小児を肩の上で,足を首にまたがせて載せることをいう。近畿から東海にかけてこれをカタクマと呼ぶのは,肩を駒にしてそれに乗るという意味から来ているのであろう。現在でも,人ごみの中で何か遠くのものを子どもに見せようとするときなどにこの形をとることがあるが,もとは,(1)男が成年に達したときの儀礼,(2)女の嫁入りのときの儀礼,(3)神事舞踊,(4)呪術や祈禱などに際して,土に触れると神聖性を失うおそれありとされた場合にこの姿が採られたようである。現在でも各地の祭りに,稚児(ちご)が登場するに当たって乗馬・乗輿でないときにはこの姿が採られる。和歌山県芳養(はや)の祭りでは,ビンジョロウと呼ばれる神聖な童児の役の男児が肩車に乗って出る。兵庫県曾根の祭りのときのカゲシ(勘解由使か)の役の男児も同じで,総じて近畿各地の祭礼において重要な役である〈頭人児(とうにんご)〉の登場には,よくこの方式が守られているようである。
執筆者:萩原 龍夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
子供を肩に乗せて歩くこと。乗った子は両足を大人の首の両側に伸ばし、大人はそれを両手でしっかりと押さえ、子供のほうは大人の頭につかまって体を支える。現在でも祭りや見せ物などの際によくみかける。昔は川越(かわごし)のとき、客も川越人夫に肩車をしてもらって川を渡った。また江戸では女の子の7歳の帯解(おびとき)の祝いに、出入りの者が肩車して、おもだった家々を挨拶(あいさつ)して回った。肩車の方言が、カタクマ(京阪)、クビコンマ(福島)、ビンビクマ・ベベクマ(山口)など、全国にわたって非常に数が多いのは肩車が古くから各地で行われていたためである。肩に乗せるのは、他民族の類例と比較して、おそらくは肩に乗せた者の足を地に触れさせないためであったろうといわれており、信仰的、宗教的な面からの意義が考えられている。貴人の歩く部分に敷物を敷くのも、足が直接地に触れるのを忌んだためであろう。
[丸山久子]
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