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私刑 しけいlynching

翻訳|lynching

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

私刑
しけい
lynching

国家の罰権の発動をまたずに,私人もしくは私的団体が自力で行う刑事制裁。中国では,公的権威の古い確立にもかかわらず,古くから私刑が行われていた。特に同族集落内における盗犯や姦淫などについては,法によらない制裁が行われた。清代末には商工業者仲間や秘密結社といわれたチンパン (青 帮) ,ホンパン (紅 帮) 仲間の規約違反者に対してはきびしい私的制裁を科した。日本では,中世でも私刑的なものはあったが,公刑に対して私刑がはっきりした存在を示すのは近世に入ってからである。江戸時代,幕府は公刑主義をとっていたが,村方では博奕をした者などに過料を科することは黙認していたし,そのほか村方で,火事と葬式の場合を除いて行われた村八分とか,一般の家庭で放蕩者を座敷牢に入れるような私刑は広く行われていた。明治以後,国家がすべての刑罰権を独占するようになり,私刑は犯罪として禁止された。いわゆる「リンチ」と呼ばれるものは,アメリカ独立革命期のバージニア治安判事 C.リンチが反革命分子に対して制裁を加えた故事に由来するといわれるが,欧米においても,法律制度が十分に整っていない植民地や辺境地域,開拓地などで非合法な制裁が私的団体の内部で行われた。アメリカでは植民地時代から 19世紀を通じて反社会的行動を住民の共同の制裁によって抑制していた。特に西部開拓地域ではいわゆる無法者に対して私刑がしばしば行われた。また南部の奴隷制反対論者,北部の労働運動指導者にも私的な危害が加えられ,南北戦争で奴隷制が廃止されたのちも,奴隷制支持者たちはクー・クラックス・クランなどの非合法組織をもって黒人に対する私刑を行なった。

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デジタル大辞泉の解説

し‐けい【私刑】

個人や集団が、法律によらずに加える制裁。私的制裁。リンチ。

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百科事典マイペディアの解説

私刑【しけい】

国家ないし公権力の刑罰権によらず,私人もしくは私的団体の行う制裁。法律上は違法であり,刑法に触れるかぎり処罰を免れない。江戸時代には敵討(かたきうち),切捨御免などは公権力に認められていた。

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デジタル大辞泉プラスの解説

私刑

米国の作家パトリシア・コーンウェルのミステリー(1995)。原題《From Potters Field》。「検屍官ケイ」シリーズ第6作。

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世界大百科事典 第2版の解説

しけい【私刑】

国家ないし公権力の公刑罰法規によらず,私人あるいは私的団体のおこなう制裁をさす。政治的権威が十分に確立せず公刑罰法規が実現されていない前近代の社会において,私刑の執行は広くみられる現象であるが,一応の公刑罰法規が存在し,その禁止が規定された社会においても私刑は往々行われ,当該社会の存立基盤,組織のありさまの一端をわれわれに示している。中国,ヨーロッパについて以下にみる。
[中国]
 中国では早くから国家,公権力による刑罰法規の発達をみ,私刑は原則的に禁止されていた。

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大辞林 第三版の解説

しけい【私刑】

法によらず、個人や集団が勝手に犯罪者などに加える制裁。私的制裁。リンチ。

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