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アニリン aniline

翻訳|aniline

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アニリン
aniline

化学式 C6H5NH2アミノベンゼンフェニルアミンともいわれる。特異の臭いをもつ無色油状液体。沸点 184℃。光または空気の作用で,黄色になり,最終的に黒色になる。水にわずかに溶け,その水溶液は弱い塩基性を示す。塩酸や硫酸などと反応し,塩をつくる。塩酸塩は塩酸アニリンといい,白色針状晶で安定であり,水,アルコールに可溶である。アニリンを酸化すると条件によりパラベンゾキノンあるいは堅ろうな黒色色素アニリンブラックを生成する。ジアゾ反応により非常に多種類の芳香族化合物に誘導できる。またホルムアルデヒドと結合し,電気絶縁材料などに使われる合成樹脂となるなど,工業的用途が非常に広い。酸塩化物と反応させて生成する酸のアニリドには結晶性のものが多く,酸の確認に役立つ。

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百科事典マイペディアの解説

アニリン

化学式はC6H5NH2。代表的芳香族アミンで特有な臭気のある無色の液体。融点−6.0℃,沸点184.55℃。空気中で酸化されて黄〜黒に着色していることが多い。
→関連項目アニリン染料アミン塩基性染料工業中毒染料モーブ

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世界大百科事典 第2版の解説

アニリン【aniline】

代表的な芳香族アミンで,アミノベンゼン,フェニルアミンともいう。1826年ウンフェルドルベンO.Unverdorbenはインジゴの分解生成物の一つをクリスタリンcrystallinと命名し,34年ルンゲF.F.Rungeはコールタールから得られる油状物質がさらし粉溶液によって鮮やかな青色を示すのを観察し,ギリシア語kyanos(青色)とラテン語のoleum(油)からキュアノールkyanolと呼んだ。

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大辞林 第三版の解説

アニリン【aniline】

独特の生臭いにおいのある無色油状の液体。空気中では徐々に黒赤色に変わる。有毒。化学式 C6H5NH2 水にわずかに溶け、弱い塩基性を示す。工業的にはニトロベンゼンを還元して得る。染料・医薬・化学薬品などの原料。アミノベンゼン。フェニルアミン。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アニリン
あにりん
aniline

代表的な芳香族アミン。アミノベンゼン、フェニルアミンともいう。特有のにおいをもつ無色の液体。ベンゼンと並んで有機化学および化学工業上もっとも重要なものとされる。[山本 学]

歴史

1826年ドイツのウンフェルドルベンOtto Unverdorben(1806―1873)によって初めてインジゴの乾留生成物からみいだされ、1840年フリッチェC. J. Fritzscheにより構造が確定され、スペイン語のanil(インジゴの意味)にちなんでアニリンの名が与えられた。1856年イギリスのパーキンは不純なアニリンの酸化により紫色の色素モーブを得たが、これが最初の合成染料であり、近代化学工業の発展の端緒となった。[山本 学]

製造法

ニトロベンゼンをスズまたは鉄と塩酸で還元するか、銅、ニッケルなどの金属触媒を用いて水素添加する還元法が一般的であるが、クロロベンゼンを高温高圧下にアンモニアと反応させる方法(アンモノリシス)もある。[山本 学]

性質

水にわずかに溶け、エタノール(エチルアルコール)、エーテル、ベンゼンなどに溶けやすい。水蒸気蒸留できる。クロロホルムなどに溶かして臭素を加えると2,4,6-トリブロモアニリンの白色沈殿を生成する。クロロホルムおよび水酸化アルカリと加熱するとイソニトリルを生成し悪臭を放つ(カルビルアミン反応)。さらし粉溶液を加えると紫色を呈する。これらの反応はアニリンの定性試験に用いられる。弱塩基であり、酢酸、塩酸、硫酸などと塩をつくる。アルカリ金属、アルカリ土類金属と反応し、水素を発生して金属塩をつくる。無機酸とともに亜硝酸を作用させてジアゾニウム塩を生成する反応(ジアゾ反応)は、これから種々の芳香族化合物に誘導することができ、工業的にも重要である。[山本 学]

保存上の注意

空気中に置くと徐々に赤く着色したり、光によって変質するので、密栓をして暗所に蓄える必要がある。有毒なので吸収しないよう取扱いには注意しなければならない。[山本 学]

用途

現在では染料の原料のみならず、香料、医薬品の合成の原料や溶媒、アニリンアルデヒド樹脂の原料にもなるなど、有機合成化学工業において用途は大きい。[山本 学]
『『アミンケミカルスの市場』(1995・シーエムシー、ジスク発売) ▽大木道則著『入門 有機化学』(2001・朝倉書店)』

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世界大百科事典内のアニリンの言及

【石炭化学工業】より

…71年には大阪造幣局で石炭ガスがつくられ,72年には横浜にガス工場ができてガス灯が使われた。 このように石炭乾留によるガスやコークスの生産が活発になってきたため,副産物として生ずるコールタールを化学的に利用する研究も進められ,1845年ドイツのA.W.vonホフマンがコールタールの中にベンゼンを発見し,さらに56年イギリスのW.H.パーキンがベンゼンから得られたアニリンを原料に染料を合成することに成功し,コールタールが合成染料の原料として注目された。 日本では,1901年東京瓦斯(ガス)がコールタールを蒸留して初めてベンゼンを工業的に生産した。…

※「アニリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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