猩猩(読み)ショウジョウ

デジタル大辞泉の解説

しょう‐じょう〔シヤウジヤウ〕【××猩】

オランウータンの別名。
想像上の動物。オランウータンに似るが、顔と足は人に似て髪は赤く長く垂れ、よく酒を飲むという。
酒の好きな人。大酒飲み。
能面の一。童子の顔を赤く彩色した面。「猩猩」などに用いる。
歌舞伎隈取(くまど)りの一。薄い赤地にまゆや目の下などを紅でくまどるもの。

しょうじょう【猩猩】[謡曲]

謡曲。五番目物。庭訓抄(ていきんしょう)などに取材。孝行の徳により、富貴となった唐土高風の前に猩猩が現れ、酒をくみ交わして舞をまい、くめども尽きない酒壺を与える。
に取材した長唄地歌一中節などの曲。

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世界大百科事典 第2版の解説

しょうじょう【猩猩 xīng xīng】

現在では一般に南方に生息するオランウータンを指すが,中国の古典等に現れる猩猩は想像的要素が強く,姿の形容もさまざまである。一般には猿に似ているとされ,長髪で人の顔,人の足をし,その声は小児の泣くようであり,群れを作ってはって歩くという。一説に,狗(いぬ)や豕(ぶた)に似ているともいう。《礼記(らいき)》曲礼上に〈猩猩能(よ)く言う〉とあるが,ただ人の言葉がわかるにすぎないともされる。猩猩は酒と屐(げた)が大好きであった。

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大辞林 第三版の解説

しょうじょう【猩猩】

オランウータンのこと。または、オランウータン・ゴリラ・チンパンジーをさす。
中国の、想像上の動物。猿に似ているとされ、人の顔と足をもち、人の言葉を解し、酒を好むという。日本では、赤面赤毛とされている。
酒飲みの異名。
能の曲名(別項参照)。

しょうじょう【猩猩】

能の一。五番目物。作者未詳。唐土の高風という孝行者が、夢のお告げで酒を売り富貴になる。ある月夜潯陽江しんようのえに猩猩が現れ、酒を酌みかわして舞を舞い、高風の孝心をめでて酒の泉を与えるという筋。乱みだれ
能面の一。童子の面を赤く彩色したもの。などに用いる。
能の「猩猩」に題材をとった長唄・地歌・一中節などの曲。

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精選版 日本国語大辞典の解説

しょう‐じょう シャウジャウ【猩猩】

[1] 〘名〙
① =オランウータン〔博物図教授法(1876‐77)〕
② 想像上の怪獣。猿に似て体は朱紅色の長毛でおおわれ、顔はヒトに、声は小児の泣き声に似て、人語を解し酒を好むという。
※秘蔵宝鑰(830頃)中「言而不行何異猩猩
※浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸「ふだん猩々(シャウジャウ)のごとく酔て暮し」 〔礼記‐曲礼上〕
③ 酒や酢などの香に集まるハエの幼虫。蠁子(さし)
※壒嚢鈔(1445‐46)六「酒の香に付く小虫を猩々と云ふは何に事そ」
④ 能面の一つ。妖精の少年をあらわす。赤く彩色されている。
⑤ 芝居の役者の隈取(くまどり)の一つ。②の顔のように赤くいろどるもの。〔劇場新話(1804‐09頃)〕
⑥ (②が酒好きとされるところから) 大酒を飲む人。酒豪。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※苦の世界(1918‐21)〈宇野浩二〉一「そんな猩々さんはせうちうのはうが柄にあってる」
⑦ (これをかぶると②のように頭が赤くなるところから) 疱瘡(ほうそう)の病気をした子どもの頭に、呪いとしてのせる紅木綿の手拭。
※雑俳・削かけ(1713)「出たはいの・猩々くさいだんではない」
※浄瑠璃・太平記忠臣講釈(1766)七「門に棄てたる猩々(シャウジャウ)も、涙の種の笑ひ顔」
⑧ 「しょうじょうぎく(猩猩菊)」の略。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
⑨ 梅ぼしをいう俗語。
[2]
[一] 謡曲。五番目物。各流。作者未詳。唐土の高風は親孝行だったので、夢のお告げによって市で酒を売り次第に富貴になる。ある夜潯陽江(しんようのえ)から猩々が現われ、高風の素直な心を賞して酒の泉を与えて舞を舞う。現行曲は前半を省略して半能形式の祝言能にしたもの。
[二] 歌舞伎所作事。長唄。二世桜田治助作詞。二世杵屋佐吉作曲。本名題「猩々雪酔覚(しょうじょうゆきのえいざめ)」。文政三年(一八二〇)江戸中村座初演。三世坂東三津五郎の七変化舞踊「月雪花名残文台(つきゆきはななごりのぶんだい)」の一つ。雪の浜辺での猩々の一人踊り。現在はほとんど廃絶。
[三] 江戸時代に行なわれた河原崎座の脇狂言の題名。明治七年(一八七四)、東京の芝新堀町に開場した河原崎座では「寿二人猩々(ことぶきににんしょうじょう)」と題して復活した。二人猩々。
[四] 地唄。通称「女猩々」。伊勢屋三保作曲。謡曲「猩々」の文句を、遊女が銀襖の前で大杯をあおる趣向に書き替えたもの。京舞の手がついている。
[五] 一中節。安政二年(一八五五)都一清作曲。謡曲「猩々」の文句をほとんどそのまま用いる。山田流の箏曲では、この作曲のまま演奏している。

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世界大百科事典内の猩猩の言及

【オランウータン】より

…ショウジョウ(猩々)とも呼ばれる。アフリカのゴリラ,チンパンジー,ピグミーチンパンジーに対して,オランウータンはアジアの唯一の大型類人猿である(イラスト)。霊長目ショウジョウ科。インドネシアのボルネオ島とスマトラ島のそれぞれに生息する2亜種が区別されているが,亜種間の違いはそれほど顕著なものではない。オランウータンというのは〈森の人〉を意味するマレー語で,彼らの生息地はこの2島の熱帯降雨林に限られている。…

※「猩猩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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