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岩手県中南部にあった旧市名(水沢市)。現在は奥州(おうしゅう)市の中央部東寄りを占める地域。1954年(昭和29)胆沢(いさわ)郡水沢町と佐倉河(さくらかわ)、真城(しんじょう)、姉体(あねたい)の3村、江刺(えさし)郡羽田(はだ)、黒石の2村が合併して市制施行。2006年(平成18)江刺市、胆沢郡前沢町(まえさわちょう)、胆沢町、衣川村(ころもがわむら)と合併して奥州市となった。旧市域の中央を北上(きたかみ)川が貫流する。JR東北本線、東北新幹線、国道4号、343号、397号、東北自動車道が通じ水沢インターチェンジがある。
802年(延暦21)坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が佐倉河に胆沢城を築き、奥羽平定の拠点となった。江戸時代は仙台藩領で、1629年(寛永6)以降明治維新まで伊達(だて)氏の家臣留守氏(るすうじ)の支配下に置かれた。
北上川東部は丘陵地であるが、西部は扇状地で肥沃(ひよく)な農地をなし、水稲、ムギ、豆類、リンゴなどの栽培、酪農、畜産が行われる。南部鉄器の生産も盛ん。1899年(明治32)設置の緯度観測所は、現在は国立天文台水沢VLBI観測所となっている。国指定史跡に胆沢城跡、幕末の先覚者高野長英旧宅(たかのちょうえいきゅうたく)、国指定重要文化財に黒石寺(こくせきじ)の木造薬師如来坐像(にょらいざぞう)などがある。行事は裸祭りの黒石寺蘇民祭(そみんさい)、屋台囃子(ばやし)で有名な日高火防祭(ひだかひぶせまつり)などが知られる。高野長英、政治家の後藤新平、斎藤実(まこと)の生地で、それぞれ記念館がある。
[金野靜一]
『『水沢市史』全6巻(1974~1981・水沢市)』
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