松の内(読み)マツノウチ

デジタル大辞泉 「松の内」の意味・読み・例文・類語

まつ‐の‐うち【松の内】

正月松飾りを立てておく期間元日から7日、また15日まで。注連しめの内。 新年「子を持たぬ身のつれづれや―/荷風
[類語]三が日正月一月新年新春初春しょしゅん・はつはる孟春もうしゅんはる年始年初睦月むつき陽春

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精選版 日本国語大辞典 「松の内」の意味・読み・例文・類語

まつのうち【松の内】

  1. [ 一 ] 河東節竹婦人(または鶴見一魚とも)作詞。初代十寸見(ますみ)河東作曲。享保二年(一七一七)江戸市村座初演。歌舞伎けいせい富士高根」の郭の場面で、化粧坂少将出端に語られたものらしい。大磯の郭の元日から七草までの情景を綴る。
  2. [ 二 ] 地唄。本調子歌詞は河東節と同じ。

まつ【松】 の 内(うち)

  1. 正月の門松松飾りを立てておく間。元日から七日までの称。古く上方では正月一五日までをいった。しめのうち。《 季語・新年 》 〔俳諧・毛吹草(1638)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「松の内」の意味・わかりやすい解説

松の内 (まつのうち)

正月の松飾をしておく期間内のこと。門松年棚の松は年神依代(よりしろ)と考えられるから,松飾のある間は正月の年神祭が続いていると理解することができる。その期間は土地によって必ずしも一定せず,元旦から3日まで,あるいは7日,15日前後までとする所などがあるが,一般に松の内は短くなる傾向にある。しかし,4日朝の僧侶による寺年始までには門松をとってしまうべきだとする所でも,屋内の神棚の松飾や注連(しめ)飾をはずすのはそれより後だとする所が少なくないし,また3日など比較的早い時期に門松をとる所では,その穴の跡に門松の芯の小枝をとって少し挿しておく所が珍しくないことから,3日などではなく,7日もしくはそれよりも長い期間が本来の松の内ではなかったかと思われる。取りはずした松の処理は,小正月のトンド左義長)の火で燃やす所が多いが,正月11日などの鍬入れ儀礼(仕事始め)のときに田畑へ持っていって立てる例もある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「松の内」の意味・わかりやすい解説

松の内
まつのうち

正月の門松(かどまつ)の立っている期間。門松は、年神の依代(よりしろ)であるから、年神が家々に滞在する期間であり、狭い意味での正月である。門松を取り払う日は各地各様で、したがって松の内も一定しない。普通、元日から七日正月までをいうが、七草(ななくさ)を大(おお)正月に含めて8日までとする地方があり、逆に6日までとする例もある。京都や大阪では15日までであるが、小(こ)正月の若木迎えが早く薄れたために、大正月から一連のものと考えたためであろう。松飾りを焼く「とんど」も、7日前後と15日前後にある。門松を取り払ったあと、門松の先を切って門松を立てていた杭(くい)の穴に刺し、門松の元服などとよんでいる例が多い。

[井之口章次]


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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「松の内」の解説

松の内
〔河東〕
まつのうち

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
つるみ一魚
初演
享保2.2(江戸・市村座)

松の内
〔常磐津〕
まつのうち

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
明治14.1(東京・浜の延寮館)

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