四字熟語を知る辞典「呉越同舟」の解説
呉越同舟
[使用例] 死出の旅を共にする仲間として、広田にとって、残りの六人は、あまりにも異質であった。呉越同舟とはいうが、にがい思いを味わわされてきた軍人たちに、最後まで巻き添えにされ、無理心中させられる恰好であった[城山三郎*落日燃ゆ|1974]
[使用例] まあ日ごろはライバル同士でいがみ合っていても、せめて山へ来たときぐらいは仲良くしようということで、呉越同舟でめしを食おうとしたところに、局長のお姿をお見かけしたのです[森村誠一*日本アルプス殺人事件|1972]
[解説] 中国の春秋時代、呉の国と越の国とは何度となく争っていました。現在でも知られるエピソードが多く生まれましたが、そのひとつが兵法書「孫子」の一節に顔を出しています。
呉の人と越の人は、当然、反目しあっていました。ところが、両国の人が同じ舟に乗り合わせ、しかもその舟が嵐に遭ったときには、両国人は左右の手のように協力して対処するというのです。
現在では、ライバル企業同士が合併を果たしたような場合、「呉越同舟」と形容されます。「水と油でうまく合わない」という意味でも、元のライバル同士が協力しあうという意味にも解釈されます。
姉妹都市の市民同士のように、仲がよくて対立がない場合、「呉越同舟」とは言いにくい感じです。一方、野球のチーム同士のように、いくら双方のメンバーの仲がよくても、基本的にライバルである場合は、「呉越同舟」が使えます。「呉越同舟」と表現しようとする場合、双方の関係を確認する必要があります。
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