デジタル大辞泉
「曇」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
くもら・す【曇】
[1] 〘他サ五(四)〙
① 曇るようにする。雲がかかったようにする。はっきりしないようにする。
※羅葡日辞書(1595)「Inuoluo〈略〉cumorasu(クモラス)、クラクナス」
② 顔や声などを、心配そうな、また、悲しげなさまにする。
※内地雑居未来之夢(1886)〈
坪内逍遙〉九「寔
(まこと)に遺憾至極。残念だ、と声を曇
(クモ)らして」
③ 考えなどを不明確なものにする。判断力などを鈍らせる。
※人間と真実の問題(1938)〈
窪川鶴次郎〉続・島木健作論「生活における叡智を却って曇らしているような知識は」
④ 能楽で、面をうつむかせる。
うれい、嘆き、思慕などの表情を表わす型。⇔
照らす。
くもり【曇】
① 空が曇ること。雲が空をおおっていること。どんよりと暗いこと。とくに、気象の用語としては、雲量が九以上で降水のない天気状態をいう。そのときの最多雲量が
上層雲の場合を薄曇り、
中層雲の場合を高曇り、
下層雲の場合を本曇りと呼ぶ。曇天。
※東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)二四「明了にして翳(クモリ)无し」
② 透き通っていないこと。光や色などが鮮明でないこと。ぼんやりしていること。
※
拾遺愚草(1216‐33頃)上「うつすともくもりあらじとたのみこし鏡の
かげのまづつらき哉」
③ 心がきれいに晴れないこと。心にわだかまりがあること。物事にとらわれて悟りの
境地を開けないこと。また、そのために顔や声などにかげりのあること。
※碧巖雷沢抄(1533)九「著語擬レ心即差、動レ念即隔、心念纔にも生ぜばくもりよ、仏眼也」
※古活字本毛詩抄(17C前)一七「
成王の徳が高く明なちっともくもりもないぞ」
ど・みる【曇】
〘自マ上一〙 ど・む 〘自マ上二〙
① 色がどんよりする。
光沢がなくてどんよりとくもる。にごる。
※清原国賢書写本荘子抄(1530)一「
地金のどみて黄なは、刃のやうにきれんためではないぞ」
② 目がどんよりする。くもる。にごる。
※
評判記・満散利久佐(1656)
玉鬘「目もと、どみて、顔たち、ぬかりたり」
くもらわし くもらはし【曇】
〘形シク〙 (「くもらう」の
形容詞化) 曇った
様子をしている。くすんでいる。おぼろげなさまである。
※源氏(1001‐14頃)蛍「夕闇過ぎて、おぼつかなき空のけしきのくもらはしきに、うちしめりたる宮の御けはひも、いと艷なり」
くもらわし‐げ
〘形動〙
くもらわし‐さ
〘名〙
くもら‐・せる【曇】
〘他サ下一〙 くもら・す 〘他サ下二〙 =
くもらす(曇)(一)〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「僕の心には世間と云ふものに曇らせられん一片の誠がある」
ど・む【曇】
(ほとんどが連用形で、活用未詳。マ行上二段か。一説にマ行四段とも) ⇒
どみる(曇)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
曇【くもり】
雲量と雲形によって天気を判定した場合の一つ。観測時の全雲量が9以上のときを曇とする。
→関連項目薄曇|高曇
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報