アララギ(読み)あららぎ

精選版 日本国語大辞典 「アララギ」の意味・読み・例文・類語

あららぎ【アララギ】

短歌雑誌。明治四一年(一九〇八蕨真(けっしん)千葉県で「阿羅々木」として創刊。翌年東京に移し、表記も「アララギ」と改め、伊藤左千夫を中心とした根岸短歌会機関誌となる。古泉千樫斎藤茂吉島木赤彦土屋文明らも編集を行なった。平成九年(一九九七)終刊。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「アララギ」の意味・読み・例文・類語

あららぎ【アララギ】

短歌雑誌。明治41年(1908)蕨真一郎わらびしんいちろうが「阿羅々木」として創刊。翌明治42年(1909)、「アララギ」と誌名を改め、伊藤左千夫を中心に編集、古泉千樫こいずみちかし斎藤茂吉島木赤彦土屋文明らが参加。万葉調写生を重んじる歌風で、近代短歌の発展に貢献した。平成9年(1997)廃刊。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「アララギ」の意味・わかりやすい解説

アララギ

短歌雑誌。《馬酔木(あしび)》を継ぎ,1908年伊藤左千夫らが創刊。左千夫没後は古泉千樫斎藤茂吉島木赤彦土屋文明らが編集,長塚節中村憲吉,釈迢空らが参加した。アララギ叢書として赤彦,憲吉の《馬鈴薯の花》(1913年),茂吉の《赤光(しゃっこう)》,節の《鍼(はり)の如く》(1914年)などを刊行。《万葉集》を尊重し,正岡子規写実主義を継承発展させて歌壇の主流をなし,現在に至る。
→関連項目生方たつゑ太田水穂香取秀真近藤芳美杉浦明平短歌根岸短歌会平福百穂万葉調結城哀草果

アララギ

イチイ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「アララギ」の意味・わかりやすい解説

アララギ (あららぎ)

短歌雑誌。1908年(明治41)10月創刊。千葉県睦岡村の蕨真(けつしん)方から発行,翌年9月東京本所茅場町の伊藤左千夫宅に移され,古泉千樫斎藤茂吉らが編集に尽くした。《万葉集》を作歌上の手本として写実的歌風を推進した。13年左千夫が亡くなり,会員組織を設けた。翌年島木赤彦が上京し,雑誌の編集発行に専念し経営も安定した。茂吉,赤彦,中村憲吉らが歌壇に進出し《アララギ》の勢力を強化して,歌壇の中心的存在となる。20年には茂吉が〈短歌に於ける写生の説〉を書き,子規以来の写生論を展開した。26年赤彦が亡くなり,再び茂吉が編集発行人となり,30年には土屋文明に代わり,33年1月には25周年記念特集号を出した。文明は現実を直視して,生活や思想を追求するところに新生面を開いた。太平洋戦争中の45年1月戦災で休刊したが同年9月には復刊,五味保義が編集。戦後アララギの地方誌も誕生し,歌壇を代表する結社であったが,97年12月号で終刊した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アララギ」の意味・わかりやすい解説

アララギ

短歌雑誌。正岡子規の根岸短歌会の流れをくむ『馬酔木 (あしび) 』の廃刊後,蕨真 (けっしん) ,伊藤左千夫の起した『阿羅々木』 (1908創刊) と島木赤彦らの『比牟呂』を合併し,左千夫を中心とする歌誌として翌 1909年より再出発したもの。しかし 10年頃から赤彦,斎藤茂吉,中村憲吉,古泉千樫らは時代の風潮を鋭敏に感受し積極的に歌壇の諸派と交流して左千夫との対立がみられた。 13年に左千夫が没してから,赤彦,茂吉による官能的,象徴的表現を許容する写生理論の形成に進み,万葉主義とともに同派の特色となった。赤彦の死 (26) 以後,茂吉へ受継がれて思想性を増し,53年の茂吉の死後は五味保義が編集を担当した。長く歌壇を代表する雑誌であったが,幹部の高齢化などにより 97年 12月号で終刊。

アララギ

イチイ(一位)」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「アララギ」の解説

アララギ

1908年(明治41)10月正岡子規系の根岸短歌会の機関誌として発刊,歌壇の主流として今日に至る。08年2月に「馬酔木(あしび)」の後継誌「アカネ」が創刊されたが,伊藤左千夫と三井甲之(こうし)との対立により,左千夫は発行人蕨真(けっしん)の「阿羅ゝ木(アララギ)」に参加。翌年9月島木赤彦の「比牟呂(ひむろ)」と合併して発行所を左千夫方に移す。古泉千樫(ちかし)・中村憲吉ら俊英が結集,万葉主義と写実を基本とした。大正期には左千夫批判を契機に斎藤茂吉・島木赤彦が,おのおの「実相観入」「鍛錬道」を提唱し,理想と実作の面で主導的立場に立つ。昭和期には土屋文明が引き継ぎ,生活に即した思想詠を実践。傘下に佐藤佐太郎・山口茂吉・吉田正俊・柴生田(しぼうた)稔らを集め,系列誌も多い。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「アララギ」の解説

アララギ

1908(明治41)年以来刊行の短歌雑誌
正岡子規没後,門人たちが刊行した雑誌『馬酔木 (あしび) 』から分かれて伊藤左千夫が創刊。万葉調・写生を基調とし,大正・昭和期の歌壇の主流をなした。編集は斎藤茂吉・島木赤彦・土屋文明らが相ついで担当したが,1998(平成10)年終刊となった。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアララギの言及

【イチイ(一位)】より

…寒地の山林に自生し庭園にも見られるイチイ科の常緑針葉樹(イラスト)。アララギまたはオンコ(東北・北海道)ともいう。高さ20mにもなる高木で密に分枝する。…

【岡麓】より

…アララギ派歌人。書家。…

※「アララギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android