(読み)カツ

デジタル大辞泉 「滑」の意味・読み・例文・類語

かつ【滑】[漢字項目]

常用漢字] [音]カツ(クヮツ)(漢) コツ(漢) [訓]すべる なめらか ぬめる
カツ
なめらかで滞りがない。「円滑潤滑平滑円転滑脱
すべる。「滑空滑降滑車滑走滑落
〈コツ〉秩序を乱す。まぜ返しておどける。「滑稽こっけい
難読滑子なめこ滑革ぬめかわ

ぬめ【滑】

敷居鴨居かもいなどの部材で、溝のないもの。無目むめ

こつ【滑】[漢字項目]

かつ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「滑」の意味・読み・例文・類語

ぬめり【滑】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「ぬめる(滑)」の連用形の名詞化 )
    1. ぬめること。なめらかでぬるぬるすること。また、ぬるぬるしたもの。
      1. [初出の実例]「ぬかにて磨き、ぬめりのなき程にして、にごり酒にて能煮候也」(出典:大草家料理書(16C中‐後か))
    2. なめらかで光沢があること。
      1. [初出の実例]「袖口の繻子のぬめりに見ほれけんすべりこんだる風の梅が香」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)
    3. ぬるぬるする液。粘液。
      1. [初出の実例]「銀象嵌とも見たてられる蝸牛のぬめりに」(出典:蝴蝶(1889)〈山田美妙〉二)
    4. 泥にまみれること。
    5. 平凡で見所のない和歌・連歌・俳諧をいう語。特に、連句で平々凡々な付句をいう。
      1. [初出の実例]「多くは歌よみ連歌師のぬめりに、さよの中山に旅ねの詞をつづけ」(出典:俳諧・鶉衣(1727‐79)前)
    6. のらりくらりと放蕩すること。遊里通いをすること。なまめいた遊びをすること。
    7. ぬめりうた(滑歌)」の略。
      1. [初出の実例]「先年上方より坂田平四郎といふ者下り、菊之丞所作にあはせて無げんといふ少し許りの小歌を謡ひし也。これをぬめりといふ」(出典:随筆・奈良柴(1767))
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 多く「と」を伴って用いる ) なめらかで、ぬるぬるしているさまを表わす語。ぬまり
    1. [初出の実例]「Numerito(ヌメリト)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 「黒い藻が〈略〉、時々は脚にぬめりと絡む事もあった」(出典:虻(1910)〈青木健作〉一)

なめ【滑】

  1. 〘 名詞 〙 なめらかなこと。また、つるつるしたもの。ぬめぬめしたもの。ねばねばしたもの。
    1. [初出の実例]「佐那〈此の二字は音を以ゐる〉葛(かづら)の根を舂(うすづ)き、其の汁(しる)の滑(ナメ)を取て、其の船の中の簀椅(すはし)に塗りて」(出典:古事記(712)中(延佳本訓))

ぬめ【滑】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 銭の裏面で文字のない面。〔物類称呼(1775)〕
  3. 敷居や鴨居で溝のないもの。

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普及版 字通 「滑」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音] カツ(クヮツ)・コツ
[字訓] なめらか・すべる・みだれる

[説文解字]
[その他]

[字形] 形声
声符は骨(こつ)。骨になめらか、つややか、みだれるなどの意がある。〔説文十一上に「利なり」とあり、滑利とはなめらかなことをいう。

[訓義]
1. なめらか、つややか、美しい。
2. すべる、やわらか。
3. (こつ)・(こつ)と通じ、ごたごたとみだれる、水がにごる。
4. 猾と通じ、ずるい、ずるがしこい。

[古辞書の訓]
名義抄〕滑 ナメラカナリ・ナダラカニ・ナメル 〔字鏡集〕滑 ナメラカナリ・ナダラカナリ・ナヌ(メ)ル・トラケヌ・ミダル・トシ

[熟語]
滑甘・滑鬼・滑稽滑膩・滑柔・滑潤滑賊滑汰・滑泰・滑沢滑磴・滑頭・滑落滑吏・滑利・滑和滑疑・滑・滑滑然滑梯・滑泥・滑・滑民・滑乱
[下接語]
円滑・温滑・凝滑・険滑・堅滑・膩滑・柔滑・潤滑・甜滑・軟滑・平滑

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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