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草本の茎が基部で節間が伸びず,相接して葉が出ると,タンポポのように地表付近で葉を多数叢出するようにみえる。このような葉を根出葉(根生葉)といい,そのような草本の生育型を,バラの花冠に似た形状をしているところからロゼットという。ふつうは,根出葉を出す短い茎から,花茎が長く伸び出し,花茎には根出葉と異なった形態の葉(茎葉という)をつけるが,葉を全然つけない場合もあり,タンポポのように花梗に頭状花をつけるだけという姿のものもある。越年性の長日草では,冬の間は根出葉だけで過ごし,春になると温度や日長などの環境の変化に応じて,それまで伸長しなかった茎の頂端に花芽が誘導されるいわゆる抽だいboltingによって急速に伸長するようになる。頂芽が花芽になると節の分化が乏しくなるか,まったくなくなってしまい,ロゼットの形状はなくなってしまう。
なお一般に生物体における類似の形状の構造をロゼットということがあり,クシクラゲ類の胃水管壁にある繊毛環などがその例である。
執筆者:岩槻 邦男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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短い茎に、扁平(へんぺい)な多数の葉が地面の表面に接して放射状についている状態、あるいはそのような植物体をロゼットという。ロゼットの状態で越冬する植物はロゼット植物とよばれ、タンポポ、ハルジョオン、マツヨイグサなどがある。ロゼット植物には、タンポポのように花序を支える茎だけが春に伸びるものと、ハルジョオンのように春に伸長して花をつける茎の上に、ロゼット状の葉とは別に普通葉をつけるものとがある。
[原 襄]
…両者ともに乾燥度が高くなると,ごくまれに降る雨の後の短い期間に発芽から結実までを終える短命草本ephemeral plantが出現する。寒帯荒原や高山荒原では岩礫(がんれき)地が多く,地衣類や蘚苔(せんたい)類以外ではロゼット植物rosette plantや半球形の団塊植物cushion plantなどの地表性の岩隙植物が多い。【藤田 昇】。…
…草本の茎が基部で節間が伸びず,相接して葉が出ると,タンポポのように地表付近で葉を多数叢出するようにみえる。このような葉を根出葉(根生葉)といい,そのような草本の生育型を,バラの花冠に似た形状をしているところからロゼットという。ふつうは,根出葉を出す短い茎から,花茎が長く伸び出し,花茎には根出葉と異なった形態の葉(茎葉という)をつけるが,葉を全然つけない場合もあり,タンポポのように花梗に頭状花をつけるだけという姿のものもある。…
…邦訳名《美術様式論》)である。リーグルは,ロータス花文を正面形(ロゼット),側面形,半側面形に分類し,さらに側面,半側面形では渦巻形の萼(がく),地間充塡(じゆうてん)の栓形(せんけい),葉状扇形花弁などの抽象的形式に分析して,その組合せによる花形の展開を述べている。しかしこの場合,〈萼〉〈花弁〉といっても,これはあくまで文様の構成を解説する形式語であることに注意しなければならない。…
…古代エジプトのスイレンを起源とするロータス文様が,古くメソポタミア,ギリシア,イランなどで愛用された。蓮華文には正面型と側面型とがあり,正面型は満開の花を真上から見た形で,花弁が放射状にならんで円をつくり,ロゼットとも呼ばれる。側面型は蓮弁文ともいい,何枚かの花弁を扇状に開かせて全体として釣鐘型をなし,パルメット文様の原型とされる。…
※「ロゼット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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