コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ペスト La Peste

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ペスト
La Peste

フランスの作家アルベール・カミュの小説。 1947年刊。アルジェリアの港町オランで発生したペスト禍を背景に,ペストと戦う人間の姿を通じて,連帯と友愛を説いた作品。

ペスト
pest; plague; pestilence

ペスト菌の感染によって起こる感染症感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で1類感染症と定義される。旧伝染病予防法による法定伝染病の一つ。日本には常在しないため,検疫すべき感染症に指定されている。死亡率が高く,60~90%である。まずノネズミなどの齧歯類の間で流行し,ノミ類を媒介として人に伝染する。吸血によって感染する腺ペストと,患者から飛沫感染する肺ペストがあり,人のペストのほとんどが腺ペストで,主としてリンパ節が侵され,皮下出血を起こす。かつて腺ペストが黒死病といわれたのは,症状が進行し敗血症を伴うと,皮膚に紫色の出血斑ができて体が黒ずんで見え,発病から2~3日で死亡したためと推定される。肺ペストは肺炎を併発する危険が高く,重症となることが多い。潜伏期間は,2~12日。症状は全身の倦怠感で始まり,悪寒,頭痛,嘔吐,全身の筋肉痛などを伴った高熱が出る。そのあと,循環器系が強く侵され心衰弱,意識混濁が起こる。近年,日本では発生がなく,外国でも大きな流行はない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

ペスト【〈フランス〉La Peste】[書名]

カミュ長編小説。1947年刊。ペストの流行で孤立したアルジェリアのオラン市の市民が協力して難局に立ち向かう姿を通して、不条理に対する人間の集団的反抗と連帯感の必要性を説く。

ペスト(〈ドイツ〉Pest)

ペスト菌の感染によって起こる急性感染症。感染症予防法の1類感染症、検疫法の検疫感染症の一、また学校感染症の一。元来はネズミの病気であるが、ノミを介して人間に感染し、感染経路により腺(せん)ペスト肺ペスト・ペスト敗血症・皮膚ペストに分けられる。致命率は高く、敗血症を起こすと皮膚が紫黒色を呈するため黒死病ともよばれ、中世ヨーロッパで大流行した。日本でも明治・大正時代に数回流行。
[補説]地名・書名別項。→ペスト(地名)ペスト(書名)

ペスト【Pest】[地名]

ハンガリーの首都ブダペストドナウ川東岸の平野部の地区名。1873年、ドナウ川西岸のブダおよびオーブダ地区と合併し、ブダペストになった。ペシュト

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

ペスト

ペスト菌による法定伝染病。日本には常在しない(1926年を最後に日本での発生はない)。元来はノミを介するネズミの伝染病でヒトにも感染する。伝染力強く,かつてはきわめて高い致死率で黒死病として恐れられた。
→関連項目青山胤通感染症予防法疑似症検疫伝染病細菌兵器死の舞踏

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典の解説

ペスト

 平成10年制定の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に,一類感染症として対策の規定された感染症.以前は,法定伝染病の一つであった.ペスト菌によって起こる感染症.黒死病ともいう.ノミを仲介としてネズミから感染する.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ペスト【plague】

ペスト菌Yersinia pestisによって起こる感染症。もともと日本に常在するものではなく,世界の一部地域(アルタイ山脈地方,モンゴル,アフリカなど)の地方病的色彩が濃いものであった。伝染力がきわめて強いため,昔から世界各地にしばしば大流行をきたし,日本でも明治時代には年間数百人の患者が発生した。当時は予防対策も不十分で,適切な治療法もなく,その激烈な症状ときわめて高い致命率のために,最も恐ろしい伝染病とされた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ペスト【Pest】

ペスト菌の感染によって起こる感染症。症状が激しく死亡率が高い。古くはしばしば流行し、特に一四世紀にはヨーロッパ全域に大流行した。黒死病。

ペスト【La Peste】

カミュの長編小説。1947年刊。ペストに襲われたアルジェリアの一都市オランの恐慌状態と、極限状況の中で発揮されるヒューマニズム・連帯感・犠牲的精神を描く。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

世界大百科事典内のペストの言及

【医学】より

…医療技術者は宮廷周囲に集められて上述のような任務を与えられたが,医療過誤についての罰則規定もあったことがハンムラピ法典の中にみえている。興味あることは,まとまった症状を呈する重要な疾病は,それぞれを神の名において命名されていたことで,たとえば,ペストは〈ナムタルウ神〉,流行病は〈ウルガル神〉〈ネルガル神〉,熱性頭痛は〈アサックウ神〉などである。しかし,多くの身体機能の障害は症状をもってよばれ,これらに対しては,占星術や予兆論的な判断とともに,合理的な治療法も多く講じられている。…

【セバスティアヌス】より

…美術表現では受刑具の矢が持物で,射手や弩の使い手などの守護聖人。また,中世後期には,神の手から放たれた矢によって発病すると考えられていたペストに対する守護聖人として広く崇敬された。美術では殉教場面がもっともよく表現される。…

【熱帯医学】より

…発疹熱は世界的に広くみられるが,メキシコ湾沿岸および南地中海沿岸に多くみられ,媒介動物はネズミおよびネズミノミである。 細菌類によるものには,細菌性赤痢,腸チフス,パラチフス,コレラ,ペスト,野兎(やと)病,癩などがある。細菌性赤痢は赤痢菌によって引き起こされ,保菌者や患者の糞便とともに排出された赤痢菌が,ハエ,ゴキブリの媒介によって飲食物に混入し経口感染する。…

【風土病】より

…これらの人獣共通伝染病は,その病原巣の動物が生息する地方に発生が限られるときには,風土病的疾病として現れてくる。このようなものには,中国の奥地やインドに持続的にみられたペスト,地中海沿岸地方のマルタ熱(ブルセラ症),および世界中にみられ,日本でも各地で作州熱,天竜熱,七日熱,秋疫など特別な名称で呼ばれたレプトスピラ症などがある。 伝染性の風土病には,病原微生物が節足動物によって媒介される疾病で,媒介する節足動物の生息する地域が限られているために風土病として現れてくるものもある。…

【ルネサンス】より

… しかし,これらに加えて,いくつかの要件がある。14世紀中葉に突発したペストの大流行はその一つである。ペストはその後も断続的にイタリアとヨーロッパ全土を襲い,さしあたりは,社会と文化に壊滅的な打撃をあたえた。…

※「ペスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

ペストの関連キーワードドナウ河岸、ブダ城地区及びアンドラーシ通りを含むブダペストアレキサンダ・エミール エルサン総合的病害虫管理(IPM)ペスト(カミュの小説)マラキア・タペストリコントラアクインクムケオプスネズミノミペストリンクベルクマラーストラナ広場日本家屋害虫学会フェルディナンドペスト(黒死病)ペスト(伝染病)総合的病害虫管理オオサカシロナTEMPESTヒューマニズム深山秋の麒麟草林檎粉吹金花虫深山蛇の寝御座

今日のキーワード

ブラックフライデー

米国などで、感謝祭(11月第4木曜日)の翌日の金曜日のこと。休日とする職場が多く、商店にとってはクリスマス商戦の初日に当たる。「ブラック」は、買い物客による混雑、または黒字を連想させることから。→サイ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

ペストの関連情報