半田(読み)ハンダ

デジタル大辞泉 「半田」の意味・読み・例文・類語

はんだ【半田/×陀】

《語源未詳。地名からか》すずとの合金融点が低く、金属の接合に用いる。

はんだ【半田】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「半田」姓の人物
半田義之はんだよしゆき
半田良平はんだりょうへい

はんだ【半田】[地名]

愛知県南西部、知多半島東岸の市。清酒・酢などの醸造業が盛んで、さらし木綿を特産。人口11.9万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「半田」の意味・読み・例文・類語

はんだ【半田・盤陀】

  1. 〘 名詞 〙 鉛と錫(すず)の合金。融点が低いので金属どうしの接合に用いられる。半田鑞。
    1. [初出の実例]「つよき物のしなじな〈略〉しっくい。はんだ。むぎうるし」(出典:仮名草子・尤双紙(1632)下)

はんだ【半田】

  1. 愛知県中南部の地名。知多半島の東岸にあり、衣ケ浦湾に面する。江戸時代は廻船の拠点であり、醸造業・綿工業を中心に繁栄。現在は衣浦(きぬうら)臨海工業地帯の中心都市として重工業がさかん。昭和一二年(一九三七)市制。

はんだ【半田】

  1. 姓氏の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田(市)
はんだ

愛知県知多(ちた)半島東岸にある市。1937年(昭和12)半田、亀崎(かめざき)、成岩(ならわ)の3町が合併して市制施行。JR武豊線(たけとよせん)、名古屋鉄道河和(こうわ)線が通り、衣浦(きぬうら)湾対岸の碧南(へきなん)市へは海底トンネルが通じる。国道247号、366号、南知多道路が南北に走り、知多半島横断道路が通じる。半島中央の丘陵上を愛知用水が貫流し、酪農、花卉(かき)栽培が行われる。古くから清酒、酢、みそなどの醸造業が盛んで、成岩地区は知多晒(さらし)(知多木綿)が特産。酒造は江戸中期に始まり、海運業の発達とともに発展した。1957年(昭和32)半田、亀崎、武豊、大浜など衣浦湾内8港が統合されて重要港湾衣浦港となり、臨海埋立地には金属、機械、繊維、食料品などの工業地帯が造成された。そのなかにあって伝統工業の醸造、繊維業も着実な発展を続けているのが注目される。文化財も多く国指定の重要文化財常楽寺(じょうらくじ)の木造阿弥陀如来(あみだにょらい)立像、天王町の旧中埜(なかの)家住宅があり、重要無形民俗文化財(およびユネスコ無形文化遺産)に亀崎潮干(しおひ)祭の山車(だし)行事がある。面積47.42平方キロメートル、人口11万7884(2020)。

[伊藤郷平]

『『半田市誌』全6巻(1968~1977・半田市)』『『新修半田市誌』全3冊(1989・半田市)』



半田
はんだ

徳島県北西部、美馬郡(みまぐん)にあった旧町名(半田町(ちょう))。現在は、つるぎ町の北西部を占める地域。吉野川中流南岸に位置する。旧半田町は、1926年(大正15)町制施行、1956年(昭和31)八千代(やちよ)村と合併。2005年(平成17)貞光(さだみつ)町、一宇(いちう)村と合併して、つるぎ町となった。JR徳島線、国道192号が吉野川沿いを走る。享保(きょうほう)年間(1716~1736)に始まる半田塗の製造で知られ、最盛期の明治時代には東京、北陸などへ出荷したが、その後、衰退した。1989年に「半田漆器復活協議会」が発足、半田塗がふたたび製作されるようになった。手延べそうめんの製造が盛んで、茶、カキ、コンニャクの生産も多い。西部にある土々呂の滝(どどろのたき)周辺は遊歩道や親水公園が整備されている。

[高木秀樹]

『『半田町誌』全3巻(1978~1981・半田町)』

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改訂新版 世界大百科事典 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田 (はんだ)
solder

金属接合用に使われる鑞(ろう)合金を広く〈はんだ〉と通称するが,本来は鑞合金のうち融点の低い軟鑞といわれるものを指す。〈半田〉という文字が地名によるものか人名によるものかは明らかでない。代表的なものに鉛とスズの合金がある。鉛-スズ合金は,スズ63%,182℃に共晶点のある共晶型合金である。はんだとして使用されるものはスズ10~90%の組成にわたっている。一般にスズの多いもののほうが接着性がよいが,スズの量が多いため高価である。スズ90%のはんだは鉛が少なく毒性が低いので食料品に接するものなどに,スズ60%の共晶点に近いものは精密なものに,スズ50%のものは一般用に用いられる。はんだ付けの際には接合をよくするために金属のさびや汚れを落とし,酸化をさけるため接合面を塩化アンモニウムや松やになどの溶剤(フラックス)でおおって行う。はんだは広い範囲の金属の接合が可能であるが,アルミニウムとその合金の接合は困難なので,この場合は亜鉛合金鑞などが使用される。
鑞付
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半田[市] (はんだ)

愛知県知多半島東岸の市。1937年市制。人口11万8828(2010)。市域は西半部の知多丘陵と東半部の海岸段丘や低地からなり,市街地は衣浦(きぬうら)湾に臨む良港の半田港を中心に発達する。半田港は江戸時代に尾張の商船の拠点となり,地元に産する清酒,食酢,知多木綿などを江戸へ積み出した。現在は重要港湾衣浦港の中核をなし,衣浦臨海工業地帯に属する鉄鋼,車両などの工場も立地,1995年の製造品出荷額の20%は鉄鋼が占めている。伝統的な醸造業も活発で食酢は全国一の生産をあげ,知多木綿を基盤とする紡織も盛んである。1886年に東海道本線敷設用の資材を運搬するために建設された武豊(たけとよ)線と,1931年開通の名鉄河和(こうわ)線が通じ,名古屋市との結びつきが強い。愛知用水の完成後,乏水性の丘陵地では果樹,花卉の栽培や酪農が活況をみせている。亀崎潮干祭,大獅子・小獅子など多彩な郷土芸能が伝えられている。
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半田(徳島) (はんだ)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田
はんだ

徳島県中北部,つるぎ町北西部の旧町域。吉野川中流南岸にある。 1956年半田町 (1926年町制) と八千代村が合体して半田町が発足。 2005年貞光町,一宇村と合体してつるぎ町となる。大部分は山地,丘陵地で,中央を吉野川支流の半田川が北流する。江戸時代から漆加工が盛んで,明治時代には南の木地屋集落 (旧一宇村) の材料を用いた盆などが半田塗として東京,北陸方面へ出荷されたが衰退した。農業のほかに製麺業が発達し,手延べの半田そうめんとして全国的に知られる。土々呂 (どどろ) の滝,高清 (こうせ) の大杉があり,多聞寺では県の文化財の十一面観音像を収蔵。

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百科事典マイペディア 「半田」の意味・わかりやすい解説

半田[市]【はんだ】

愛知県知多半島東岸を占める市。1937年市制。中心市街は江戸時代の尾張商船の拠点港で,江戸との取引が盛んであった。古くから醸造食品(清酒,食酢,みそ,醤油)で知られ,成岩(ならわ)・乙川(おとがわ)地区には綿織物工場も多い。第2次世界大戦後は鉄鋼,輸送用機器,金属など重化学工業も発達し,衣浦(きぬうら)臨海工業地域の中心をなす。西部は愛知用水の受給地で,野菜・果樹栽培が盛ん。武豊線,名鉄河和(こうわ)線が通じ,衣浦港対岸の高浜市と衣浦大橋,碧南(へきなん)市と衣浦トンネルで結ばれる。47.42km2。11万8828人(2010)。
→関連項目非核自治体宣言

半田[町]【はんだ】

徳島県中北部,美馬(みま)郡の旧町。主集落は吉野川の支流半田川の段丘上にあり,徳島線が通じる。大半は山地で,カキ,コンニャク,茶を特産する。そうめんの生産で知られる。縫製などの工業も行う。かつては木地師が多く,漆器(半田塗)で知られた。2005年3月美馬郡貞光町,一宇村と合併し町制,つるぎ町となる。51.52km2。5602人(2003)。

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世界大百科事典(旧版)内の半田の言及

【河内国】より

…この結果,堤防・川床になってつぶれた土地は274町歩,石高3700石余,新しく開かれた新田は鴻池新田をはじめ48ヵ所に及び,1063町歩,石高1万0950石余であった。 古大和川の流域には〈半田(はんだ)〉という特有の耕地形態があった。湿田の中に土をかきあげてつくった畠をいい,半田では表作に綿,裏作に麦をつくり,低い方の湿田は排水不良のため稲の一毛作のみであった。…

【亀崎】より

…海運業者は西洋型帆船や汽船を取り入れ,海運の近代化を図ったが,それは困難な道であった。1937年半田町,成岩(ならわ)町と合併し,半田市となった。【村瀬 正章】。…

【鑞付】より

…銀鑞の場合は600~900℃で物理的性質が良い。軟鑞は普通はんだ,白鑞と称され,スズ(錫)と鉛の合金をいい融点は180~300℃で物理的性質が悪いが,手軽に接合できるので多く用いられ,われわれの周囲にもよく見うけられる。硬鑞には金鑞,銀鑞,シンチュウ(真鍮)鑞,洋銀鑞,四分一(しぶいち)鑞,赤銅鑞,サハリ鑞,銅鑞などがあり,古くは銀鑞が使用された。…

※「半田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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