デジタル大辞泉 「尋」の意味・読み・例文・類語
じん【尋】[漢字項目]
1 長さの単位。両手を広げた長さ。ひろ。「千尋」
2 普通。なみ。「尋常」
3 探り求める。訪れる。「尋訪」
4 (「訊」の代用字)問いたずねる。「尋問/審尋」
[名のり]ちか・つね・のり・ひつ・ひろし・みつ
[難読]
( 1 )「尋」字は、「説文」に「」について「度人之両臂為八尺也」とある。
( 2 )記紀には「八尋殿(やひろどの)」「千尋栲縄(ちひろのたくなは)」の例がある。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
江戸時代,犯罪や貧困などの原因で逃亡・失踪(欠落(かけおち))した者のゆくえを捜索すること。親族および町村役人に捜索義務が課されるが,被捜索者(欠落人,御尋者(おたずねもの))と主従・親族・師弟関係で目下にあたる者には申し付けなかった。はじめは期限を定めて捜索する〈日限尋(ひぎりたずね)〉が命ぜられるが,捜索期間は180日を限度とするのが一般的で,これを30日ずつなどに細分することが行われた。日限尋の期間内に尋ね出せないときは,捜索義務者に過料,急度叱(きつとしかり)などの軽い刑を科して,〈永尋(ながたずね)〉を申し付ける。これは形式的には無期限の捜索命令であるが,事実上捜索義務が免除されたに近い結果となった(《柳多留》所収の川柳に〈うんのよさとうとう二人なが尋〉)。以上の親族,町村役人による尋は,犯罪人ないし容疑者の捜索方法としてはそれほど効果が期待できず,職権的探索も当然並行して行われた。また特定の重大な犯罪にかかわる場合には,〈人相書(にんそうがき)〉による尋が実施された。
執筆者:神保 文夫
日本における長さの慣用単位。両手を左右に広げたときの長さに由来し,縄などの長さや水深を表すのに用いられ,1872年(明治5)の太政官布告により,1ひろは曲尺(かねじやく)の6尺と定められた。
執筆者:三宅 史
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本の古い慣習的な長さの単位。両手を広げた大きさをもとにしている。語源は、縄のようなものを両手で「ひとひろげ」「ふたひろげ」と測ったことによる。「八尋殿(やひろどの)」「千尋縄(ちひろのなわ)」などと使われている。日本固有の単位だが、表記の尋の字は中国の古典『説文』に「度人之両臂為尋八尺也」とあるのによっている。しかし、中国では周以後、制度上使っていない。日本では丈、尺、寸の制度を採用したのちも引き続いて使用され、大化の「薄葬令」の墓の外部寸法も尋で表されている。尋はもっぱら海で用いられていたので、1872年(明治5)太政官(だじょうかん)布告で六尺(約1.818メートル)と定め、陸上の間(けん)と統一した。
[小泉袈裟勝]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…そのため経済・文化の近代化,国際化に適合しにくく,1958年12月末日をもって原則として廃止され,取引,証明に使える法定単位ではなくなった。 古代の日本で使われていた単位としては,記紀などに〈ひろ(尋)〉〈あた(咫)〉〈つか(握)〉などが見られるが,尺貫法の祖型は古代中国の度量衡制に求められ,一部に古代朝鮮の高麗法の影響があるといわれている。日本で度量衡制度が成立した時期は定かでないが,《扶桑略記》(1094∥嘉保1ころ)に〈舒明天皇12年(640),始定斗升斤両〉とあり,《続日本紀》(797∥延暦16)に〈大宝2年(702),始頒度量于天下諸国〉とあるところから見て,標準供給を伴う度量衡単位系の制定をみたのは7,8世紀のこととされており,701年制定の大宝令による度量衡の単位は,《令義解》などによれば,ほぼ表2のごときものであったという。…
※「尋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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