出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
能の曲名。四番目物。作者不明。シテは鷺。夏の夕方,帝(ツレまたは子方)が群臣(ワキヅレ)を連れて神泉苑に赴き,池辺で涼をとっていると,白鷺が一羽下り立つ。蔵人(くらんど)(ワキ)に命じて捕らえさせると,一度は飛び立ったが,勅諚(ちよくじよう)であると言葉を掛けるとふたたび下りて来て,静かに抱き取られた。帝はそのようすに感じ入り,鷺にも蔵人にも五位の位を授ける。鷺は喜ばしげにあたりを舞い巡っていたが(〈鷺ノ乱レ〉),許されて空高く飛び去る。乱レの舞が中心。この乱レは《猩々(しようじよう)》の乱レとはまったく別曲。シテの動きには,抜き足などの特殊な所作によって鷺の姿態を模すところがあるが,それがねらいではなく,清純淡泊で超人間的な趣を出すことを主眼とする。そのために,原則として少年または還暦過ぎの老人だけが演じ,面も着けない。扮装は白ずくめの装束で,白髪の上に鷺の形を乗せた冠を頂く。
執筆者:横道 万里雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
能の曲目。四番目物。五流現行曲。ただし金春(こんぱる)流は昭和の復曲。作者不明。生きた鳥そのものをシテとした特殊な曲。帝(みかど)(ツレあるいは子方)は、群臣を引き連れて神泉苑(しんせんえん)へ夕涼みの行幸の態。池のほとりに降り立った白鷺をとってまいれとの勅命が下りる。蔵人(くらんど)(ワキ)は飛び立つ鷺(シテ)に「勅諚(ちょくじょう)ぞ」と呼びかけ、鷺をとらえて帝の前に連れていく。帝は蔵人と鷺に、ともに五位の位を授け、放たれた鷺は喜びの舞を舞う。「鷺乱(さぎみだれ)」という、この能独自の軽やかな舞である。元服前の少年か、還暦あるいは古稀(こき)を過ぎた老人に限って演ずるしきたりが古来から守られている。白一色の清浄さを尊ぶがゆえである。中年の演者が例外的に勤める場合は、素顔でなく延命冠者(かじゃ)の面をかける。海外能でもよく上演される、バレエ風の楽しい能。
[増田正造]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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