ポリネシア(英語表記)Polynesia

翻訳|Polynesia

デジタル大辞泉 「ポリネシア」の意味・読み・例文・類語

ポリネシア(Polynesia)

太平洋上のハワイニュージーランドイースター島を結ぶ三角形の中に位置する島々の総称。ほぼ180度経線より東の区域。ハワイ諸島サモア諸島などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「ポリネシア」の意味・読み・例文・類語

ポリネシア

  1. ( Polynesia ) オセアニア東部、太平洋の中部にある諸島の総称。ハワイ諸島、ニュージーランド、イースター島を頂点とする三角形の海域にあり、大部分がサンゴ礁・火山島である。先住民はポリネシア人。一九世紀後半から、南東部はフランス、西部はイギリス、北部はアメリカに分割されてきたが、一九六〇年代以降、サモア(旧西サモア)・トンガ・ツバルなどの諸国が独立している。コプラ・カカオ・ゴム・リン鉱石などを産出。

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改訂新版 世界大百科事典 「ポリネシア」の意味・わかりやすい解説

ポリネシア
Polynesia

太平洋の島々のうち,北はハワイ,南はニュージーランド,東はイースター島を頂点とする一辺およそ8000kmの巨大な三角形に含まれる島々の総称。ポリネシアという言葉は,元来ギリシア語で〈多数の島々〉を意味する。地質学的には,オーストラリア大陸プレートの前縁にあたるニュージーランド,ケルマデク諸島トンガ諸島と,太平洋プレート上のハワイ,マルキーズ諸島ソシエテ諸島など数多くの諸島からなる。前者は水成岩と深成岩,変成岩,安山岩などの火山岩からなり,地殻活動が活発で地震も多い環太平洋造山帯上の陸島である。これに対して後者は玄武岩からなる洋島の火山島である。東太平洋海嶺から北西方向への太平洋プレートの移動に伴う海洋底の沈込みに応じ,太平洋プレート上の火山島は北西方向にゆくにしたがい沈降が大きく,水没した火山島の表面を覆うサンゴ層の厚さは,エリス諸島フナフティ島で305m,ミクロネシアマーシャル諸島のビキニ島で780mにもおよぶ。これら海洋底の移動に伴う火山島の沈降に対し,ニウエ島やタヒチ東方のマカテア島など,若干の島々では数十mの隆起がみられる。太平洋の洋島の多くはサンゴ礁からできているが,サンゴ虫は海水温度18℃以下か,水面下およそ40m以深のところでは生息できない。そのため冷水塊の上昇しているところではサンゴの発達が悪い。熱帯海域であるにもかかわらず寒流のペルーフンボルト)海流が洗うマルキーズ諸島やこれより東方の島々にサンゴ礁がみられないのはこのためである。

 地質学的な区別に対し,高島(火山島)と低平なサンゴ礁島および隆起サンゴ礁の区別は生態学的に重要な意味をもつ。低平なサンゴ礁島は高さが5mを越えることはまれであり,基盤が保水性の悪い石灰岩であることから,植物の成育には適さない。地下水は普通塩分を含むため,植生はココヤシタコノキの仲間などの耐塩性の植物に限られる。同じく隆起サンゴ礁も浸透性の強いサンゴ岩を基盤とするため土壌の水分は乏しく,耐乾性の植物に限られる。これらのサンゴ礁島は飲料水を天水に頼っている。これに対し,高島は水が豊富であり,火山性母岩の風化が進んだ古い火山島は肥沃な土壌にも恵まれ,植物の繁茂も盛んである。

 ポリネシアの島々はニュージーランドが温帯圏に属するほかは,すべて熱帯もしくは亜熱帯に位置し,気温は南北両端の島を除き均質であり,年較差は小さい。一般に雨は赤道の北側では6~10月に,南側では11~4月に多いが,季節的にも,地理的分布においても多様である。北半球ではハワイ諸島,南半球ではイースター島のある東太平洋上の亜熱帯高圧帯から赤道沿いの無風帯へ向けて吹き出す貿易風は,地球の自転により北半球では北東風,南半球では南東風となる。このため高い火山島の風上にあたる東斜面には雨が多く,風下は雨が少ない。しかし,低いサンゴ礁の島は貿易風による降雨は少なく,スコール性のにわか雨に頼るのみである。赤道無風帯は風向の一定しない微風を特徴とするが,二つの貿易風の衝突による熱帯前線のため,スコール以外の降雨量も多い。しかし,無風帯は赤道以南には現れず,低温のペルー海流,南赤道海流に面したマルキーズ諸島やクリスマス島,フェニックス諸島,モルデン島などでは雨量はきわめて少なく,植物は貧弱である。また熱帯低気圧の発達したハリケーンが,樹木作物や建物に被害を与えることもあり,その場合,とくに低いサンゴ礁島は致命的打撃を受ける。

 ポリネシアの動植物は大洋での孤立によりそれほど豊富でなく,とくに脊椎動物は小さなトカゲ類と,人間の移動に伴ってもたらされたネズミやコウモリだけである。ヘビ類はサモア諸島にみられるが,それ以東には生息しない。また,マラリアを媒介するハマダラカもポリネシアにみられない。東ポリネシアの鳥類はグンカンドリ,アホウドリ,ウミツバメ,アジサシなどの海鳥であり,島に植物の種子を運んだり,排泄物の堆積したリン灰分の豊かなグアノをもたらした。鉱物資源はマカテア島のリン鉱石(1966年採掘中止)だけであったが,最近,海洋底のマンガン団塊や熱水鉱床が注目され始めている。
ポリネシア人
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百科事典マイペディア 「ポリネシア」の意味・わかりやすい解説

ポリネシア[人]【ポリネシア】

ポリネシアに住む人びとの総称。アウストロネシア語族に属する。皮膚は褐色で,黒色波状毛の頭髪をもち,一般にミクロネシア人より長身である。ヤムイモ,タロイモの根茎類,ココヤシやパンノキの実,魚類等を食用。貴族と平民からなる階層制が発達し,とくに最高位の者はタブーであるとする宗教観が社会に浸透していた。現在はほとんどがキリスト教徒。腕木付カヌー,樹皮布,嗜好(しこう)飲料のカバなどの文化的特徴も見られる。
→関連項目アメリカ合衆国ソシエテ[諸島]トンガフナフティ[島]マオヒマオリミクロネシア[人]ラロトンガ[島]ローヤルティ[諸島]

ポリネシア

オセアニアの,ハワイ諸島,イースター島,ニュージーランドを頂点とする三角形に含まれる諸島からなる文化領域。名は〈多くの島々〉の意。ほかにサモアソシエテトゥアモトゥトンガクック諸島などの諸島群を含む。火山島,サンゴ礁,環礁からなり,住民はポリネシア人。
→関連項目ポリネシア諸語

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ポリネシア」の解説

ポリネシア
Polynesia

太平洋の島々のうち,ハワイ,ニュージーランド,イースター島を頂点とする三角形に含まれる島々の総称。太平洋地域をミクロネシアメラネシアとともに三つにわけた区分の一つ。ギリシア語で「多数の島々」を意味する。住民は,紀元前4千年紀後半にアジア大陸から移住してきたモンゴロイド集団であり,13世紀頃までに現在の地域にほぼ移住を終えたとされている。根栽農耕と漁撈が主たる生業である。移住の途中の経路であるメラネシア地域ではラピタと呼ばれる様式の土器をつくっていたが,その後は土器制作の習慣は失われた。首長制度が発達し,特にハワイ,タヒチ,トンガでは19世紀初頭にヨーロッパ人の助けもあって,それぞれ王朝にまで発達した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ポリネシア」の解説

ポリネシア
Polynesia

南太平洋のイースター島・ハワイ諸島・ニュージーランドを連ねる線の内側に位置する諸島の総称
原語は「多くの島々」という意味。原住民のポリネシア人は,東南アジアから渡来したといわれる。大航海時代以後,タスマン・クックらによって探検され,18世紀ごろハワイ・タヒチ・トンガに国家が発生した。19世紀にイギリス・フランス・ドイツ・アメリカ諸国に分割されたが,現在サモア・トンガ・ツバルは独立した。

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デジタル大辞泉プラス 「ポリネシア」の解説

ポリネシア

ヒュー・ロフティングによる児童文学作品「ドリトル先生シリーズ」に登場する言語の知識が豊富な高齢のオウム。

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世界大百科事典(旧版)内のポリネシアの言及

【オセアニア】より

…残りの数千を数える島々の総面積はわずか18万km2にすぎない。 大陸を除いたオセアニアの島々の世界は,通常地理学的および人類学的観点からメラネシアポリネシアミクロネシアの3地域に区分される。メラネシア(ギリシア語で〈黒い島々〉の意。…

※「ポリネシア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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