西瓜・水瓜(読み)すいか

精選版 日本国語大辞典 「西瓜・水瓜」の意味・読み・例文・類語

すい‐か ‥クヮ【西瓜・水瓜】

〘名〙 (「西瓜」の唐宋音という) ウリ科のつる性一年草。熱帯アフリカ原産で、日本へは南北朝時代に渡来したと考えられ、畑地に広く栽培されている。茎は地をはい巻ひげで他物にからみ長さ五メートルぐらいになる。全体に白い毛が多い。葉は互生し、長柄をもち卵形または卵状楕円形で羽状に深裂し長さ一〇~二〇センチメートル。雌雄同株。雌花には下位子房がある。夏、葉腋(ようえき)に径約三センチメートルの黄色の広鐘形で先が五裂した花をつける。多数の栽培品種があり、果実は球形または楕円形で大きく、果肉は淡紅・紅・クリーム色などで水分が多く甘い。種子は扁平な卵形で黒褐色。果実は生食され種子は炒(い)って食用になる。果汁には利尿の効能がある。漢名、西瓜。ウォーターメロン。《季・秋》
▼すいかの花《季・夏》
※空華集(1359‐68頃)一・和西瓜詩「西瓜今見生東海、剖破猶含玉露濃
※談義本・根無草(1763‐69)前「西瓜(スイクヮ)のたち売は、行燈の朱(あけ)を奪ふ事を憎(にくむ)
随筆・傍廂(1853)後「西瓜〈略〉水中に冷し食ふ故に水瓜といふ」 〔余叢考‐巻三三〕
[語誌](1)挙例の「空華集‐一・和西瓜詩」から、少なくとも南北朝頃には日本に伝わっていたと思われる。ただし、一般に普及したのは、一六世紀末以降。「俳・類船集‐左」に「水瓜(スイクワ)はさたうなくては味もなし」とあり、近世前期まではあまり甘くなかったようである。
(2)「俳・毛吹草‐四」には、肥前薩摩名産として挙げられ、また、「随・むかしむかし物語」に「昔は歴々衆喰事なく〈略〉寛文の頃より小身衆是を調て喰ふ。夫より段々喰人多くなり、近年は振廻の菓子にも出し、大身大名も喰ふ結構成くゎしに成、西瓜大立身なり」とあり、普及のさまがうかがわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android