パース(英語表記)Charles Sanders Peirce

デジタル大辞泉 「パース」の意味・読み・例文・類語

パース(Perth)

英国スコットランド中東部の都市。テー川沿いに位置する。13世紀から15世紀までスコットランド王国の首都だった。スクーン宮殿セントジョン教会などの歴史的建造物のほか、テー川に架かる18世紀建造の石造橋パース橋がある。
オーストラリア南西部、西オーストラリア州の鉱工業都市。同州の州都。スワン川下流部に位置する。商工業・文化・交通の中心。1829年に自由移民による入植が始まり、1890年代のゴールドラッシュと1960年代以降の同州における地下資源開発により発展。人口、行政区160万(2008)。

パース(purse)

財布。がま口。
[類語]財布金入れ札入れ紙入れ小銭入れがま口長財布ウォレットコインパース

パース

パースペクティブ」の略。「パースがおかしい」

パース(Charles Sanders Peirce)

[1839~1914]米国の哲学者・論理学者。ダーウィンの進化論の影響を受けたプラグマティズムの先駆者。記号論理学などで新生面を開いた。1930年代の初めに刊行された論文集により、正当に評価されるようになった。

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精選版 日本国語大辞典 「パース」の意味・読み・例文・類語

パース

  1. ( Charles Sanders Peirce チャールズ=サンダーズ━ ) アメリカの哲学者、数学者認識論、プラグマティズム、記号論などに携わり、各方面に大きな影響を与えた。一般的には、プラグマティズムの創始者と見なされている。(一八三九‐一九一四

パース

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] purse ) 財布、がま口、ハンドバッグの総称。元来は紐で口をしめてつり下げる型の袋をいった。〔アルス新語辞典(1930)〕

パース

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] pers. perspective の略 ) 透視図。また、遠近法

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改訂新版 世界大百科事典 「パース」の意味・わかりやすい解説

パース
Charles Sanders Peirce
生没年:1839-1914

アメリカの自然科学者,論理学者,哲学者。プラグマティズムの始祖で,現代記号学(記号に関する一般理論)の創設者のひとり。また記号論理学,数学基礎論,および科学方法論の現代的発展における先駆者のひとりでもあり,〈合衆国が生んだ最も多才で,最も深遠な,そして最も独創的な哲学者〉と言われる。

 マサチューセッツ州ケンブリッジに生まれ,父親ベンジャミン・パースBenjamin P.(1809-80,ハーバード大学の数学と自然哲学の教授で,当時のアメリカにおける最大の数学者)の下で特別の家庭教育を受け,ハーバード大学に学んだ。期待どおりに数学,物理学,論理学,科学哲学などの多領域で頭角を現し,大いに将来を嘱望されていたが,その偏屈な性格と離婚問題などに加えて,当時のアメリカの学界はまだ論理学の研究に関心がなかったために,大学に定職を得ることができなかった。1887年にはペンシルベニア州の山村ミルフォードに隠遁,91年には61年以来勤めてきた合衆国沿岸測量部の技師もやめ,晩年は貧困と孤独と病苦のなかで過ごした。隠遁生活のゆえに学界からも遠ざかってまったく無名の人となり,死後も長い間世に埋もれてきた不遇の人である。しかし1931-35年に遺稿が大半を占める《チャールズ・サンダーズ・パース論文集》全6巻(1958年にさらに2巻が加えられて,現在は全8巻)が出版され,そのうえ30年代の半ばころからアメリカの哲学界を風靡(ふうび)した外来の論理実証主義分析哲学の影響の下で特に形式論理学の研究,数学および経験科学の基礎論的研究などが盛んになるにつれて,それらの分野の最もすぐれた先駆者のひとりであったパースの存在がとりわけ注目されるようになった。爾来パース哲学への関心がひじょうに高まって,その影響はいまや論理学,科学哲学,科学史研究,記号学,現象学,言語学,文学理論などの多領域に及んでいる。

 パースはきわめて多面的な哲学者で,その思想はとても一つのイズムには収まらない。一般にはプラグマティストとして知られているが,しかしプラグマティズム(彼は1905年にプラグマティズムをより厳密に再定式化し,W. ジェームズらのそれと区別して,〈プラグマティシズムpragmaticism〉と改名)はパース哲学の重要ではあるがその一部分を占めるにすぎず,全体系を意味するものではない。パースは彼の〈諸科学の分類〉において哲学の構想と体系を示しているが,それによると,彼は厳密な科学的哲学を体系立てようと企図していることがわかる。そしてその科学的哲学は現象学,規範科学(美学,倫理学,論理学を含む),形而上学(存在論,宗教的形而上学,物理的形而上学を含む)の3部門から成る。パースはこの体系を完成することはできなかったが,その厳密な基礎学となるべき〈現象学〉を創設し,さらに,その現象学の原理--パースは〈第一性〉〈第二性〉〈第三性〉と呼ばれる三つの普遍的現象学的カテゴリーを導き出している--に基づいて緻密な記号の分類を行いつつ,きわめて独創的・包括的な記号理論(記号学)を創設した。論理学においても三つのカテゴリーにしたがって論証を〈演繹(えんえき)〉〈帰納〉〈アブダクションabduction〉の三つのタイプに分け,それぞれの論理について多くの著述を残している。形而上学では普遍的一般的法則的なもの(現象学的には〈第三性〉と呼ばれる存在の様式)の実在を主張する独自のスコラ的実在論の立場に立って,それをプラグマティズムの形而上学的前提とし,さらにその立場から形而上学の諸問題を論じている。現在の《論文集》はほぼこの体系にしたがって編集されているが,完全なものではなく,未編集の遺稿はまだかなり残っている。しかし《論文集》で見るかぎりでも,パース哲学は多面的かつ広大な独創的思想の宝庫である。
プラグマティズム
執筆者:


パース
Perth

オーストラリア南西部,ウェスタン・オーストラリア州の州都。人口148万(2005)で,この国第4位。州の南西部,ダーリング山脈を背後にし,インド洋に面したスワン川河口付近に位置する。平均気温は最暖月(2月)23.9℃,最寒月(7月)13.1℃,年降水量は889mm。市街地は都心部のあるパース市をはじめ23の地方自治体にまたがって広がる。ウェスタン・オーストラリア大学(1913創立),マードック大学(1974創立)がある。国際空港をもち,国内主要都市やシンガポールなど海外各地に連絡する。市街地西部,スワン川河口のフリマントルFremantleは港湾・工業地区で,州の輸入量の大半を取り扱う。その南のクウィナナKwinana地区は製鉄,アルミ精錬,石油精製などの重化学工業地帯である。1829年自由入植地として開基,流刑者導入期(1850-68)を経て,90年代のゴールドラッシュや1960年代以降の鉱産資源開発を背景に急成長してきた。名称はイギリス植民地相の出身地名に由来する。
執筆者:


パース
Perth

イギリス,スコットランド中東部,テイサイド州(旧,パースシャー)にある工業都市。ローマ時代はウィクトリア,その後はセント・ジョンズタウンと呼ばれたが,17世紀から現地名となった。人口4万1998(1981)。テイ川下流西岸で,ハイランドローランドの間の戦略的位置を占めるため,1452年までスコットランドの首都となった。現在は牛市が開かれるほか,染色,羊毛,リネンなどの工業が盛んである。1106年に自治都市となり,議会がたびたび開催されたが,1437年にスコットランド王ジェームズ1世がこの地で殺されたのち,首都はエジンバラへ移った。15世紀のセント・ジョン教会が古都の面影を残している。W.スコットの《パースの美少女》(1828)は1396年に起こった氏族間の争いをテーマとしている。
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百科事典マイペディア 「パース」の意味・わかりやすい解説

パース

米国の哲学者,論理学者,自然科学者。長く野にあり,死後《論文集》(全6巻,1931年―1935年。1958年に2巻追補)がまとめられるに及んで,広範な先駆的業績が明らかになった。プラグマティズム(パース自身はプラグマティシズムpragmaticismと呼ぶ)の創始者の一人,記号学の創設者,記号論理学,数学基礎論,科学方法論の有力な革新者として,米国における論理実証主義,分析哲学の受容と並行して,その評価は多方面で高まり続けている。
→関連項目記号論多値論理学

パース

オーストラリア西部,ウェスタン・オーストラリア州の州都。インド洋岸に近いスワン川河口にあり,南西に外港フリマントルがある。西岸部における行政・商工業・文化の中心で,自動車・繊維・肥料・セメント工業が行われる。大学(1911年創立)がある。1829年創設され,19世紀末,州南西に金鉱が発見されてから急速に発展。1960年代以降,ニッケル,ウランの採掘でさらに発展した。172万8867人(2011)。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「パース」の解説

パース

建築で、透視図。CG(コンピューターグラフィックス)を用いた建築物の完成予想図などをいうことが多い。◇「パースペクティブドローイング(perspective drawing)」の略。

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リフォーム用語集 「パース」の解説

パース

透視図。ものを立体的に表現する図法。建物の外観や室内空間のイメージがわかり易く、建物の完成予想図やプレゼンテーション用として利用されることが多い。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「パース」の解説

パース

CADで作成された、建築用の見取り図や透視図のこと。

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世界大百科事典(旧版)内のパースの言及

【ジェームズ】より

…この立場に立つがゆえに,また,ジェームズの哲学は著しく個人主義的,唯名論的にならざるをえない。プラグマティズムにおいてジェームズがたとえばC.S.パースの場合とひじょうに違うのも,パースが,(一定の条件さえ満たせば)いつでもだれでも確かめられる客観的実験的結果を重視し,それに基づく科学的信念の固め方としてプラグマティズムの方法を考えたのに対して,ジェームズは人間ひとりひとりの具体的意志の行使を重視し,そしてプラグマティズムの意味基準を〈だれかの上に,なんらかの仕方で,どこかで,あるとき生ずる〉結果に見いだそうとするからである。そのほかジェームズの哲学を顕著に特色づけている実践主義,具体的経験主義,反主知主義,反形式主義なども,あるいは彼の哲学的関心が特に宗教の問題に向けられていることも,すべて〈信ずる意志〉の思想に拠っていると言える。…

【実践】より

…そして,社会の歴史的発展法則に基づく革命的実践の意義を強調するとともに,実践によって理論が生まれ,理論によって実践が修正補強される〈理論と実践の統一〉を明確にした。 一方,19世紀後半のアメリカでは,C.S.パースが,カントの実践の二分法に触発されて,形而上学を排して真に科学的に思考する哲学的立場を探求して,それをプラグマティズムと呼んだ。〈プラグマティックpragmatic〉という語は,ギリシア語の〈プラグマpragma〉(活動,実際になすべきこと),その形容詞〈プラグマティコスpragmatikos〉に由来するが,パースは,概念の意味を,思弁ではなくそれが行動に現れる実際的結果によってとらえ,理論をつねに実践(実験)によって検証すべきことを主張した。…

【操作主義】より

…概念はすべて何らかの操作によって定義されねばならない,という主張。この種の主張はもともとプラグマティズムの始祖C.S.パースにあった。彼によれば,ある物体が重いということは,何らかの実体的な性質ではなく,ただ,反対の力がなければその物体は落下する,ということを意味するだけなのである。…

【プラグマティズム】より

…プラグマティズムは哲学へのアメリカの最も大きな貢献であり,実存主義,マルクス主義,分析哲学などと並んで現代哲学の主流の一つである。プラグマティズムを代表する思想家にはC.S.パースW.ジェームズJ.デューイG.H.ミードF.C.S.シラーC.I.ルイスC.W.モリスらがいる。プラグマティズム運動は〈アメリカ哲学の黄金時代〉(1870年代~1930年代)の主導的哲学運動で,特に20世紀の最初の4分の1世紀間は全盛をきわめ,アメリカの思想界全体を風靡(ふうび)するとともに,広く世界の哲学思想に大きな影響を与えた。…

【翻訳】より

…すなわち,情報理論の創始者であるC.E.シャノンはこの意味を〈翻訳の際の不変体〉と規定し,この規定がヤコブソンや文化記号論研究者たちによって取り入れられたのである。同様の考えはすでにC.S.パースやバフチンによっても述べられていた。パースによれば,記号の意味とは,その記号をより詳しく展開する別の記号への翻訳なのである。…

※「パース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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