烏有に帰す(読み)ウユウニキス

デジタル大辞泉 「烏有に帰す」の意味・読み・例文・類語

烏有うゆう・す

すっかりなくなる。特に、火災で焼けることにいう。「戦災で貴重な資料が―・した」
[類語]台無し駄目ふいおじゃん無駄空中分解挫折くたびれもうけおしまいわやパンクぼつ形無し骨抜き棒に振る元も子もない徒労不毛無くもがなあらずもがな無にする無になる無に帰する水泡に帰する水の泡

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精選版 日本国語大辞典 「烏有に帰す」の意味・読み・例文・類語

うゆう【烏有】 に=帰(き)す[=属(ぞく)す]

  1. すっかりなくなる。だめになる。特に、火災で滅びる。
    1. [初出の実例]「又烏有に帰するを畏怖戦慄するの念は」(出典:真理一斑(1884)〈植村正久〉七)

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故事成語を知る辞典 「烏有に帰す」の解説

烏有に帰す

何もかもがなくなること。特に、火事丸焼けになること。

[使用例] 全国石油備蓄の約一〇パーセント、二百五十万キロリットルが烏有に帰した[小松左京日本沈没|1973]

[由来] 紀元前二世紀、前漢王朝の時代の中国の文人、司馬しょうじょの「きょの賦」という作品から。架空の三人の人物会話によって、皇帝のぜいたくな生活ぶりをやんわりと注意した文章で、その登場人物の一人が、「烏有先生」と名付けられています。「烏有」とは、漢文では「いずくんぞ有らんや」と読み、何もないという意味を表します。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「烏有に帰す」の意味・わかりやすい解説

烏有に帰す
うゆうにきす

まったく何もなくなることで、とくに火災にあって丸焼けになることをいう。「烏有」は「いずく(烏)んぞ有らんや」で、まったくないことを意味する。『漢書(かんじょ)』司馬相如(しばそうじょ)伝に、漢の詩人司馬相如が「子虚賦(しきょのふ)」をつくり、そのなかに3人の仮構の人物を設定して、それぞれ子虚(うそつき)、烏有先生(皆無の人)、亡是(むぜ)公(実在しない人)と名づけたとあることから、「烏有の事」ということばは、小説などの虚構、こしらえ事を意味するようになった。

[田所義行]

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