米原(市)(読み)まいばら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「米原(市)」の意味・わかりやすい解説

米原(市)
まいばら

滋賀県東部にある市。2005年(平成17)坂田郡山東(さんとう)、伊吹(いぶき)、米原(まいはら)の3町が合併して市制施行。同年同郡近江町(おうみちょう)を編入、これにより坂田郡は消滅した。北には伊吹山地、南には鈴鹿(すずか)山脈北端の霊仙(りょうぜん)山があり、西は琵琶湖(びわこ)に面する。天野川(あまのがわ)が中央を貫流し、北部を姉川が流れる。東部の山間部から西に向かって緩やかに傾斜し、琵琶湖沿岸には沖積平野や干拓地が広がる。古くから交通の要衝として知られ、天野川河口の朝妻湊(あさづまみなと)は琵琶湖水運の要港として栄えた。江戸時代には中山(なかせん)道の柏原(かしわばら)、醒井(さめがい)、番場(ばんば)、北国街道の米原に宿場が置かれた。現在はJR東海道本線、北陸本線、東海道新幹線、近江鉄道、国道8号、21号、365号が通じ、米原ジャンクションで名神高速道路と北陸自動車道が接続している。農業は稲作を中心に行われているが、近年では農家数が減少、集落営農や農業法人の経営に移行している。琵琶湖でのアユ、フナ漁のほか、醒井養鱒(ようそん)場があり、ニジマスの養殖も行われている。近世からの近江真綿の伝統を受け継ぐ繊維工業のほか、工業団地も造成され、工場や研究施設の進出がみられる。北東部の伊吹山琵琶湖国定公園に含まれ、周辺では薬草を産する。天野川流域の「長岡ゲンジボタルおよびその発生地」は国の特別天然記念物に指定されている。三島池カモなどの水鳥の飛来地で、サクラの名所としても知られる。松尾寺九重塔、蓮華寺(れんげじ)の銅鐘などは国指定重要文化財。また、清滝寺京極家墓所は国指定史跡、福田寺庭園、青岸寺庭園、醒井峡谷は国指定名勝。朝日豊年太鼓踊は国選択無形民俗文化財に指定されている。面積は250.39平方キロメートル(一部境界未定)、人口3万7225(2020)。

[編集部]


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