式目(読み)シキモク

デジタル大辞泉 「式目」の意味・読み・例文・類語

しき‐もく【式目】

《「式」は法式、「目」は条目の意》
中世法規箇条書きにしたもの。貞永じょうえい式目(御成敗式目)・建武式目など。式条
連歌俳諧を詠むときに守るべき規則。また、それを記した書。連歌の「応安新式」など。
定められていること。決まり。
「事をただして罪の軽重によって―の成敗」〈伎・韓人漢文〉

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精選版 日本国語大辞典 「式目」の意味・読み・例文・類語

しき‐もく【式目】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「式」は法式、「目」は条目の意 )
  2. ある集団や行事において守るべきこと。きまり。また、衆議によって決定した規則。
    1. [初出の実例]「さうぞくはよごとにかはる。しきもくあり」(出典:満佐須計装束抄(1184)一)
    2. 「喧𠵅口論に人を殺害致せば、事を糺して罪の軽重によって式目の成敗」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)二)
  3. 中世、法規を箇条書にしたもの。貞永式目(御成敗式目)、建武式目はその主なもの。式条。
    1. [初出の実例]「亦今日被人々座敷次第、被御自筆式目云々」(出典吾妻鏡‐建久四年(1193)正月一日)
    2. 「貞永に五十一箇条の式目を定て、裁許に不滞」(出典:太平記(14C後)三五)
  4. 連歌、俳諧を吟詠するために守るべき規定や故実等を条目を立てて記したもの。
    1. [初出の実例]「八雲の御抄にも、末代ことに存知すべしとて、式目など少々しるさるるにや」(出典:連理秘抄(1349))

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改訂新版 世界大百科事典 「式目」の意味・わかりやすい解説

式目 (しきもく)

連歌,俳諧を制作する場合の規約,すなわち禁制と故実。平安末以降,鎖(くさり)連歌,長連歌が起こったが,それにともない式目に類する禁制,故実が求められ,連歌の盛行とともに,故実的な面は作法書となり,禁制的な面は式目となった。13世紀中ごろ以降,京都,鎌倉に二,三の式目が出現したが,1372年(文中1・応安5)に二条良基が《応安新式》を定め,これが全国的規模で行われた。その後,一条兼良(かねら),宗砌(そうぜい),肖柏らによって増補改訂され,長く連歌の法典となったが,紹巴(じようは)の時代に全面的な検討が加えられ,1597年(慶長2)木食応其(もくじきおうご)の《無言抄》が成立,ひろく用いられた。

 俳諧の式目は貞門の時代に,連歌のそれを緩和して制定された。徳元(とくげん),重頼(しげより)らは本式目をやや緩和した一条兼良の《和漢篇》を用い,貞徳,親重(ちかしげ)らはそれらをさらに緩和したものを用いた。1643年(寛永20)に貞徳が定めた十首の式目歌,および1651年(慶安4)の《御傘ごさん)》は,長く貞門の規範となった。貞門では他に徳元の《誹諧初学抄》,立圃(りゆうほ)の《はなひ草》,西武(さいむ)の《久流留(くるる)》なども成り,相互に矛盾点をもちながらもよく行われた。次の談林時代においても,なお貞門の式目作法が基本的には守られていた。形式よりも詩的内実を重んじた蕉風においても,去来芭蕉の式目観を祖述して,〈法式においては古法をむねとし給ふ也。まゝ法式を破り給ふ所は,十が八九は古実によれり〉(《旅寝論》)と述べたように,やはりその基本は守られていたのである。芭蕉没後,《其角十七条》《二十五箇条》《付句十四体》《俳諧二十一品》などさまざまな伝書が作られたのも,こうした芭蕉の姿勢に基づくものと考えられる。近世中期以降も,烏明(うめい)・百明(ひやくめい)編《俳諧提要録》,楼川編《俳諧独稽古》,几董きとう)著《付合てびき蔓》など数多くの式目書が出された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「式目」の意味・わかりやすい解説

式目
しきもく

式条とも称する。式は法式,目は条目をさし,主として中世における法規の集成に対する名称武家法においては,貞永1 (1232) 年北条泰時が評定衆に命じて編纂させた『御成敗式目 (貞永式目) 』を基本法とした。そののち種々の判例が追加法として編集され,『式目新編追加』『新式目』『貞応弘安式目』などの称を付された。これらの鎌倉幕府法は,最初は幕府の支配圏内に限定されたが,次第に公家法適用地に拡大されていった。室町幕府は『建武式目』 (1336) を定め,また追加法も加えられた。戦国時代には,各地の戦国大名分国法を定めたが,六角氏のそれを一名『義治式目』 (→六角氏式目 ) と称した。朝廷でも記録所の式目があり,連歌の法式をも式目といった。

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