利く(読み)キク

デジタル大辞泉 「利く」の意味・読み・例文・類語

き・く【利く/効く】

[動カ五(四)]
効果や働きなどが現れる。期待どおりのよい結果が実現する。効き目がある。「てきめんに―・く薬」「宣伝が―・いて大評判だ」「腹部へのパンチが―・く」
本来の機能を十分に発揮する。機敏に、また、さかんに活動する。「鼻が―・く」「麻痺まひして手足が―・かない」
それをすることが可能である。できる。「洗濯の―・く生地」「無理の―・かないからだ」「学割が―・く」
(多く「口を利く」の形で)
㋐言葉を発する。物を言う。「生意気な口を―・く」「口も―・かない仲」
㋑間に入って、うまくいくように世話をしてやる。まとまるように話をつける。「取引先に口を―・いてやる」
技能がすぐれている。腕が立つ。
日頃―・いたる口三味線太鼓持ちとなれり」〈浮・永代蔵・五〉
[補説]ふつう、1は「効く」、23は「利く」と書く。
[下接句]大きな口を利く押さえが利く押しが利く顔が利く気が利く小口を利くつぶしがきくにらみが利く鼻が利く幅が利く目が利く目先が利く目端めはしが利く山葵わさびが利く
[類語]効果作用働く響く差し響く跳ね返る祟る災いする

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「利く」の意味・読み・例文・類語

き・く【利・効】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. その能力、はたらきが十分発揮される。よく働く。すばやく活動する。器用に動く。
      1. [初出の実例]「『あはれきき給へる口かな』と、上達部・殿上人ほめ申給ふ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)根合)
      2. 「鞭をとりて馬をうつこと右はききたるよし也」(出典:名語記(1275)六)
    2. 効能や働きが現われる。ききめがある。
      1. [初出の実例]「すぐろく打つに、敵(かたき)の采(さい)ききたる」(出典:能因本枕(10C終)一六二)
      2. 「芥子の利いた大根おろしと生葱とをそへて」(出典:今年竹(1919‐27)〈里見弴〉出来心)
    3. 物事に通じている。する事がじょうずである。
      1. [初出の実例]「目ききばかりにて能を知らぬ人もあり。能をば知れども、目のきかぬもあり」(出典:花鏡(1424)比判之事)
      2. 「宮口半内と云(いふ)男は、小刀細工ききければ」(出典:浮世草子・日本永代蔵(1688)五)
    4. することが可能である。できる。「無理がきく」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
      1. [初出の実例]「汽車の利(キ)くところでないから」(出典:断橋(1911)〈岩野泡鳴〉九)
    5. 相場騰落が、商品の値段に反映する。特に値上がりの場合にいう。
      1. [初出の実例]「江戸大坂にきくべき物を、見立聞たて買廻しよく店(たな)にくだし」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)京)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙 ( 「口をきく」の形で )
    1. ものを言う。
    2. 仲介する。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android