デジタル大辞泉
「仕る」の意味・読み・例文・類語
つこう‐まつ・る〔つかう‐〕【▽仕る】
[動ラ四]《「つかえまつる」の音変化で、主として平安時代に用いた》
1 「仕える」の謙譲語。
㋐お仕え申し上げる。
「昔、二条の后に―・る男ありけり」〈伊勢・九五〉
㋑お供申し上げる。奉仕する。
「行幸には…世に残る人なく―・り給へり」〈源・紅葉賀〉
2 「する」「おこなう」の謙譲語。尊者のために、何かをする。してさしあげる。また、お作り申し上げる。
「この歌は…召し上げられて―・れるとなむ」〈古今・秋下・左注〉
3 (会話に用いる)「する」「おこなう」を聞き手に対しへりくだる気持ちをこめて丁重にいう。いたします。つかまつる。
「狐の―・るなり」〈源・手習〉
4 (補助動詞)
㋐他の動詞に付いてその動作を尊者のためにする謙譲の意を添える。…してさしあげる。…申し上げる。
「心にまかせたる事、ひきいだし―・るな」〈源・澪標〉
㋑(会話に用いる)他の動詞に付いて、その動作を聞き手に対しへりくだる気持ちをこめて丁重にいう。…いたします。…ます。
「片目もあき―・らでは」〈枕・三一四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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つこう‐まつ・るつかう‥【仕奉】
- ( 「つかえまつる(仕奉)」の変化したもの )
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 「つかえる(仕)」の謙譲語で、仕える対象を敬う。目上の人に奉仕申し上げる。お仕え申し上げる。また、目上の人のために、ある事柄に奉仕する。つかまつる。
- [初出の実例]「五人の中にゆかしき物を見せ給へらんに御心ざしまさりたりとてつかうまつらん」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「山寺にかきこもりて、仏につかうまつるこそ、つれづれもなく、心の濁りも清まる心地すれ」(出典:徒然草(1331頃)一七)
- [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
- [ 一 ]
- ① 何かを「する」「作る」「行なう」などの謙譲語で、その動作を奉仕する対象を敬う。目上の人のために、またはその言いつけにより何かをしたり作ったりする。つかまつる。
- [初出の実例]「この歌は、まだ殿上許されざりける時に、召し上げられてつかうまつれるとなん」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二六九・左注)
- 「かくおほやけの御うしろみをつかうまつりさして、しづかなる思ひをかなへむと」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ② ( ①の、奉仕する対象を敬う用法から転じて ) 「する」「行なう」を、聞き手に対しへりくだる気持で丁重にいう。つかまつる。いたします。
- [初出の実例]「狐のつかうまつるなり。この木のもとになん時々あやしきわざなむし侍るを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)
- [ 二 ] 補助動詞として用いる。他の動詞の連用形について、その動作をしてさし上げる、その動作を尊者に対してするの意を表わす。
- [初出の実例]「『御乳母(めのと)たちだに、心にまかせたる事、ひきいだしつかうまつるな』など親がり申給へば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
つか‐まつ・る【仕】
- ( 「つこうまつる(仕)」あるいは「つかんまつる(仕奉)」の変化したもの )
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 =つこうまつる(仕)[ 一 ]
- [初出の実例]「恒に親り十方の仏に承(ツカマツル)こと得しめむ」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)二)
- 「堀河の左大臣殿は、御社までつかまつらせ給ひて」(出典:大鏡(12C前)六)
- [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
- ① =つこうまつる(仕)[ 二 ][ 一 ]①
- [初出の実例]「君のこもりおはするに、なにわざをつかまつらん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
- 「変化の物つかまつらんずる仁は頼政ぞ候ふ」(出典:平家物語(13C前)四)
- ② =つこうまつる(仕)[ 二 ][ 一 ]②
- [初出の実例]「太政大臣殿にて元服つかまつりし時」(出典:大鏡(12C前)一)
- 「一席申上げて御笑ひを願ふことに仕(ツカマツ)りますが」(出典:落語・反魂香(1895)〈柳家禽語楼〉)
仕るの補助注記
平安初期の訓点資料にみられる「つかまつる」は、あるいは「つかむまつる」(「む」は撥音mか)の撥音無表記とも考えられるとする説がある。平安初期から中期にかけてのころの他の資料の用例にも、ほぼ同様の事情があったかもしれず、当時、確実にこの語形の存在を主張することはむずかしい。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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