(読み)ハイ

デジタル大辞泉 「拝」の意味・読み・例文・類語

はい【拝〔拜〕】[漢字項目]

[音]ハイ(漢) [訓]おがむ
学習漢字]6年
頭を下げて礼をする。「拝礼跪拝きはい参拝巡拝朝拝答拝伏拝奉拝遥拝ようはい礼拝らいはい・れいはい
貴人に会う。「拝謁拝顔
あがめる。ありがたがる。「拝外崇拝
お上からいただく。ありがたく受ける。「拝官拝命拝領
自分の行為に冠して相手敬意を示す語。「拝賀拝啓拝見拝借拝呈拝読拝復

はい【拝】

頭を垂れて敬礼すること。おがむこと。
「古風に低く―をして」〈二葉亭訳・片恋
手紙で、署名の下に書いて相手への敬意を表す語。「鈴木一郎
拝舞はいぶ」の略。
「其の後上達部かんだちめの―あり」〈増鏡草枕
[類語]御許侍史机下台下足下座右硯北膝下玉案下御前

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「拝」の意味・読み・例文・類語

はい【拝】

  1. 〘 名詞 〙
  2. おがむこと。頭を下げて敬礼すること。
    1. [初出の実例]「主上夜ごとに清涼殿の石灰壇にて、伊勢大神宮をぞ御拝ありける」(出典:平家物語(13C前)三)
    2. 「貴賤を選まず拝(ハイ)を許す」(出典:人情本・貞操婦女八賢誌(1834‐48頃)三)
    3. [その他の文献]〔礼記‐曲礼上〕
  3. はいぶ(拝舞)」の略。
    1. [初出の実例]「下りて答のはい、し給ふ御有様ども」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
  4. 手紙などで、自分の名の下に付けて、相手に敬意を表わす語。
    1. [初出の実例]「差出名は唯苗名(めうじ)文で━小野拝」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏)

おがみをがみ【拝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おがむ(拝)」の連用形名詞化 )
  2. おがむこと。礼拝。
    1. [初出の実例]「三千三百三十三度のおかみせよ」(出典:古今著聞集(1254)一六)
  3. 法会に食事を出すこと。とき。かたぞなえ。
    1. [初出の実例]「三の尼を屈請(いま)せ、大会の設斎(ヲガミ)す」(出典:日本書紀(720)敏達一三年是歳(前田本訓))
  4. ( 合掌した手に形が似ているところから ) 破風板(はふいた)が左右から合う所。〔日本建築辞彙(1906)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「拝」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)拜
人名用漢字 9画

[字音] ハイ
[字訓] ぬく・おがむ・うける

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
手+(はん)。は花の形。〔説文〕十二上に「首、地に至るなり」と拝首の意とし、字形について揚雄説として「兩手の下るに從ふ」と左右を両手の形とする。金文の字形は華を手で抜きとる形で、草花を抜きとるのが字の原義。〔詩、召南、甘棠〕「(へいひ)たる甘棠(かんたう) 翦(き)ること勿(なか)れ、拜(ぬ)くこと勿れ」の〔箋〕に「拜の言たる、拔なり」という。拜peatと拔(抜)buatとの畳韻の関係を以て説くが、拜の字形が草花を抜きとる形である。その姿勢は腰を低めて拝首の礼に近いので、のちその義となった。金文には「拜手首(けいしゆ)」といい、〔書、召誥〕にも、「拜手」の語がある。官位の受命のときにその礼を行うので、拝命・拝受・拝顔のようにいう。

[訓義]
1. ぬく、草花をぬく。
2. 腰を低くする、かがむ、おがむ、拝する。敬礼の法、拝手。
3. 受ける、拝受する、任命される、感謝する。
4. もうでる、神仏にもうでる。

[古辞書の訓]
名義抄〕拜 ヲガム・ヌク・ウヤ(マフ)〔立〕拜 ウ(ヤ)マフ・フス

[声系]
拜声の字に湃があるが、澎湃(ほうはい)のように二字双声の連語で、形況の語である。湃はまたに作り、(八)も波の音を形容する語であろう。

[語系]
拜poat、拔buatは声義近く、また把pea、拂(払)phiut、伐biuatとも、みな声義に通ずるところがあり、もと一系の語であったことが知られる。

[熟語]
拝謁・拝恩・拝家・拝賀・拝閣・拝官・拝顔・拝・拝拱・拝教・拝啓・拝見・拝献・拝候・拝芝・拝賜・拝辞・拝謝・拝爵・拝手・拝首・拝受・拝寿・拝春・拝除・拝章・拝詔・拝神・拝塵・拝趨・拝石・拝節・拝・拝送・拝聴・拝天・拝殿・拝・拝任・拝年・拝眉・拝表・拝舞・拝俛・拝伏・拝別・拝面・拝覧・拝礼
[下接語]
下拝・嘉拝・賀拝・雅拝・奇拝・起拝・拝・九拝・迎拝・再拝・三拝・参拝・賜拝・手拝・巡拝・除拝・親拝・崇拝・趨拝・夕拝・致拝・朝拝・答拝・俯拝・伏拝・封拝・捧拝・遥拝・礼拝

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【叩頭】より

…中国古来の拝礼の一つ。〈叩頭〉は後漢のころから,古く《周礼(しゆらい)》に挙げられた〈九拝〉の一つ〈頓首〉と同義通用するようになったという。…

※「拝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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