辰(漢字)

普及版 字通 「辰(漢字)」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 7画

[字音] シン
[字訓] かい・とき・たつ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
(しんぼう)などの貝の類が、足を出して動いている形。〔説文〕十四下に「震ふなり。三、陽气動き、電振ふ。民の農時なり。物皆生ず。乙匕(いつひ)に從ふ。匕は(ばうたつ)(草木の芽)に象る。厂(かん)の聲」(段注本)とする。当時の五行説によって説くものである。なお「辰は星、天時なり」と、星の名にして農祥とし、字形中の二は上の意であるという。字は蜃の象形。その貝殻は刈器として耨(くさきり)に用いられ、蜃器に対する古い信仰を生んで、祭祀にも蜃を用いた。〔周礼、地官、掌蜃〕に「祭祀には蜃の蜃を共(供)することを掌る」とあり、〔春秋、定十四年〕「秋、天王、石をして、來(きた)りて蜃を歸(おく)らしむ」のような例がある。西周期の金文の紀月の法に、「辰(とき)は五に在り」のようにいうのは、辰が農時の意から、時期の意に転用されたものであろう。日月の会するところの十二次を辰といい、また星宿の名に用いる。

[訓義]
1. かい、のち蜃に作る。
2. うごく、とき。
3. 日月の交会のところ。
4. 十二支の一、たつ。
5. たつのとき、今の午前八時・九時。
6. 晨と通じ、あした。
7. 房星。

[古辞書の訓]
名義抄〕辰 トキ 〔字鏡〕辰 ノブ・ホシ・トキ・フルフ・ハチ・ツブサニ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に、辱をこの部に属する。辱は蜃器をもって草を刈る意で、耕耨(こうどう)のことをいう。

[声系]
〔説文〕に辰声として・唇・・賑・晨・震・振・娠・蜃など十七字を収める。は社肉を蜃器に盛れて祀る。蜃器、振動の意をもつものが多い。

[語系]
辰・蜃・zjinは同声。蜃器・蜃肉をいう。娠・振・震tjinは声義近く、みな震動の意がある。

[熟語]
辰緯辰駕辰漢・辰・辰辰儀辰極・辰光辰刻辰砂・辰事辰宿辰象・辰星辰精・辰・辰辰明・辰夜・辰・辰良
[下接語]
佳辰・嘉辰・忌辰・吉辰・元辰・在辰・三辰・時辰・朱辰・初辰・浹辰・象辰・上辰・生辰・星辰・聖辰・大辰・誕辰・同辰・日辰・芳辰・北辰・良辰・令辰

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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