(読み)シン

デジタル大辞泉 「辰」の意味・読み・例文・類語

しん【辰】[漢字項目]

人名用漢字] [音]シン(漢) [訓]たつ
十二支の5番目。たつ。「戊辰ぼしん
日時。日がら。「佳辰吉辰生辰誕辰良辰
日・月・星の総称。「辰宿三辰星辰北辰
[名のり]とき・のぶ・のぶる・よし

たつ【×辰】

十二支一つで、その5番目。
方角の名。東から南へ30度の方角。東南東
昔の時刻の名。今の午前8時ごろ、およびその後の2時間。または午前8時前後の2時間。
1にあたる年や日。
陰暦3月の異称

しん【×辰】

十二支の第五。たつ。
とき。
㋐時刻。
㋑日。日がら。
㋒朝。早朝
天体。日と月と星。
二十八宿の一。蠍座さそりざ

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精選版 日本国語大辞典 「辰」の意味・読み・例文・類語

たつ【辰】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 十二支の一つで、その第五番目。しん
    1. [初出の実例]「ね うし とら う たつ み ひと夜ねてうしとらこそは思ひけめうきなたつみぞわびしかりける〈よみ人しらず〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)物名・四二九)
  3. 年月日、方角、時刻に配して、その呼び名とするもの。
    1. (イ) にあたる年や日。
    2. (ロ) 東から南へ三〇度寄った方角。東南東
    3. (ハ) 現在の午前八時頃。また、その前後二時間。一説に、その後二時間。辰の刻。辰の時。
      1. [初出の実例]「櫓鼓、寅の時に枹を揚げ、連撃して辰に達す」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)初)
    4. (ニ) 三月の異称。

しん【辰】

  1. 〘 名詞 〙 十二支の一つで、その第五番目。たつ。〔白虎通五行

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普及版 字通 「辰」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 7画

[字音] シン
[字訓] かい・とき・たつ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
(しんぼう)などの貝の類が、足を出して動いている形。〔説文〕十四下に「震ふなり。三、陽气動き、電振ふ。民の農時なり。物皆生ず。乙匕(いつひ)に從ふ。匕は(ばうたつ)(草木の芽)に象る。厂(かん)の聲」(段注本)とする。当時の五行説によって説くものである。なお「辰は星、天時なり」と、星の名にして農祥とし、字形中の二は上の意であるという。字は蜃の象形。その貝殻は刈器として耨(くさきり)に用いられ、蜃器に対する古い信仰を生んで、祭祀にも蜃を用いた。〔周礼、地官、掌蜃〕に「祭祀には蜃の蜃を共(供)することを掌る」とあり、〔春秋、定十四年〕「秋、天王、石をして、來(きた)りて蜃を歸(おく)らしむ」のような例がある。西周期の金文の紀月の法に、「辰(とき)は五に在り」のようにいうのは、辰が農時の意から、時期の意に転用されたものであろう。日月の会するところの十二次を辰といい、また星宿の名に用いる。

[訓義]
1. かい、のち蜃に作る。
2. うごく、とき。
3. 日月の交会のところ。
4. 十二支の一、たつ。
5. たつのとき、今の午前八時・九時。
6. 晨と通じ、あした。
7. 房星。

[古辞書の訓]
名義抄〕辰 トキ 〔字鏡〕辰 ノブ・ホシ・トキ・フルフ・ハチ・ツブサニ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に、辱をこの部に属する。辱は蜃器をもって草を刈る意で、耕耨(こうどう)のことをいう。

[声系]
〔説文〕に辰声として・唇・・賑・晨・震・振・娠・蜃など十七字を収める。は社肉を蜃器に盛れて祀る。蜃器、振動の意をもつものが多い。

[語系]
辰・蜃・zjinは同声。蜃器・蜃肉をいう。娠・振・震tjinは声義近く、みな震動の意がある。

[熟語]
辰緯・辰駕・辰漢・辰・辰・辰儀・辰極・辰光・辰刻・辰砂・辰事・辰宿・辰象・辰星・辰精・辰・辰・辰明・辰夜・辰・辰良
[下接語]
佳辰・嘉辰・忌辰・吉辰・元辰・在辰・三辰・時辰・朱辰・初辰・浹辰・象辰・上辰・生辰・星辰・聖辰・大辰・誕辰・同辰・日辰・芳辰・北辰・良辰・令辰

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「辰」の意味・わかりやすい解説


たつ

十二支の第5番目。「しん」ともいい、十二支獣として竜があてられる。3月の異称として用いられるほか、時刻としても用いられ、今日の午前8時を中心とした前後2時間を「辰の刻」「辰の時」といった。方角としては東から南へ30度寄った方向をいい、東南東にあたる。南東の方角を辰巳(たつみ)(巽)というが、この辰巳の語は南東から吹いてくる強風をもいう。また江戸時代には、辰巳、辰巳の里の語は、江戸の代表的な岡(おか)場所(未公認の遊里)深川の異称でもあったが、これは深川が江戸の町の南東に位置していたことによる。なお、上方(かみがた)の粋人ことばで「辰を上げる」といえば、物を盗む、ちょろまかすことを意味した。

[宇田敏彦]

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占い用語集 「辰」の解説

十二支の一つ。陽の土で、季節は土用、月は4月、時間は7~9時、方位は東南東を表す。

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