カラー(読み)からー(英語表記)collar

翻訳|collar

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カラー(服の首回り)
からー
collar

服の首回りに装飾、防寒、防塵(ぼうじん)などの目的でつけられるもの。また、装飾、記章、所属の印などとしてつけられるネックレスや鎖のこと。現在では衣服のデザインのポイントの一つとなっている。語源はラテン語の首に巻く布の意のcollreがアングロフレンチ語のcolerなどを経て、英語となった。カラーは英語からの外来語で、すでに日本語として定着しているが、和服と洋服の構成上の相異から、和装における衿(えり)と同一の概念でとらえることはできない。古代エジプトの取り外しのできる幅広のネックレス形のもの、サクソン人が奴隷の目印として用いた鉄製の輪、中世以後の宝石を飾った帯状のものなどもカラーとよばれる。しかし、中世初期以前はこのような首に巻くものはあったが、服には襟はなかった。
 その後、身頃(みごろ)から裁ち出した襟がゲルマン人の防寒服にみられるが、13、14世紀には身頃とは別裁ちの狭い帯状の立ち襟へと発展し、14、15世紀には襟先が外側へすこし折り返るハイカラーとなる。16世紀に立ち襟に小さなひだがつけられ、カラー・バンドとよばれるようになった。これがひだ付き飾り襟、すなわちラフの始まりである。このひだはしだいに幅広く、大形化して多種多様化し、16、17世紀には男女の服の一大特色となった。リンネル、モスリン、レースをS字形に裁断し、専用のこてで放射状にひだをつけて糊(のり)で固めたものであったが、食事時に便利なように、前を開いて後方部を扇状に立たせたホイスクというカラーが現れた。女子のカラーとしては、ファン・カラー、エリザベザン・カラー、メディチ・カラーなどがあり、どれもレース製であった。
 17世紀に入ると、ひだ襟が下へ垂れ下がったフォーリング・バンドが現れた。首から肩にかけて体にフィットしたもので、ルイ13世カラー、バンダイク・カラー、シェークスピア・カラーの別称がある。シャツの襟はラバという小さな折り襟で、クラバットとともに18世紀まで愛用された。18世紀に男子服の上着にラペルが現れ、フランス革命後から19世紀初頭にかけて、シャツのハイカラーにあごが埋まるほどクラバットを巻き付けた。その後18世紀の後半には、細いスタンド・カラーに取り外しのできる襟のついたシャツが現れたが、台襟がより高く、折り返し部分が大きくなるにつれ、のちにはネクタイになる細い飾りバンドが襟元に結ばれるようになった。
 一方、女子の服は、18世紀前半には襟ぐりが大きく、細いフリルをつける程度であったが、1850~70年代のクリノリンの時代にレースや絹製のケープ風の襟が復活した。19世紀末期、バッスルが流行したが、このころには男子服のシャツやテーラード・スーツが取り入れられ、以後男女ともに各種のバリエーションをみせながら今日に至っている。[田村芳子]

種類

カラーの名称はその形、仕立て方、着方、固有名詞などにちなんでつけられているが、構造から分けると次のようになろう。
〔1〕襟ぐりから首に沿って垂直に立った、いわゆるスタンド・カラーのたぐい。チャイニーズ(マンダリン)・カラー、学生服などの詰め襟、礼服用シャツなどの、襟先だけを折り返したシングル・カラー、シングル・カラーで高さのあるハイ・カラー、あごが埋まるほど高く、じょうご形に開いているチン・カラー、カトリックの司祭の服にみられるローマン・カラー、スタンド・カラーでも首から離れているスタンド・アウェイ・カラーなどが含まれる。
〔2〕首に沿ってすこし立ったところで折り返るロール・カラーのたぐい。セーターなどにみるタートル・ネック・カラー(徳利(とくり)襟)、後方だけ折り山がはっきりしているシャツ・カラー、明き止まりが首の付け根より低い位置にあるショール・カラー、後ろでは襟腰が高く、前の打合せでも襟腰がいくぶんあり、第1ボタンを外すと開襟になるステン・カラー、テーラード・カラーのようにみえながら、ラペルのボタンをかけるとシャツ・カラーのようにみえるスポーツ・カラー、男子の上着や女子のスーツの上着に多用される、刻みのあるテーラード・カラー、羽織の襟のように服の裾(すそ)まで折り返したタキシード・カラーなどが含まれる。
〔3〕襟腰がほとんどなく、襟ぐりに沿ってすぐに折り返るフラット・カラーのたぐい。襟幅5~8センチメートルで襟先の丸い、子供服に用いられるピーターパン・カラー、水兵服やセーラー服のセーラー(ミディ)・カラー、ケープ風に肩を覆うケープ・カラー、イートン・カレッジの制服のシャツの襟である、糊で固めるイートン・カラー、襟ぐりにフリルをつけたフリル・カラーなどが含まれる。
〔4〕台襟があり折返し線がはっきりしているフォールド・カラーのたぐい。ワイシャツのスタンド・アンド・フォール・カラー、ラペルの部分が前身頃から裁ち出しになっているオープン・カラー(開襟)、後方は首に沿い、前方が外側に折り返るウイング・カラーなどが含まれる。
 このほか、身頃に縫い付けられているアタッチド・カラー、取り外しのきくデタッチャブル・カラーに分けることもできる。前者には〔1〕~〔4〕までのもののほか、二枚重ねのダブル・カラー、ネクタイ風に結ぶスカーフ・タイ・カラー、襟の先がそのまま長く伸びたのをリボン風に結ぶタイ・カラーなどがある。後者には、いろいろな服に取り付け可能なセパレート・カラー、予備用のスペア・カラーなどがある。布のほか、毛皮、革、レース、毛糸などの替え襟もある。[田村芳子]
『服装文化協会編『増補版服飾大百科事典』(1976・文化出版局) ▽ジェームズ・レーヴァー著、飯田晴康監修、中川晃訳『西洋服装史』(1973・洋販出版) ▽江森京子著『衿・作図と縫い方の秘訣』(1979・文化出版局)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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