括る(読み)ククル

デジタル大辞泉 「括る」の意味・読み・例文・類語

くく・る【括る】

[動ラ五(四)]
ひもや縄などを掛けて、ばらばらの物を一つにまとめて縛る。束ねる。「古新聞をひもで―・る」
ある物に他の物を縛りつける。ひっくくる。「犯人を木に―・る」
物事にまとまりをつける。締めくくる。「話を―・る」
一つにまとめる。ひとまとまりにする。「数式a+bを括弧で―・る」「アイドルとひと言で―・るのは無理がある」
(「縊る」とも書く)自分で首をつって命を絶つ。縊死いしする。「首を―・る」
(「たかをくくる」の形で)程度を予測する。物事を軽くみる。見くびる。「ちょっとした傷とたかを―・る」
(「腹をくくる」の形で)覚悟を決める。決意を固める。「腹を―・って結果を待つ」
くくり染めにする。
「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水―・るとは」〈古今・秋下〉
自由を拘束する。引き留める。
「耳へ入れば夜明けまで―・られる」〈浄・天の網島
[可能]くくれる
[用法]くくる・しばる――「荷物をひもでくくる(しばる)」「犯人をくくる(しばる)」などでは、相通じて用いられる。◇「くくる」は「袖口をくくる」「括弧かっこでくくる」のように、ばらばらな物をまとめる意に重点があり、この場合「しばる」は使わない。◇「しばる」は「傷口をしばる」「校則でしばる」など、動かないようにする、束縛するの意に重点があり、この場合「くくる」は使わない。◇類似の語に「むすぶ」「しめる」がある。ひもなどの端を組み合わせてつなぐのが「むすぶ」で、より強く結ぶのが「しめる」である。
[類語]たばねるつかねる絡げるひっくくるひっくるめるまとめる取り纏める一纏め結束十把一絡げ

くび・る【括る】

[動ラ五(四)]
ひもなどでくくり締める。
肩上げに―・られ、尻のあたりが丸くふくれて」〈志賀暗夜行路
多く「取り括る」の形で)しっかり握る。
香炉かうろ取り―・りて」〈宇治拾遺・二〉
[動ラ下二]くび(括)れる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「括る」の意味・読み・例文・類語

くく・る【括】

  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
  2. ばらばらのものを縄や紐(ひも)などで一つにたばねる。まとめて結ぶ。まとめる。
    1. [初出の実例]「玉こそば 緒の絶えぬれば 八十一里(くくリ)つつ またも逢ふといへ」(出典:万葉集(8C後)一三・三三三〇)
    2. 「此夏もかなめをくくる破扇(やれあふぎ)〈園風〉 醤油ねさせてしばし月見る〈猿雖〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)
  3. 物のまわりを縄や紐などでしばる。締める。ゆわえる。
    1. [初出の実例]「腰をくくられて」(出典:古本説話集(1130頃か)五八)
    2. 「皮にて、まろく、くくりなせる、まり」(出典:名語記(1275)五)
  4. 自由を束縛する。強制して物事をさせる。
    1. [初出の実例]「あけ暮渡世のいとなみにくくられて」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)湊)
  5. 物事に、ある区切りやまとまりをつける。まとめる。しめくくる。「かっこでくくる」
    1. [初出の実例]「カンジョウヲ kukuru(ククル)」(出典:改正増補和英語林集成(1886))
  6. 物事のありさまをあらかじめはかる。予想する。「高をくくる」
    1. [初出の実例]「地の人ならねば跡を引かれてからが、高が知れてあると、中括りに括って」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)五)
  7. 括染(くくりぞめ)にする。
    1. [初出の実例]「ちはやぶる神世もきかずたつた川から紅に水くくるとは〈在原業平〉」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二九四)
  8. ( 縊 ) ( 首をくくるの意から ) 縊死(いし)する。
  9. 双六(すごろく)で、敵の進出するのをはばむ意か。
    1. [初出の実例]「六さきくくった双六に、くぐれ松山一六を、振り出したる如くなり」(出典:浄瑠璃・加賀国篠原合戦(1728)三)
  10. 絵の主要な部分などを、すこし濃い色で線を加えたり、隈取(くまど)りしたりする。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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