片口・偏口(読み)かたくち

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 口の一方の端。
※四河入海(17C前)一一「美人なんどは大咲はせぬものぞ。そっとかた口(クチ)で咲たりなんどするを、強一咲すると云ぞ」
※蔭凉軒日録‐長享二年(1488)五月二五日「鋳師持片口一対来」
③ 一方だけにつぎ口があり、取っ手のない鉢(はち)。酒、酢、しょうゆなどを他の容器に移すときに用いる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※俳諧・落柿舎日記(1774)「片口の溜りをそっとさし出して〈洒堂〉 迎ひをたのむ明日のわかれ端〈去来〉」
④ 馬の差縄(さしなわ)を左右どちらか片方だけにつけること。片差縄(かたさしなわ)
※長門本平家(13C前)一六「或ひはもろ口にひくもあり。或ひはかた口に引かせ」
⑤ 馬が一方に顔を傾ける癖。また、そのような癖の馬。
⑥ 一方の人だけの陳述。片方だけの言い分。または、それだけをとりあげること。片言(かたこと)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「味方同士の片口(カタクチ)であるから、一から十まで信(あて)にはならぬけれど」
⑦ 何か事をするいっぽう。
※義経記(室町中か)四「酒飲むかたくちに案じつつ」
⑧ (形動) 一つの方にだけかたよるさま。一方的。
※徂徠先生答問書(1725)下「何程学候ても知見の進み広まる事は曾て無之、只片口にぜうのこわき事に罷成候」
⑨ 定置網の入り口が垣網の片側だけに開いている型。
※物類称呼(1775)二「ひしこ〈略〉相模及西国にて、かたくちいわしと云 又片口と斗もいふ」
⑪ 魚「めだか(目高)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
⑫ カタクチイワシを干したもの。ごまめ。〔物類称呼(1775)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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