出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
紀伊山地の伯母峰(おばみね)峠(991m)に発し,奈良県域を南流して三重県との県境を通り,熊野市の旧紀和町小船付近で十津川と合流して熊野川となり,熊野灘にそそぐ。全長92km,流域面積761km2。貫入蛇行が著しく美しい峡谷をなし,瀞峡(どろきよう)(瀞八丁)の景勝地で吉野熊野国立公園の一部をなす。瀞峡は北山峡ともいわれるが,狭義の北山峡は北山村付近の小松峡,七色峡などのある奥瀞のみをさす。上流が日本一の多雨地であるため有力な電源地域で,池原ダム(堤高111m)は北山川本流に支流の東ノ川が合流する曲流部に1966年完成したアーチ式ダムである。さらに下流の七色ダムの水は夜間の余剰電力を利用して池原ダムに揚水もされる。東ノ川の上流には坂本ダムがある。川筋は吉野杉の樹林におおわれ,住民は主林副農の生活をなしてきたが,国道169号線(大和高田~新宮)の整備によって地域の変貌が著しい。
執筆者:藤本 利治
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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