占める(読み)シメル

デジタル大辞泉 「占める」の意味・読み・例文・類語

し・める【占める】

[動マ下一][文]し・む[マ下二]
あるもの・場所・位置地位などを自分のものとする。占有する。「三賞を一人で―・める」「国際経済の中で重要な役割を―・める」「業界トップの座を―・める」「連番座席を―・める」
全体の中である割合をもつ。「賛成過半数を―・める」「ビルの八割をテナントが―・める」
(「味をしめる」の形で)体験して、うまみを知る。良さを知って、次を期待する。「一度味を―・めたらやめられない」
《自分のものにするところから》食べる。
すき焼きを―・めたあとで、ねぎの湯どおしをあがってごろうじろ」〈魯文安愚楽鍋
ある才能性質などを備える。
いとあはれと人の思ひぬべきさまを―・め給へる人柄なり」〈浮舟
[類語]占有占領占拠領する持つ有する擁する所持保有現有領有具有私有民有公有国有官有共有専有所有享有所蔵収蔵私蔵秘蔵愛蔵死蔵退蔵珍蔵

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「占める」の意味・読み・例文・類語

し・める【占】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]し・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. (しめ)を張って自分の占有であることを示し、他人の立入りをとめる。自分の領有とする。所有物にする。
    1. [初出の実例]「妾、葬む所を知らず。願はくは良き地(ところ)を占(シメ)たまへ」(出典:日本書紀(720)雄略九年五月(前田本訓))
  3. 居所として定める。自分の敷地とする。その土地に住む。
    1. [初出の実例]「山里ののどかなるをしめて、御堂をつくらせ給ひ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
  4. 身にそなえる。ある地位や物事を自分のものとする。
    1. [初出の実例]「いみじく、言ふにはまさりて、いと、あはれと、人の思ひぬべき様を、しめ給へる、人さまなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  5. ある物を一杯にする。満たす。
    1. [初出の実例]「その後成る可くあの異人から遠ざかってゐるやうにとの遠慮が私の心を占めるのは」(出典:アリア人の孤独(1926)〈松永延造〉二)
  6. 全体の中で、ある位置、比率、価値などを有する。
    1. [初出の実例]「Sの眼には、青空がまばゆいばかりに広がり、位置を占めている」(出典:月暈(1953)〈島尾敏雄〉)
  7. しめる(締)

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