい解説

プランク定数
ぷらんくていすう
Planck's constant

量子力学的な現象を特徴づける普遍定数。ドイツの物理学者プランクが熱放射の研究のなかで1900年に発見した。hで表す。その値は現在では
  h=6.62606896×10-34J・s
とされる。hを2πで割ったħを用いることも多い。プランクは、光と熱平衡にある荷電振動子(振動数ν)を考え、これは光をエネルギー量子hνずつ放出・吸収するとしたが、その物理的理由は明らかにできなかった。アインシュタインは、νを光の振動数としhνを1個の光量子のエネルギーとしてとらえ(1905)、これが運動量hν/cを担うとした。この考えを物質粒子にまで広げ、粒子と波動の二重性を一般的にエネルギーEと振動数の関係Ehνおよび運動量pと波長λの関係ph/λとしてとらえる端緒をつくったのはフランスのド・ブローイである(1923)。不確定性原理も、この二重性の帰結と考えることができる。量子力学が完成したとき(1926)、これらはすべて次の二つの基本方程式から導かれるものとなった。すなわち、運動量の演算子と座標の演算子の間の正準交換関係
  ih/(2π)
および任意の力学量Âが時間tとともに変化する方法を定めるハイゼンベルク運動方程式
  dÂ(t)/dt=(2πi/h)[ĤÂ-ÂĤ]
から導かれる。Ĥは系のエネルギーの演算子である。

[江沢 洋]

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百科事典マイペディア 「プランク定数」の意味・わかりやすい解説

プランク定数【プランクていすう】

量子理論で基本的意味をもつ普遍定数で,hで表される。h=6.6260755×10(-/)34ジュール・秒。1900年M.プランクが導入。その次元は,エネルギー×時間,または運動量×長さをもち,作用量の次元と同じであるので,hを作用量子ともいう。原子内の電子のエネルギーは10(-/)17ジュール程度で公転時間は10(-/)16秒程度であるから,その積10(-/)33ジュール・秒は h程度となり,このような世界は量子力学によって記述されなければならない。ただし,作用量が hにくらべてはるかに大きければ,これは古典力学で扱ってもよい。
→関連項目光子スピン相補性定数普遍定数量子量子条件量子論

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改訂新版 世界大百科事典 「プランク定数」の意味・わかりやすい解説

プランク定数 (プランクていすう)
Planck's constant

物理学における普遍定数の一つで,不確定性原理に含まれて量子力学の領域を特徴づける。hで表され,その値は,

 h=6.626176×10⁻34J・s

である。その次元(エネルギー)×(時間)は,また(運動量)×(長さ)などとも書け,一般に作用の次元と呼ばれるので,hを作用量子ともいう。原子内の電子のエネルギーEは10⁻17Jの程度で公転時間tは10⁻16sの程度だから,その積Ethの程度になる。気体分子の運動量pは室温でp~10⁻24kg・m/sの程度であり,衝突は分子間の距離r~10⁻10mで起こる。これらの積prhの程度なので,分子の衝突は量子力学の領域に属する。しかし分子の平均自由行路Lは室温・1気圧でL~10⁻3mであり,pLhなので分子の自由運動は古典物理で扱ってもよい。プランク定数はプランクの放射則の発見(1901)のとき導入された。なお,プランク定数hを2πで割ったものが用いられることも多く,これはħの記号で示される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プランク定数」の意味・わかりやすい解説

プランク定数
プランクていすう
Planck's constant

量子論を特徴づける基本的な普遍定数。記号は h

h=6.62607015×10-34J・s

ℏ=h/2πをディラック定数と呼ぶことがある。h は 1900年マックス・プランク黒体放射のスペクトル分布を説明するために導入した。量子現象に特有なエネルギーや角運動量の不連続性は h が 0でない値をもつためであって,h→0の極限で量子力学は古典力学へ移行する。(→原子定数

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化学辞典 第2版 「プランク定数」の解説

プランク定数
プランクテイスウ
Planck constant

量子論における基本的定数.記号h基本物理定数の一つで,もっとも新しい数値は

h = 6.62606896(33)×10-34 J s( = ×10-27 erg s).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

法則の辞典 「プランク定数」の解説

プランク定数【Planck constant】

量子論における基本的定数の一つで,振動数(波数)とエネルギーを換算可能とする.記号は h.2005年現在で最も新しい数値は6.6260755×10-34Jsである.

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世界大百科事典(旧版)内のプランク定数の言及

【量子力学】より

…こうしたψの固有振動は,それぞれ量子力学的粒子のエネルギー確定の運動を表し,それをしている粒子は定常状態にあるといわれる。定常状態のエネルギーはそれぞれの振動数にプランク定数hをかけたhν0,hν1,……であたえられ,系のエネルギー準位とよばれる。たとえば水素原子の電子のエネルギー準位は-13.6eV/n2と書ける(n=1,2,……)。…

※「プランク定数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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