(読み)クモリ

デジタル大辞泉 「曇」の意味・読み・例文・類語

くもり【曇(り)】

雲で空が覆われている状態。気象用語としては雲量が9以上、視程1キロ以上で、降水や雷のない状態の天気をいう。
透明なものや光をよく反射するものなどが、曇ってぼんやりすること。また、その状態。「眼鏡曇り
気持ち、また表情などが、明るさを失って沈むこと。わだかまりがあること。
満面の―はぬぐい消されなかった」〈魯庵社会百面相
公明でないこと。うしろぐらいこと。「雲りなき身」
[下接語](ぐもり)朝曇りあま曇り薄曇り内曇りの花曇り潮曇り霜曇り高曇り・棚曇り・花曇り春曇り本曇り夕曇り雪曇り
[類語]薄曇り花曇り曇天雨曇り本曇り高曇り雪曇り雲間

どん【曇】[漢字項目]

常用漢字] [音]ドン(呉) タン(漢) [訓]くもる
空がくもる。「曇天晴曇
[難読]悉曇しったん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「曇」の意味・読み・例文・類語

くもり【曇】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「くもる(曇)」の連用形の名詞化 )
  2. 空が曇ること。雲が空をおおっていること。どんよりと暗いこと。とくに、気象の用語としては、雲量が九以上で降水のない天気状態をいう。そのときの最多雲量が上層雲の場合を薄曇り、中層雲の場合を高曇り、下層雲の場合を本曇りと呼ぶ。曇天。
    1. [初出の実例]「明了にして翳(クモリ)无し」(出典:東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)二四)
  3. 透き通っていないこと。光や色などが鮮明でないこと。ぼんやりしていること。
    1. [初出の実例]「うつすともくもりあらじとたのみこし鏡のかげのまづつらき哉」(出典:拾遺愚草(1216‐33頃)上)
  4. 心がきれいに晴れないこと。心にわだかまりがあること。物事にとらわれて悟りの境地を開けないこと。また、そのために顔や声などにかげりのあること。
    1. [初出の実例]「著語擬心即差、動念即隔、心念纔にも生ぜばくもりよ、仏眼也」(出典:碧巖雷沢抄(1533)九)
  5. 公明でないこと。うしろぐらいこと。嫌疑
    1. [初出の実例]「成王の徳が高く明なちっともくもりもないぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)一七)

くもらわくもらはし【曇】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「くもらう」の形容詞化 ) 曇った様子をしている。くすんでいる。おぼろげなさまである。
    1. [初出の実例]「夕闇過ぎて、おぼつかなき空のけしきのくもらはしきに、うちしめりたる宮の御けはひも、いと艷なり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蛍)

曇の派生語

くもらわし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

曇の派生語

くもらわし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「曇」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 16画

[字音] ドン・タン
[字訓] くもる

[説文解字]

[字形] 会意
日+雲。日光が雲にさえぎられる意。〔説文新附〕七上に「雲布(し)くなり」とあり、陸雲の〔愁霖の賦〕に「雲、曇(たん)として疊結(でふけつ)す」と形容の語に用いる。〔説文〕〔玉〕にはこの字がみえず、仏典の翻訳語として作られた字である。梵語dharmaを曇摩といい、僧名に曇を冠することが多い。梵字悉曇(しつたん)という。

[訓義]
1. くもる、くもり。
2. 国語で、明瞭・光沢を欠くものをいう。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕曇 久毛礼利(くもれり) 〔名義抄〕曇 クモル・クロキモノ・クロクモ

[語系]
曇・覃・dmは同声。(たん)は含深、覃(たん)声の字にその義がある。曇は雲が深くとざすことをいう。(暖)nuan、nanはとじこめて暖気を含む意で、みな一系の語である。

[熟語]
曇曇・曇花
[下接語]
優曇・彩曇・悉曇・晴曇

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

百科事典マイペディア 「曇」の意味・わかりやすい解説

曇【くもり】

雲量雲形によって天気を判定した場合の一つ。観測時の全雲量が9以上のときを曇とする。
→関連項目薄曇高曇

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android