いれ‐ずみ【入墨・黥・刺青】
〘名〙
① 皮膚に傷をつけ、
墨汁や
絵の具で文字や模様などを彫りつけること。また、そのもの。ほりもの。文身。刺青
(しせい)。がまん。いれぼくろ。
※応永本論語抄(1420)
泰伯「身に龍蛇の形を入墨
(スミ)にすれば、
蛟龍恐れて不害と云」
②
刑罰の一つ。腕、足、額などに墨汁をさし入れて犯罪人の目じるしとするもの。
江戸時代には、
追放、叩きなどの刑に付加して行なわれた。
墨刑(ぼっけい)。
※玉塵抄(1563)一「墨刑はとがをした者の
かるいにはひたいに入
(いレ)墨をするぞ」
③ 遊里で、女郎と馴染み客が互いの名を「〇〇命」などと
二の腕に彫り込むこと。また、その文字。起誓彫りともいう。いれぼくろ。
※評判記・色道大鏡(1678)六「抑
(そもそも)いれずみをする心ざし、
断髪より高上のさたともいはれず、又、断髪の下の品にもをかれざる
所作なり」
※
浄瑠璃・
双生隅田川(1720)二「すずり引きよせ筆そめて、爰が眼と入れずみの」
[語誌](1)「
魏志倭人伝」には、
倭人が顔に
入れ墨をする旨の
記述があり、「
日本書紀」にも刑罰として入れ墨を施す旨の記述があって、
古くから行なわれていたことが分かるが、「いれずみ」の語はなく、
中世になって現われる。
(2)
江戸時代には刑罰の場合を「入れ墨」、自分から行なうものを、江戸では「彫り物」、
上方では「いれぼくろ」といった。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報