御許(読み)オモト

デジタル大辞泉 「御許」の意味・読み・例文・類語

お‐もと【▽御▽許】

[名]
1 女性が使う脇付わきづけの一。おんもと。
2 御座所。また、貴人のおそば。
「―にさぶらふ人の中に、内侍仕うまつるべき人はありや」〈宇津保・内侍督〉
3 「御許人おもとびと」の略。
「ただ我どちと知らせて、ものなど言ふ若き―の侍るを」〈源・夕顔〉
4 女房の呼び名などの下につけて用いる敬称。
「大式部の―」〈紫式部日記〉
[代]二人称の人代名詞。主として女性、特に女房を親しんでいう語。
「―だに物し給はば、何かさらむ」〈宇津保・内侍督〉

おん‐もと【御▽許】

1 貴人の居場所を敬っていう語。おもと。みもと。
2 (多く「おんもとに」「おんもとへ」の形で)おそばまでの意で、女性が手紙の脇付わきづけに用いる語。
[類語]侍史・机下・台下・足下・座右・硯北・膝下・玉案下・御前・拝

み‐もと【▽御▽許】

相手を敬って、そのそば近くをいう語。女性が手紙の脇付に用いることもある。おもと。おんもと。「鈴木様御許に」
「―に候はばやと」〈末灯鈔〉

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精選版 日本国語大辞典 「御許」の意味・読み・例文・類語

お‐もと【御許】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
    1. ① 天皇や貴人の御座所を敬っていう語。
      1. [初出の実例]「入鹿、御座(オモト)に転(まろ)び就きて、叩頭(の)むで曰(まう)さく」(出典:日本書紀(720)皇極四年六月(岩崎本訓))
    2. ② ( 天皇や貴人の御座所に仕える「おもと人」の意から ) 女性、特に女房を親しみ敬って呼ぶ語。
      1. [初出の実例]「見る人いだきうつくしみて、『親はありや。いざわが子に』といへば、『いな、おもとおはす』とて更に聞かず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
    3. ③ ( 「…のおもと」の形で ) 女房などの名前、または職名の下につけて呼ぶ敬称。
      1. [初出の実例]「三の君の御方に、典侍(すけ)の君、大夫(たいふ)のおもと、下仕まろやとて、いと清げなる物の」(出典:落窪物語(10C後)三)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。多く、女性に対して敬愛の気持から用いる。代名詞「あ」「わ」と結び付いた「あがおもと」「わがおもと」という形もある。
    1. [初出の実例]「何を賭けべからん。正頼、娘ひとり賭けん。をもとには何をか賭け給はんずる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)

おん‐もと【御許】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おん」は接頭語 )
  2. ① 貴人の居所。貴人のそば。おもと。みもと。
    1. [初出の実例]「宮の御もとへ、あいなく心憂くて参り給はず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  3. ② ( 多く「おんもとに」「おんもとへ」の形で ) おそばまでの意で、手紙の脇付けに書く語。主として女性が用いる。
    1. [初出の実例]「脇づけ あて名の傍(そば)へは、人により処(ところ)により、御前(おんまへ)に、御許(オンモト)に、人々申給へ〈略〉など書くべし」(出典:通俗書簡文(1896)〈樋口一葉〉唯いささか)

お‐ゆるし【御許】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語。「おゆるしなされ」「おゆるしあれ」などの略 )
  2. ① 許してほしいと頼むときに言うことば。ごめん下さい。お許し下さい。
    1. [初出の実例]「おさかづきはいただきますが、御酒は今のじゃ、おゆるしおゆるししたが」(出典:洒落本・聖遊廓(1757))
  3. ② 他の人のいる部屋などにはいるときに言うことば。ごめん。
    1. [初出の実例]「もし、おゆるしと襖を少しあけて」(出典:洒落本・色深睡夢(1826)下)

ご‐ゆるされ【御許】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ご」は接頭語 )
  2. ① 御赦免。→ゆるされ。
    1. [初出の実例]「ヲモキ トガノ goyurusare(ゴユルサレ) ヲ コムルベキ ヲン ワビコト」(出典:バレト写本(1591))
  3. ② 拒否する気持を表わす語。御免。
    1. [初出の実例]「おれさへまだ手も通さぬものを、女郎買にでも行なら借もしよふが、とふらいには、ごゆるされだ」(出典:咄本・今歳咄(1773)葬)

み‐もと【御許】

  1. [ 1 ] ( 「み」は接頭語 ) 神仏や天皇など、貴人のいる所。また、そのそば近くを尊んでいう語。
    1. [初出の実例]「仏世尊の所(ミモト)」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)一)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。あなた。おもと。
    1. [初出の実例]「この 仲人たてて 美毛(ミモ)とのかたち 消息し 訪ひに来るや さきむだちや」(出典:催馬楽(7C後‐8C)朝津)

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