絶つ(読み)タツ

デジタル大辞泉 「絶つ」の意味・読み・例文・類語

た・つ【絶つ/断つ】

[動タ五(四)]
(断つ)つながっているものを切り離す。切断する。「鎖を―・つ」「糸を―・つ」

㋐(絶つ・断つ)これまで続いていた物事関係などをやめて終わりにする。つながり・縁を切る。「酒を―・つ」「消息を―・つ」「国交を―・つ」
㋑(断つ)断ちものをする。「茶を―・つ」
(絶つ)終わらせる。尽きさせる。「命を―・つ」「望みが―・たれる」
(断つ)道などをさえぎって通わなくする。「糧道を―・つ」「回路を―・つ」
[可能]たてる
[下接句]跡を絶つ韋編いへん三度みたび絶つ快刀乱麻を断つ舌のつるぎは命を絶つちりを絶つ根を絶つはらわたを断つ筆を断つ
[類語]やめる切り上げるよす打ち切る中止するとりやめる休止停止中断中絶ストップ沙汰止みお流れ立ち消え途絶断絶手を引く放り出す見合わせる見送る思いとどまる踏みとどまる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「絶つ」の意味・読み・例文・類語

た・つ【絶・断・截・裁】

  1. 〘 他動詞 タ行五(四) 〙
  2. 物を切り離す。つながっているものを断ち切る。切断する。
    1. [初出の実例]「厩なる縄多都(タツ)駒の後(おく)るがへ妹が言ひしを置きてかなしも」(出典万葉集(8C後)二〇・四四二九)
    2. 「ノヲ、または、ヤノヲ tatçu(タツ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  3. ( 裁 ) 衣服にするために布を切る。
    1. [初出の実例]「服(はたもの)は、自ら衣裳と成りて、更に裁(た)ち縫ふこと無く」(出典:常陸風土記(717‐724頃)久慈)
  4. つながりを切って関係をなくする。縁を切る。交際をやめる。
    1. [初出の実例]「しも月もおなじごとにて、廿日になりにければ、今日見えたりし人、そのままに廿よ日あとをたちたり」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「流転三界中などいふにも、たち果ててしものをと思ひ出づるも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)
  5. 続けていたことをやめる。また、特定のものを飲食することをやめる。
    1. [初出の実例]「五こくをたちて千余日に力をつくしたる事すくなからず」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「二十年の秋七月に筆を絶(タツ)」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  6. 終わらせる。滅ぼす。
    1. [初出の実例]「おぼろかに 心思ひて 虚言(むなこと)も 祖(おや)の名多都(タツ)大伴の 氏と名に負へる ますらをの伴」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四六五)
    2. 「ヒトノ イノチヲ tatçu(タツ)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  7. さえぎる。隔てる。
    1. [初出の実例]「此所を切れ、彼所をたて。子孫あらせじと思ふなり」(出典:徒然草(1331頃)六)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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