(読み)はしら

精選版 日本国語大辞典 「柱」の意味・読み・例文・類語

はしら【柱】

[1] 〘名〙
① 建築物または橋・門・鳥居・その他の工作物で、直立して上部の荷重を支える細長い材。支柱。
※書紀(720)仁徳元年正月(前田本訓)「桷(はへき)、梁(うつはり)、柱(ハシラ)、楹(うたち)、藻飾(ゑかきかさ)らず」
※源氏(1001‐14頃)賢木「かめにささせて、ひさしのはしらのもとにおしやらせ給ひつ」
② 帆柱・電柱など、直立して物を支え持つ材。支柱。
※蜻蛉(974頃)上「丁のはしらにゆひつけたりし小弓の矢とりて」
③ 神霊の依代(よりしろ)として立てる柱、または墓碑、標柱など、物を支持する目的をもたない細長く直立した材。
古事記(712)上「其の島に天降り坐して、天の御柱(みはしら)を見立て」
④ 柱状に、細長く、直立したもの。また、柱のように支持の用をなすもの。特に、「貝柱」をさしていう場合もある。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九「舌黒み鼻の梁(柱)欹(たふ)れ」
※康頼本草(1379‐91頃)本草虫魚部上品集「海蛤 味苦鹹平无毒。不抅時採之。和波末久利乃波之良」
⑤ 国・家・その他の団体や集合体で、中心となってそれを支える人を、たとえていう。たよりとなる人。大黒柱。支柱。
※平家(13C前)五「ひらやなるむねもりいかにさわぐらむはしらとたのむすけをおとして」
⑥ 全体の支えとなる物事をたとえていう。中心となる重要な物事。支柱となる物事。「日本文化の柱」
※俳諧・曠野(1689)八「摂待のはしら見たてん松の陰〈釣雪〉」
洋装本の欄外にある見出し。書名、章名、主要項目などの書かれることが多い。
※金紅樹の秘密(1955)〈城昌幸〉五「その本文の欄外に刷ってある、ハシラを読んで」
⑧ 和装本の各丁(ページ)の折り目に当たる所。【 】または 内に書名・巻数・丁数などが書かれる。版心。目。
⑨ 粥の中に入れる餠。
⑩ 「はなばしら(鼻柱)③」の略。
[2] 〘接尾〙 神仏、または高貴な人を数えるのに用いる語。現代では、神格にだけ用いる。
※古事記(712)上「此三柱(はしら)の神は」

ちゅう【柱】

〘名〙
① はしら。〔植学訳筌(1874)〕 〔史記‐刺客伝〕
② 琴や琵琶(びわ)の弦をささえ、音を調えるもの。→じゅう(柱)。〔書言字考節用集(1717)〕 〔梁簡文帝‐箏賦〕
③ 数学で、柱面または柱体のこと。

【柱】

〘名〙 弦楽器の部分品の名。弦を乗せる役目のほか、動かして振動する弦の長さを調節し、発せられた音を胴体に伝える役目をする。琵琶では、「ちゅう」または「じゅう」という。
※玉葉‐嘉応二年(1170)閏四月二〇日「返上御琵琶於内、付直柱、又懸改緒也」

じゅう ヂュウ【柱】

〘名〙 琵琶の棹の上に付けてその上または際(きわ)を指で押えて音の高さを変えるもの。じゅ。
※胡琴教録(13C初)上「ちうさすては、つねににぎるやうに見すべきなり」

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デジタル大辞泉 「柱」の意味・読み・例文・類語

はしら【柱】

[名]
地面・礎石・土台の上に垂直に立て、屋根・はり・床など上部の荷重を支える材。
縦に長く1の形状をしたもの。「火のが立つ」「水
グループの中心となる人。頼りとなる者。「一家の」「チームの
物事全体の中心となるもの。「賃上げに要求を決定する」
書物の欄外にある見出し。
貝柱」の略。
[接尾]助数詞。神仏、高貴な人、または遺骨などを数えるのに用いる。「二の神」「五の英霊」
[下接語]国の柱・しんの柱つえ(ばしら)け込み柱恵比須えびす縁柱押さえ柱男柱おも親柱貝柱かく片蓋かたふたかど蚊柱かゆがわ柱・狂言柱くだ後見柱逆木さかぎさか支え柱仕手して四天柱四本柱霜柱しん真柱すけ添え柱そで大黒柱大臣柱茶柱つか電信柱通し柱床柱中柱橋柱鼻柱控え柱人柱火柱笛柱帆柱丸木柱丸柱水柱宮柱目付めつけ面皮めんかわもんわき(ぱしら)鼻っ柱
[類語]1支柱大黒柱床柱/(3)(4中心しゅじくかなめ中軸枢軸主軸主体主力基幹根幹中枢中核基軸要石かなめいし大本おおもと根本基盤大根おおねキーストーン

ちゅう【柱】[漢字項目]

[音]チュウ(慣) [訓]はしら
学習漢字]3年
〈チュウ〉
はしら。「円柱角柱支柱石柱鉄柱電柱氷柱ひょうちゅう門柱
支えとなるもの。「柱石脊柱せきちゅう
〈はしら(ばしら)〉「柱時計貝柱床柱火柱帆柱大黒柱
[難読]琴柱ことじ天柱ちりけ氷柱つらら

じ〔ぢ〕【柱】

弦楽器の部分品の名。弦を乗せ、その位置によって振動する弦の長さを調節し、また音を胴に伝えるもの。→琴柱ことじ
琵琶じゅうのこと。

ちゅう【柱】

琴柱ことじ
数学で、柱面または柱体のこと。「三角

じゅう〔ヂユウ〕【柱】

琵琶の部分名称。胴の上部の細いくびの部分につけられた数個のフレット。弦を支え、左手でその上を押さえて調音する。ちゅう。じ。

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改訂新版 世界大百科事典 「柱」の意味・わかりやすい解説

柱 (はしら)

建築や土木構造物において,上部の荷重を支えるために設けられる垂直部材。荷重を支えない場合も,同様の形状をもつ記念柱,円柱などは柱の一種と考えられる。

日本建築では,二階建ての場合など構造上,一,二階を1本で通す通(とおし)柱と,一階と二階を別々に立てる管(くだ)柱とに区別する。また柱と柱の間で,壁下地を取り付けるために立てた小柱を間(ま)柱という。使用する場所によって名称が異なり,外回りの側(かわ)柱と,それより1間内側の入側(いりかわ)柱,身舎(母屋)(もや)・庇(ひさし)の別があるときはそれぞれ身舎(母屋)柱・庇柱,そのほか裳階(もこし)柱,向拝柱,門や塀における本柱と控柱などといい,同じ側柱でも隅柱とそれ以外の平柱を区別する。さらに建物の種類により,仏堂では外陣柱と内陣柱,仏壇後ろの来迎柱,塔では入側柱に相当する四天柱,相輪を支持する心柱(檫),書院や民家における床の間の床柱,民家の中心的位置にある大黒柱,さらに特殊なものとして神社本殿で,神明造の妻側に離れて立つ棟持(むなもち)柱や,大社造の中心にあるうず柱などの名称がある。

 断面の形状をみると,円柱と方柱のほか六角柱,八角柱,長方形の鏡柱や片蓋(かたぶた)柱,角に自然の丸みを残した面皮(めんかわ)柱などがある。円柱は飛鳥・奈良時代には下方が膨らんでおり,これをエンタシス(胴張り)という。鎌倉時代に伝来した禅宗様(唐様(からよう))や大仏様(天竺様)の建築では,粽といって上下を急に(禅宗様)あるいは,上方を緩やかに(大仏様)細める手法が用いられた。円柱は角材の角(かど)を落として八角にし,さらに十六角,三十二角と順次丸く仕上げていくが,室町時代以降は床下などに隠れる部分を八角のまま使用するようになる。江戸時代には縦に溝を付けた胡麻殻決り(ごまがらじやくり)の円柱もある。方柱は平安時代以降,角を落として面(めん)をとるが,そのとり方は時代が下ると小さくなり,平安時代は5分の1前後(片方の面の見付の寸法を柱幅で除した割合)であったものが,江戸時代では約12分の1ないし20分の1前後となる。これを切(きり)面というが,そのほかに桃山から江戸時代には唐戸(からと)面(直線ではなく丸い面で,両端に決りが付く)をとるものが現れ,さらに几帳(きちよう)面(唐戸面の丸い面を直線で尖らせたもの)へと進む。六角柱,八角柱はそれぞれ六角円堂,八角円堂に用いられる。鏡柱は薬医門や高麗門の本柱に用いられ,片蓋柱は方柱を二つに割ったもので,壁面など片面にだけ必要な所に使われる。面皮柱は茶室,数寄屋建築,民家などに用いられる。

 柱の立て方については,日本古来の手法は掘立てであったが,飛鳥時代に寺院建築とともに礎石立ての手法が伝わり,それ以来掘立柱は特殊な場合にしか使われなくなる。禅宗様では礎石の上に石製または木製の礎盤を置いて立てる手法がとられた。建築工事で柱を立てるときは,最初に最も重要な柱を立て,これに御幣を付して神をまつる立柱式を行う。伊勢神宮正殿の床下中央に立てる柱は,心御柱(しんのみはしら)として神聖視されるが,これは梁(はり)にとどかぬ短い柱で,構造部材としての柱ではなく,神籬(ひもろぎ)を象徴するものかと思われる。また塔の心柱は,相輪を支持する建築部材であるとともに,仏舎利をまつるものとして仏を象徴し,塔において最も重要な意味をもつ。
社寺建築構造 →神社建築
執筆者:

壁体によって建築を構築する伝統をはぐくんできた西洋では,柱は特別な荷重支持形式と考えられてきた。アルベルティは1485年に,〈列柱は,多くの個所で穴をあけられ,開かれた壁以外の何物でもない〉とまで述べている。柱はその形状から円柱columnとピアpierに区別されるが,ピアは壁の一部が構造上の必要性から残されたものとする考えが現在もみられる。また,柱の形を壁に浮き出したものはピラスター(付柱)とよぶ。柱は歴史的に柱基base,柱身shaft,柱頭capitalの三つの要素で構成されてきた。

 すでにエジプト建築において,角柱や多角形の柱以外に,アシやハスなどの細い植物を束ねた形式の柱,彫像を組み合わせた柱(オシリス柱,ハトホル柱)など,彫刻的な変化をもつ柱が現れ,以後,柱は建築表現の主要な部分となる。ギリシア・ローマでは,円柱の形状と各部の比例が研究され,オーダーが生み出された。ギリシア建築のオーダーには,柱頭が皿形をしたドリス式,渦巻形装飾(ボリュート)をもつイオニア式,アカンサス葉装飾をもつコリント式の3種があり,ローマではさらに,柱身に縦溝(フルーティング)をもたないが他はドリス式に類似したトスカナ式,そしてイオニア式とコリント式の柱頭を合体させた形状のコンポジット式が加えられた。これらの柱はいずれも上部にいくに従って柱身が細くなる(エンタシス)が,ギリシア以前のクレタやミュケナイの建築にみられる柱は上が太くなる円柱である。またギリシアでは,カリアティード(女像柱),アトランテスatlantes(男像柱),ヘルマイなど,柱と彫像を組み合わせる試みがみられた。小アジアやインドでも,柱頭に動物の姿が刻まれたり縦溝が施されたりし,彫刻が柱身を覆ったりする形式がみられる。

 中世ヨーロッパ建築では,柱は角錐台を倒立させた上ひろがりの柱頭に彫刻を施したものがしばしば用いられ,柱身は柱が支えるアーチボールトの線条と連続したピラスターがまとわりついた簇柱(ぞくちゆう)clustered pierや複合柱compound pierが特徴となった。柱の形状は,上部にいただく架構形式の形状と無関係ではあり得ないのである。この点で,梁や楣(まぐさ)をいただくだけのギリシア・ローマ建築の柱は,独立柱として形態的に完結しており,記念柱に用いられることも多かった(トラヤヌスの記念柱。ローマ,113)。また細長く直立する形態のものは柱を連想させるところから,19世紀には道路標識,郵便ポストなどにいたるまで,歴史的様式による柱の形態を与える例がみられた。

 近代建築の成立とともに,柱の表現は即物的なものとなり,柱基や柱頭の明確でない直方体もしくは円柱形の柱が多用されるようになる。一階を柱だけで支えて地面を開放するピロティの手法に代表されるような,構造支持体としての柱の表現が強まり,鋼材の形状をそのまま柱に用いる等の例も多くみられる。その一方で,柱が壁体による支持形式の対極をなす,象徴的な支持形式であることを意識した造型表現も根強く存在している。
オーダー
執筆者:

柱という語が〈一家の柱〉という比喩や神を数えるときに使われるように,日本では柱は〈中心〉や神の観念に結びついている。日本の旧家屋は田の字型に配列された4部屋を基本単位とするといわれるが,その接し合う中心の柱を〈大黒柱〉や〈中(なか)柱〉などと呼び,神がいるとされた。また伊勢神宮正殿の床下中央にある心御柱は建築構造上の意味をもたぬ柱だが,神の依代(よりしろ)であり神宮の聖なる中心と考えられている。このように中心を象徴し神の依代となる柱の原形は,建築そのものとは無関係な,神事の際に祭場のしるしとして屋外に立てられた木や柱にあろう。柱を立てる神事で有名なのは,6年ごとに社地の四隅に巨大な柱を立てる諏訪神社の〈御柱(おんばしら)祭〉だが,祭場に柱や柱松(柱の上にたいまつを掲げたもの)を立てる神社は信州や東北地方に多い。祭場のしるしとしては,サカキなどの常緑の聖樹を伐って立てるものがより一般的だが,鉾(ほこ)や旗竿,幟(のぼり)なども柱と同じ類と考えられる。

 祭りの場に柱を立てる習俗は世界各地にみられる。ヨーロッパでは5月(春)を迎える祭りのとき,教会や町の広場にメーポールMaypole(五月柱)を立て,まわりを踊る。またインドのベーダにおける供犠では,祭壇に聖なる柱が立てられるが,その柱は聖なる犠牲をつなぐものであると同時に,天と地をつなぐものとされる。この天と地を媒介する性格は,シベリアのシャーマンになる儀礼のときに登る柱に明らかだが,家屋の柱にもみられる。ティモール島のアトニ族の家の天井を支える4本の柱のうち正面左前の柱は,穀物や聖物を保存する聖なる屋根裏につながっており,天と地を結ぶ柱とされる。世界各地のこれらの柱は,宇宙の中心を表す〈宇宙樹(世界樹)〉の変形とみなされているが,その本質は日常的な時空間の中に圧縮された特異な点をつくり出すことにあるといえよう。宇宙樹による中心はそのような点の一つである。柱は諏訪の御柱やメーポールにみられるように,祭りの場という特異な空間を現出し時間を再生する。それはまた,アトニの家屋の柱や大黒柱のように,空間の区切りの交差する点であると同時にそれらを統合する点のしるしとなる。

執筆者:

柱 (じ)

箏,和琴(わごん),瑟(しつ),伽倻琴(かやきん)などのロング・チター属楽器に用いられる可動の木,象牙,骨,あるいはプラスチックでできたをいう。胴の頭部と尾部にある固定の駒(箏では竜角と雲角)のあいだに張られた各弦の下に柱を立て,弦の振動する長さを決定し調弦する。琵琶,月琴などのリュート属楽器に用いられるものは〈ちゅう〉または〈じゅう〉と読み,固定したフレットである。棹の一定部分に刃形あるいは櫛形の木片を固着させ,開放弦の状態では弦から離れているが,必要に応じて弦を柱の上または柱と柱のあいだで強く押して,振動する長さを定める。朝鮮の玄琴(げんきん)はロング・チター属であるが,可動の柱と固定した櫛形のフレットを有する。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「柱」の意味・わかりやすい解説


はしら

屋根や床、梁(はり)などの荷重を支え、基礎に伝える垂直な材。単独に立つ柱を独立柱、壁面と一体になっている柱を壁付き柱という。部材の長さと断面積の割合で、長柱(ちょうちゅう)、短柱(たんちゅう)に区別することもある。

 建築物の構造には組積式と架構式がある。前者は、石造、れんが造、コンクリートブロック造のように壁を主にしてつくられる。後者は、地震や風による外力、あるいは建物自身の重みに対して細長い材を架構して堅牢(けんろう)性を保つ方式である。この架構式で、柱は梁とともに重要な役割を果たしている。日本建築においては、木材が豊富で石材が乏しかったため、建築物は架構式の木造が主流であり、柱のもつ重要性は大きかった。

 現代の日本では、木材の柱が依然として多く用いられているが、資源の枯渇から、従来の日本産スギ、ヒノキのかわりに輸入材の比率が高まっている。鉄骨造やコンクリート造への移行も叫ばれている。

[中村 仁]

民俗

大黒柱は家の中でもっとも尊重され、とくに大きく太いケヤキ材などを使い、正月のマツも餅花(もちばな)もここに飾る風習がある。それは大黒柱が家の中心をなすためで、その意味は主人にも通じて、「大黒柱を失う」などと転用されている。神奈川県では上棟(じょうとう)式を「柱立て」と称し、餅投げに先だって大工の棟梁(とうりょう)が四方の隅の柱に向かってひときわ大きくこしらえた四隅餅を投げたり、静岡県一帯で「柱ほめ」と称して、新築の家への引き移りの祝いに炊く小豆粥(あずきがゆ)を、まず大黒柱から始めて家の柱全部に供えるなどの習俗は、柱を神聖視し、家の神の依(よ)る所とみたためである。なお、四隅餅の中には硬貨を入れ、小豆粥の中には銭や豆ほどの小石を入れておいて、その餅を拾ったり、分配された粥の中に銭や小石が入っていると、運がいいと喜ぶのは、神供(じんく)の分け前であるという心持ちだからである。

 日本の固有信仰では、自然木あるいは清浄な柱をもって神の来臨を仰ぐ習わしがあり、その神事としては長野県諏訪(すわ)大社の御柱祭(おんばしらまつり)が有名であるが、盆の柱松行事もそれで、七夕(たなばた)や盆のときに、広場に身の丈に倍する高さの、二抱えほどの太さの柱を柴草(しばくさ)でつくり立て、その頂上に御幣(ごへい)やサカキを挿し、これに点火する習俗がある。その火の早く燃え付く度合いを計って勝敗を争い、年占(としうら)とすることもある。また地鎮祭に新しい土を盛り、清浄な柱を立てて地祭りの中心とするのも、そこに神を迎え祈るためである。

[高野 修]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柱」の意味・わかりやすい解説


楽器の付属品の名称。「柱 (ちゅう,じゅう) 」の転,「琴柱 (ことじ) 」の略。箏 (そう) ,和琴 (わごん) などの胴上に並べる可動の駒 (ブリッジ) で,弦を持上げてその張りを強め,柱を置く位置によって弦長を調節して音高を定めるもの。逆Y字形で木または象牙製。和琴ではふたまたに分れた木の枝を切ってそのまま用いるが,箏では種類によって大小がある。俗箏では,第2弦を特に低音に調弦したときに用いる「小柱 (こじ,しょうじ) 」や,巾 (きん) の弦用の「付柱 (ふじ) 」などの特殊なものもある。琵琶類のフレットも柱 (じ) ともいうが,正しくは柱 (じゅう) という。


はしら
pillar; column; pier; post

建築物で上部の荷重を支える垂直材。円柱,束 (つか) ,柱形 (片蓋柱) などの種類がある。円柱の形式は柱礎,柱身,柱頭から成り,古代ギリシア建築のコリント式,イオニア式,ドーリス式のように,時代,地域により各部分に変化がみられる。束柱は壁面が縮小して柱状になったもので,壁面に付属して造られ,断面が普通方形をなしている。柱形は壁面の途中から張出して上部の荷重を支える柱で,穹窿 (ボールト) の梁を支えるためにゴシック建築に多用された。


じゅう

楽器の部分名称。「ちゅう」ともいう。琵琶,月琴などのフレットをいう。鹿頸 (ししくび) あるいは棹の上の一定部分に,ある間隔で並べられた小突起。左指頭で押えたとき,弦が当って,その弦長ならびに音高を調節するためのもの。固定している。略称として「じ」ともいうが,「 (じ) 」と読んだ場合は箏類の可動駒をさす。

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リフォーム用語集 「柱」の解説

建築物の構成要素。地面に対して垂直の構造体を指す。用途、場所、役割によって呼び名が異なり、床の間に使う装飾的な柱を床柱、門を支えるものを門柱、塀を支える柱を控柱、また、大壁を真壁に見せかけるための付け柱などとそれぞれに名称がある。特に、家の中心となるような太い柱は大黒柱と呼ばれる。由来は昔の日本家屋の多くは地震対策の為に台所付近に太い柱が立ったため、厨房の神様である大黒天になぞらえ、家を支える柱=大黒柱となったことに因るといわれる。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「柱」の解説

はしら【柱】

建築物に用いる、地面に対して垂直に立つ部材。屋根や床の荷重を支える役割を果たすが、床柱(とこばしら)のように装飾的な意味を持つものもある。

出典 講談社家とインテリアの用語がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【柱】より

…箏,和琴(わごん),瑟(しつ),伽倻琴(かやきん)などのロング・チター属楽器に用いられる可動の木,象牙,骨,あるいはプラスチックでできたをいう。胴の頭部と尾部にある固定の駒(箏では竜角と雲角)のあいだに張られた各弦の下に柱を立て,弦の振動する長さを決定し調弦する。琵琶,月琴などのリュート属楽器に用いられるものは〈ちゅう〉または〈じゅう〉と読み,固定したフレットである。…

【琵琶】より

…西アジアから伝来し,東アジアに広く伝播(でんぱ)変容した撥弦(はつげん)楽器で,楽器学では棹付きリュート属の弦鳴楽器に分類される(イラスト)。外形から区別される,(1)4弦4柱曲頸洋梨型胴,(2)5弦5柱直頸(ないし緩やかな曲頸)細長胴(五弦琵琶),(3)4弦14柱直頸円形胴(阮咸(げんかん))の3種が本来あったと思われるが,各地で多様に変形されてきた。通常,琵琶といえば曲頸洋梨型(大きな茄子(なす),またはしずくの形とも)のものを指し,その意味でも,アラブ諸国のウードや中世ヨーロッパのリュートと共通の祖型から出たとする説が有力となる。…

【琵琶】より

…西アジアから伝来し,東アジアに広く伝播(でんぱ)変容した撥弦(はつげん)楽器で,楽器学では棹付きリュート属の弦鳴楽器に分類される(イラスト)。外形から区別される,(1)4弦4柱曲頸洋梨型胴,(2)5弦5柱直頸(ないし緩やかな曲頸)細長胴(五弦琵琶),(3)4弦14柱直頸円形胴(阮咸(げんかん))の3種が本来あったと思われるが,各地で多様に変形されてきた。通常,琵琶といえば曲頸洋梨型(大きな茄子(なす),またはしずくの形とも)のものを指し,その意味でも,アラブ諸国のウードや中世ヨーロッパのリュートと共通の祖型から出たとする説が有力となる。…

【木】より

…エリアーデは,これを〈中心のシンボリズム〉と定義している。 このような宇宙軸の観念は前3000年から前4000年ころにすでにあり,樹木にかぎらず,柱,棒,塔,山はみなこのシンボリズムを共有する。その代表的なものはスカンジナビアに伝わる〈エッダ〉の中にうたわれたイグドラシルと呼ばれるトネリコの木である。…

【社寺建築構造】より

…日本古来の木造建築のうちでも,社寺建築はながく建築界の主流を占め,その構造もまた和風木構造のなかで最も高度な技術をもつものへと発達した。
【一般的特徴】
 社寺建築は,煉瓦造,石造のように多くの部材を積み重ねて骨組みをつくるのではなく,垂直に立つ柱と,これを水平につなぐ材がそのおもな骨組みとなる。同じ木造であっても,材木を横にして積み重ねる校倉(あぜくら)のような構造は,倉庫その他のごく一部の建築にしか使われなかった。…

【神社建築】より

…奈良県の大神(おおみわ)神社,埼玉県の金鑽(かなさな)神社などが現在でもそうであるように,祭神をまつるべき本殿がなく背後の山を神体としたものがあり,また社すなわち杜(もり)が神域を示すという理解は古代以来きわめて普遍的であった。人工的な工作物をもって神の宿るところとしたもっとも単純なものは,一本の独立した柱を地上に立てることであって,この場合一本の柱はそのまま杜の象徴にほかならない。古代の人々は地域社会のなかの一定の祭場に,春あるいは秋の一定の日に集まって,農耕を支配する自然の力に祈りあるいは感謝する気持ちをこめて祭りをくり返したのであろうが,その過程で,おのずから祭りの中心にあるべき神が山,杜,柱などの形で姿を現すようになったと解すべきであろう。…

【日本建築】より

…木材を主とするから平面は正方形か長方形で,まれに八角や六角のものがあるにすぎず,円形や曲線平面のものは造られない。その構造方式は柱の上に梁(はり)をのせて軸組みを造る楣式(びしき∥まぐさしき)構造で,煉瓦や石のアーチ,ドームによるものとは根本的に異なる。したがって柱間の広さは梁によって制限され,そう広い柱間をとることができず,傾斜屋根をかけるため奥行きの深い建物を造ることができない。…

【ピア】より

…(1)基柱ともいう。複雑な断面をもつ太い独立した柱で,柱頭と礎盤をもつこともある。…

※「柱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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