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国家社会に勲功のある者を賞すべく授けられる位と勲章と等級。第2次大戦前の日本において,爵と並んで天皇大権に基づく栄典制度の根幹をなすものであった。律令時代以来の伝統的な位階と西洋諸国をモデルとした勲章との和洋折衷的組合せに,日本の近代化が象徴されている。位階は,603年(推古11)聖徳太子による冠位十二階を端緒とし,律令制における官人の序列を示す等級であった。それが明治維新時に二十階,1889年に一位から八位までそれぞれ正従に分かれて十六階と定められ,1926年の位階令に受けつがれていく。勲章は1875年の旭日章を皮切りに,翌年の〈勲等勲章〉に基づいて大勲位菊花章,宝冠章(婦人のみが対象となった),瑞宝章と定められた。位階は皇族以外の日本人に授与された。勲等は大勲位を最高とし,そのほか勲一等から勲八等までの8級に分かれ,各等に応じてそれぞれ勲章が授与された。これは皇族や外国人も対象とされた。戦前は各位各章に相当するさまざまの礼遇や特権が与えられていた。また戦前の宮中席次は位階勲等と官職や爵位を組み合わせ,第一階から第十階まで厳然かつ緻密な序列となっていた。たとえば第一階はさらに18に区分され,第一大勲位,第二首相,第十六公爵,第十七従一位のごとくであった。戦後の46年,生存者叙位叙勲は一時停止され,叙位は今日も死没者にしか与えられない。64年特権を伴わない生存者叙勲,戦没者叙勲が開始された。これは安定した戦後体制形成の功労者に対する栄誉の付与である。同時に民間人への叙勲対象の拡大は,高度経済成長を支える経済人に対する国家の認知を意味する。現在,国家による最高かつ最大の栄誉体系として春秋2回の叙勲は恒例行事化している。
→位記 →勲章
執筆者:御厨 貴
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