(読み)コウ

デジタル大辞泉 「項」の意味・読み・例文・類語

こう〔カウ〕【項】

あるまとまりをもつ事柄をさらに細かく分類したものの、一つ一つ。また、それを記述した文章。項目。法律の箇条書きにおけるじょう下位分類や、辞書の一つ一つの見出しとその解説文などにいう。「別ので詳述する」「憲法第九条第二
予算決算などで、かんの下位に分けられる部分。項をさらにもくせつなどに分ける。
数学の用語。
多項式を構成する各単項式
数列級数をつくっている各数。
を構成する各量。
首の後ろの部分。くびすじ。
「其―を扼して」〈田口日本開化小史
[類語]一つ一つ個別逐一いちいち

こう【項】[漢字項目]

常用漢字] [音]コウ(カウ)(漢) [訓]うなじ うな
首筋。うなじ。「項背」
小分けした一つ一つ。事柄。「項目事項条項前項別項要項
数式を組み立てる要素。「移項多項式
[名のり]うじ
[難読]項垂うなだれる

うな‐じ【項】

《「うな(項)しり(後)」の略か》首の後ろ。襟首。
[類語]首筋首根っこ襟首首根

うな【項】

[語素]他の語の上に付いて、首、また首の後ろの部分の意を表す。「うなずく」「うなかぶす」「うなかみ(項髪)」などの形で用いられる。

たて‐くび【項】

くびの後ろの部分。えりくび。うなじ。
「童の―を取りて」〈宇治拾遺・一〉

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精選版 日本国語大辞典 「項」の意味・読み・例文・類語

こうカウ【項】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 首のうしろの部分。くびすじ。うなじ。えりくび。
    1. [初出の実例]「弓手の腕(かいな)をさしのべ、かうを掴んでむずと引き寄せ」(出典:義経記(室町中か)三)
    2. [その他の文献]〔荀子‐脩身〕
  3. ある種類に属する、それぞれの事柄。事柄を小分けした一つ一つ。事項。特に、法律の箇条書きで、一条の中に行を立てて含まれる叙述。また文章一編の中で小主題を立てて述べられた部分。
    1. [初出の実例]「白爾(ベル)詳慎精密にこの一項(〈注〉ヒトカド)を究察し」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉五)
  4. 歳入歳出の予算、決算における区分の一つ。目的別に区分するときに用いる。款(かん)の下、目(もく)の上。〔仏和法律字彙(1886)〕
    1. [初出の実例]「歳入歳出の総予算は之を経常臨時の二部に大別し、各部中に於て之を款項に区分すべし」(出典:会計法(明治二二年)(1889)六条)
  5. 数学で、
    1. (イ)多項式を構成する各単項式。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
    2. (ロ) 数列および級数を構成するおのおのの数、または、式。
    3. (ハ) 比を構成するそれぞれの数。

うなじ【項・

  1. 〘 名詞 〙 くびのうしろの部分。えりくび。くびすじ。うなぜ。
    1. [初出の実例]「其れ為人(ひととなり)(むくろ)を壱(ひとつ)にして両の面あり、面各(おのおの)相ひ背けり。頂(いただき)合ひて項(ウナジ)無し」(出典:日本書紀(720)仁徳六五年(寛文版訓))
    2. 「生益奴蓑麻呂 年六、右脇於黒子一、宇奈自之左黒子一」(出典:東大寺文書‐天平勝宝三年(751)八月二〇日・奴婢見来帳)
    3. 「おとがひのしたより、うなじに七八寸ばかり、とがり矢を射いだしつ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一二)

項の補助注記

中世後期のキリシタン文献などに、「うなぜ」という語形も認められる。


うな【項】

  1. 〘 造語要素 〙 「うなじ(項)」の意を表わす。「うなかみ」「うながける」「うなかぶす」など。

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普及版 字通 「項」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] コウ(カウ)
[字訓] うなじ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は工(こう)。工は上下の間を支える支柱のある形。〔説文〕九上に「頭の後ろなり」とあって、うなじをいう。頸は頸脈のある部分。その頸の後ろ。容易に人に屈せず、権力に抗して譲らぬものを強項という。

[訓義]
1. うなじ、くびすじ、くび。
2. 頭の後ろ、冠の後ろ。
3. 大きい。
4. 分類の項目、ことがら。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕項 宇奈自(うなじ) 〔和名抄〕項 宇奈之(うなじ) 〔名義抄〕項 ウナジ・アヒダ・ニハカ・タチマチ

[語系]
項heong、頸kiengは声義が近い。肢体の支えとなるところは、首には項頸、またkangといい、足には脛hyeng、heangという。みな一系の語である。

[熟語]
項頤・項圏項鎖項縮項枕・項背・項領
[下接語]
按項・移項・款項・強項・事項・秀項・縮項・初項・条項・前項・短項・背項・別項・要項

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改訂新版 世界大百科事典 「項」の意味・わかりやすい解説

項 (うなじ)
nape of neck
nucha[ラテン]

くびの後面をいう。その範囲ははっきりしないが,およそ上は外後頭隆起,下は第7頸椎棘(きよく)突起先端に相当する。この部の皮膚ははなはだ厚く,上方の一部には頭髪がはえている。皮下には脊柱棘突起後頭骨との間に項中隔(または項靱帯じんたい))という弾性靱帯があって,頭が前へのめるのをゴムのひものように後方へ引きとめている。項中隔の両側には筋肉(主として横突後頭筋)が堤防状に走っているため,うなじの外表には正中部に〈ぼんのくぼ〉というへこみがある。小児ではとくによく発達している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「項」の意味・わかりやすい解説


こう
term

級数 a0a1+… で各 an のことをいう。特に多項式やべき級数 c0c1xc2x2+… で cnxn のことをいうことが多い。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【級数】より

…例えば{1,3,5,7,……},{1,2,4,8,……}は数列であり,これらに対応する級数は,それぞれ1+3+5+7+……,1+2+4+8+……である。数列,関数列または級数を構成する各要素を,その数列,関数列または級数の項という。上の第1の例のように各項とその次の項との差が一定である級数を等差級数arithmetic seriesまたは算術級数といい,第2の例のように各項とその次の項との比が一定である級数を等比級数geometric seriesまたは幾何級数という。…

【首∥頸】より

…〈頸動脈を切って自殺する〉というのは,この場所で総頸動脈を切るのである。頸の背面のところ,後頭部から下のほうを〈項部〉またはうなじという。 頸の内部の構造は複雑で,次のような種々の器官の組合せからできている。…

※「項」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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