数学で卓越した業績を挙げた研究者に贈られる数学界最高の賞。「数学のノーベル賞」ともいわれる。4年に1回、国際数学連合の選考委員会が選ぶ。対象は40歳未満(選考前年の12月31日時点)。カナダの数学者フィールズの提唱で設立された。1936年に第1回、第2次世界大戦で中断後、第2回の50年以降は4年に1回、2~4人が選ばれ、これまでの受賞者は52人。日本人は54年に
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数学におけるノーベル賞ともいうべき国際的な賞。その名称は、この賞を設けることを提案したカナダ、トロント大学の数学科教授であったフィールズJohn Charles Fields(1863―1932)にちなむ。フィールズはトロントでの第7回国際数学者会議(1924)の開催に尽力したが、その後、「数学のために著しい貢献をした数学者に対して金メダルを贈る」「その賞は世界の数学者を対象とし、過去の業績に対する表彰ばかりでなく、それ以後の研究に対する奨励でもある」という提案を行った。この提案は、フィールズが死去した1932年の第9回国際数学者会議で受け入れられた。第1回の受賞者は第10回国際数学者会議(1936)でのアールフォルスとダグラスJesse Douglas(1897―1965)で、以後は4年ごとに開かれる国際数学者会議で授与されることになっていた。しかし第二次世界大戦のために中断し、1950年に第2回の授与となった。1962年までは受賞者の数は2人であったが、1964年からは2人以上、4人以下となり、受賞者の年齢は原則として40歳までとされる。
受賞者のなかには、カタストロフィー理論の創設者R・トム(1958年受賞)、代数幾何学に革命をもたらしたグロタンディエク(1966年受賞)、ポアンカレ予想を解いたスメールStephen Smale(1966年受賞。1930― )らがおり、日本の数学者では1954年(昭和29)に調和積分論の研究で小平邦彦(こだいらくにひこ)、1970年に代数幾何学の研究で広中平祐(へいすけ)、1990年(平成2)には森重文(しげふみ)が受賞している。
[栗原 裕]
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数学上の業績に対して与えられる国際的な賞。数学のノーベル賞ともいわれ,4年ごとに開かれる国際数学者会議で,それまでの4年間に優れた業績をあげた,原則として40歳までの数学者2~4人に与えられる。トロント大学数学科教授であったフィールズJ.C.Fields(1863-1932)の遺言によって,その遺産から基金が寄付されて始まった賞である。彼はこの賞は全世界の数学者を受賞の対象とし,すでになされた業績に対する表彰であるだけでなく,それを受けた数学者の将来の精進に対する奨励の意味をも含むものであるようにと希望した。最初に賞が与えられたのは1936年であるが,その後第2次世界大戦のために中断,50年から再開した。日本では54年に調和積分論の研究で小平邦彦,70年に代数幾何学の研究で広中平祐が受賞した(その後,1990年に森重文も受賞)。なお遺産からの基金以外に,寄付ならびにカナダ政府からの援助が運営の助けになっている。
執筆者:永田 雅宜
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