開善寺(読み)かいぜんじ(英語表記)Kai-shan-si

日本歴史地名大系 「開善寺」の解説

開善寺
かいぜんじ

[現在地名]飯田市上川路

上川路かみかわじの西部に連なる開善寺山東南麓の平地にあって、前方やや隔てて久米くめ川が流れ、背後にうえぼう台地を控え、古樹鬱蒼と茂り、境内は広く、江戸時代においても方二二〇メートルの広さがあったと伝えられる。古代より開発が行われた地域で、境内より奈良時代の瓦片が多量に出土し、近くには前方後円墳がみられる。

臨済宗妙心寺派、畳秀山と号す。本尊は聖観音。寺伝は建武二年(一三三五)小笠原貞宗が元僧清拙正澄(大鑑禅師)を請じて開山となし、創建したとしている。しかし貞和二年(一三四六)七月一九日の越後国奥山庄をめぐる相論において下された室町幕府の裁許(「室町幕府下知状案」三浦和田文書)の傍証資料として、

<資料は省略されています>

とあり、奥山庄が伊賀良いがら庄同様北条氏の所領であることを示している。


開善寺
かいぜんじ

臨済宗妙心寺派。畳秀山と号する。本尊観音菩薩。馬借ばしやく町にあったが、昭和三六年(一九六一)現小倉南区湯川ゆがわに移転。寛永九年(一六三二)小笠原忠真の小倉転封に従ってきた小笠原家の菩提寺。同家の祖小笠原貞宗が信濃守護職だった建武二年(一三三五)伊奈いな郡に開善寺を建て、大鑑(拙澄)を開基とした。貞宗はこれを氏寺とし、貞慶・秀政の移転に随行、忠真のとき寛永九年小倉に移り、開善寺四世南津が位牌をもって従い、馬借町の泰厳たいげん寺跡に入った。


開善寺
かいぜんじ

[現在地名]本庄市中央二丁目

県道勝場かつぱ―本庄線(旧中山道)の北側に位置し、旧本庄宿のほぼ中央にあたる。畳秀山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊は聖観音。天正一九年(一五九一)本庄城主小笠原信嶺が開基となり、信嶺の夫人久旺院尼の兄である球山実温が招かれて当寺を開山した。「風土記稿」によると、球山は春日局の叔父にあたり、信濃国伊那いな川路かわじ村開善寺(現長野県飯田市)の住僧として天正一九年に当地に赴き、一寺を草創して同寺の寺号を襲い、合せて住職になった。慶安二年(一六四九)徳川家光が寺領一五石を寄進した(開善寺文書)


開善寺
かいぜんじ

[現在地名]長野市松代町西条

舞鶴山麓にある。真言宗智山派。金剛樹山と号し、本尊地蔵尊、奈良長谷寺の末。真田藩主代々の祈願所。

もとは小県ちいさがた海野うんの(現東部町)にあって海善寺と称した。真田昌幸が上田城築城の時その地に移して鬼門鎮護とし、武田信玄より祈願状と寺領二四貫文の寄進があった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「開善寺」の意味・わかりやすい解説

開善寺
かいぜんじ
Kai-shan-si

中国,河北省新城県県城内にあり,俗称大寺。境内の重要な遺構は遼代の建築と考えられる大殿で,桁行5間 (25.8m) ,梁行3間 (14.4m) ,単層,寄棟造で前面に月台をもつ大建築である。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「開善寺」の解説

開善寺 かいぜんじ

?-? 江戸時代後期の陶工。
寛政年間(1789-1801)に信濃(しなの)(長野県)伊那の開善寺境内で,楽焼をつくった。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「開善寺」の解説

開善寺

長野県飯田市にある寺院。室町時代前期に建てられた山門は国の重要文化財に指定されている。フジ、ボタンシャクナゲなどの名所。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

事典・日本の観光資源 「開善寺」の解説

開善寺

(長野県飯田市)
信州の古寺百選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内の開善寺の言及

【霊谷寺】より

…江蘇省南京市東北の鐘山(しようざん)(蔣山,一名紫金山)にある。創建時には開善寺と称し,宋の太平興国5年(980)に太平興国寺の寺額を賜うなど,数度の改称を経て,明の1381年(洪武14)に孝陵造営のため,当寺を東方に移築し,霊谷寺と改称された。かつて鐘山に存した70寺中最も著名で,かつ故址はやや移っているものの,歴代の修復を経て,当地に現存する唯一の寺である。…

※「開善寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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