(読み)カン

デジタル大辞泉 「甘」の意味・読み・例文・類語

かん【甘】[漢字項目]

常用漢字] [音]カン(呉)(漢) [訓]あまい あまえる あまやかす うまい あまんずる
カン
味があまい。「甘味
おいしい。うまい。「甘美甘露
満足する。気に入る。「甘言甘受甘心
〈あま〉「甘辛甘酒甘茶大甘
[名のり]かい・よし
難読甘藷さつまいも

うま【甘/味】

形容詞「うまし」の語幹名詞に付いて複合語を作る。
味がよい、うまい意を表す。「―酒」「―いい
貴い意を表す。「―人」
眠りの度合いの深い意を表す。「―

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「甘」の意味・読み・例文・類語

あまえ【甘】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「あまえる(甘)」の連用形名詞化 ) 甘えること。気ままなこと。現代では、多く、下の者が上の者になれ親しんでよりかかることをいう。
    1. [初出の実例]「父に対する甘えが」(出典:光と風と夢(1942)〈中島敦〉七)

あま【甘】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞や形容詞の上に付けて「甘い」の意を表わす。「あまかす」「あまざけ」「あまぐり」「あまずっぱい」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「甘」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] カン
[字訓] かぎ・あまい

[説文解字]

[字形] 象形
左右の上部に横に鍵を通す錠の形で、拑・鉗の初文。中にものを嵌入する意がある。甘声の字はおおむねその声義を承ける。〔説文〕五上に「美なり。口の一を含むに從ふ。一はなり」と甘美の意とするが、それはの義をとったものであろう。甘の字はがその本字。甘はもと鉗の初文で、首かせに施錠する意の字である。

[訓義]
1. かぎ、くびかせ、くびかせのかぎ、はさむ。
2. と通じ、あまい、うまい。
3. あましとする、あまんずる。
4. よく熟する、熟して甘味がある。
5. と通じ、たのしむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕甘 アマムス・アマシ・アマナフ・ムマシ・ネムコロナリ・ネガフ・ネガハクハ・クツロク 〔字鏡集〕甘 アマナフ・アマネシ・ムナ(マ)シ・ネガフ・ネガハクハ・ココロヨシ・ネンゴロ・ツクロフ・タノシフ・タノシム・ヨシ

[部首]
〔説文〕に・甚をその部に属し、〔玉〕に甞など三字を加えるが、の他はみな甘美とは関係のない字である。は金文の「蔑(べつれき)」を、郭沫若は「蔑(べつかん)」にして免冑の意とするが、「蔑」は功暦を蔑(伐)旌(べつせい)(表彰)する意である。は犬の肩肉を神に供する意で、字形中の曰は肩の骨臼部分の象。また甚の上部は竈にかけた鍋の形で、(に)る意。すなわちの他の諸字は、甘の象に従う字ではない。

[声系]
〔説文〕に甘声として・拑・鉗・・箝など十二字を収める。拑・鉗・箝などの字によって、甘が鉗制・嵌入の意をもつ字であることは明らかである。

[語系]
甘・・柑kam、hamは甘美の字。拑・鉗・箝giamは鉗子・嵌入の意をもつ字。甘美の意は草(かんぞう)より出ており、甘は鉗の初文である。

[熟語]
甘意・甘雨・甘液・甘・甘果甘堝・甘鍋・甘甘・甘橘・甘苦・甘屈・甘結・甘言甘肴甘膏・甘坐・甘罪・甘旨・甘死甘嗜・甘甘辞・甘・甘酒・甘受・甘・甘・甘食・甘心・甘寝・甘・甘甘毳・甘泉・甘鮮・甘膳・甘草・甘足・甘沢・甘茶・甘波・甘美甘肥・甘服・甘分・甘芳・甘味・甘蜜・甘眠甘冥・甘瞑甘腴・甘養甘楽・甘利・甘霤・甘・甘露・甘鹵・甘
[下接語]
含甘・言甘・口甘・酸甘・旨甘・食甘・辛甘・寝甘・清甘・甘・珍甘・甜甘・濃甘・肥甘・微甘・烹甘・和甘

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【甘粛[省]】より

…中国西北部の省。略称は〈甘〉または〈隴(ろう)〉。西は新疆ウイグル自治区,南西から南は青海,四川,東は陝西の諸省,北は内モンゴル自治区と寧夏回族自治区に隣接し,面積約45万4000km2。…

※「甘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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