危ない(読み)アブナイ

デジタル大辞泉 「危ない」の意味・読み・例文・類語

あぶな・い【危ない】

[形][文]あぶな・し[ク]
災いが起こりそうである。危険だ。「―・い遊び」「―・い目に遭う」
すぐにだめになりそうである。消滅破産・死などの状態が近い。「経営が―・くなる」「命が―・い」
見通しが暗い。あてにならない。「明日の天気は―・いようだ」
信頼の度が薄い。不確かだ。「その話は―・いなあ」
不安定だ。「―・い足どり」
[派生]あぶながる[動ラ五]あぶなげ[形動]あぶなさ[名]
[用法]あぶない・あやうい――「危ない」は、「夜のひとり歩きは危ない」のように悪い結果になる可能性が高い場合に使われ、「危険だ」も同じ意味で使われる。◇「危ない」には、信頼度が低い、確実ではない、の意もある。「合格できるかどうか危ないものだ」など。◇「危うい」には、ぎりぎりのところで、という気持ちが込められる。「危うく遅刻するところだった「危ういバランスで成り立っている」など。◇「ところ」などを付けた形「危ないところを助かった」「危ういところを助かった」の場合では、両者とも用いられる。
[類語]危うい危険危難危機危殆きたい危地虎口ここうピンチ物騒剣呑けんのん苦境窮地窮境窮状難局羽目険しい不穏際どいやばいきな臭い呉越同舟一触即発風前のともしび薄氷をふむ風雲急を告げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「危ない」の意味・読み・例文・類語

あぶな・い【危】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あぶな・し 〘 形容詞ク活用 〙 望ましくない結果が予想されて気がかりな状態をいう。
  2. 危害または損害を受けそうで気がかりだ。はらはらさせられる。危険だ。
    1. [初出の実例]「内裏ちかき火の事ありてすでにあぶなかりしかは」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前)詞書)
    2. 「やれやれあぶなひ事をした、是はめでたいかみのかたひなべじゃほどに」(出典:虎明本狂言・鍋八撥(室町末‐近世初))
  3. じきにだめになりそうだ。死、破産、消滅などの状態に近づいている。
    1. [初出の実例]「存命あぶなく見えければ」(出典:古今著聞集(1254)一五)
  4. 望むことが実現するかどうかわからない。確実ではない。あてにならない。
    1. [初出の実例]「小癪(こしゃく)娘の有る内へ、同じ小癪な若旦那、差置まするも〈略〉危(アブナ)いものと存れど」(出典:歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕)
  5. 好ましくない状態が今にも起こりそうだったという気持を表わす。→危なく
    1. [初出の実例]「ヤレヤレひやいな目にあふた。肝魂が天井持(てんじょもち)したはい。既のことに、向ひの岩で天窓(あたま)浮雲(アブナシ)ぢゃ」(出典:滑稽本・大千世界楽屋探(1817)上)
  6. 安定していない。「危ない足どり」
    1. [初出の実例]「調子あぶなく、何やら弾いて居る四十あまりの盲女」(出典:門三味線(1895)〈斎藤緑雨〉四)

危ないの語誌

( 1 )古くは、明確に危険が感じられるさまを意味して、対象が自壊しそうで不安である意の「あやうい」とは区別されていたらしい。「日葡辞書」には両形あるが、やや特殊な例以外「あぶない」が専ら用いられるなど、実際には「あぶない」がより一般的だったと思われる。
( 2 )現代語では、「あぶない」と「あやうい」はほぼ同義であるが、「あやうい」は文章語的で、副詞的な「あやうく助かった」など、かろうじての意に用いられることが多い。

危ないの派生語

あぶな‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙

危ないの派生語

あぶな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

危ないの派生語

あぶな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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