(読み)イワオ

デジタル大辞泉 「巌」の意味・読み・例文・類語

いわ‐お〔いはほ〕【×巌】

高く大きな岩。
[類語]岩石巨岩岩根磐石奇岩岩壁大石・奇岩怪石・一枚岩岩肌

がん【巌〔巖〕】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ガン(呉)(漢) [訓]いわお いわ
ごつごつした大きな石。岩。「巌窟がんくつ・巌石/奇巌巨巌
岩穴。岩屋。「巌棲がんせい
ごつごつしてけわしい。「巌巌
[名のり]お・みち・みね・よし

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精選版 日本国語大辞典 「巌」の意味・読み・例文・類語

いわいは【岩・磐・巖】

  1. [ 1 ]
    1. 石の巨大なもの。地殻を形づくっている堅い物質。それが地上、または海中などに露出している場合や、その断片をもいう。岩石。岩礁。いわお。
      1. [初出の実例]「梯立(はしたて)の 倉梯山(くらはしやま)を 嶮(さが)しみと 伊波(イハ)(か)きかねて わが手取らすも」(出典:古事記(712)下・歌謡)
      2. 「南に懸樋(かけひ)あり。いはを立てて水を溜(た)めたり」(出典:方丈記(1212))
    2. の類を材料にして作ったもの。
      1. (イ) 船の碇(いかり)。石に穴をあけたもの、網袋に入れたもの、木に石をくくりつけたものなどがある。「万葉‐二七三八」にも「いかり」を「重石」という文字で表わした例がある。
        1. [初出の実例]「いはおろすかたこそ無けれ伊勢の海の塩瀬(しほせ)にかかる蜑(あま)の釣舟〈藤原俊忠〉」(出典:千載和歌集(1187)雑上・一〇四三)
      2. (ロ) 漁網の裾につけるおもり。古くは石を用いた。
        1. [初出の実例]「人知れぬ身のみ思へば牛窓(うしまど)に引き干す網のいはで過ぎぬる〈隆実〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)三三)
    3. 能楽の作物(つくりもの)の一つ。竹籠前面だけに緞子(どんす)を張り、内側から仕手、龍神などが出る仕掛けになっている。
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙
    1. 名詞や動詞の上に付いて、そのものが堅い、丈夫な、永続するものであることを示す。「いわたたす(岩立)」「いわふね(磐船)」など。
    2. 人情を解しない意を表わす。「いわおんな(岩女)」など。

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普及版 字通 「巌」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 20画

(旧字)巖
人名用漢字 23画

[字音] ガン・ゲン
[字訓] いわ

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は巖に作り、嚴(厳)(がん)声。〔説文〕九下に「岸なり」とするが、巖・嵒は同声。山巌をいう字である。嚴は山巌を聖所として、そこで鬯(かんちよう)を行う意。敢はその鬯酌の象。古くから岩場は聖所とされた。(けん)は祝告を列する形である。

[訓義]
1. いわ、いわお。
2. いわば、がけ、巌穴、巌窟、あな。
3. ふかい、けわしい。

[古辞書の訓]
和名抄〕巖 伊波保(いはほ)〔名義抄〕巖 イハホ・ミネ・ケハシ・フカシ・ツク・スル 〔字鏡集〕巖 イハホ・イハヤ・ミネ・ケハシ・フカシ・ツク・スル・アラシ

[語系]
巖・嵒ngeamは同声同義。ただ、巖は聖所で厳修される儀礼を背景とする字、嵒は岩の累積する象(品)に従う象形の字である。また、岸ngan、垠ngin、ngakはそれぞれ地形によっていう。

[熟語]
巌阿・巌隠・巌雨・巌影巌楹・巌煙・巌屋・巌下巌窩巌罅・巌崖巌壑・巌巌・巌岸巌巍・巌客・巌居・巌曲巌吟巌嶇・巌窟・巌巌谿・巌径巌景・巌隙・巌穴・巌軒巌険・巌口・巌岡・巌光・巌谷・巌根・巌際巌趾・巌寺・巌・巌樹巌岫・巌処・巌障・巌巌牆・巌上・巌棲・巌栖・巌石・巌雪・巌前・巌阻・巌・巌側・巌沢・巌端・巌・巌中・巌底・巌庭・巌巓・巌電・巌・巌頭・巌磴・巌竇・巌洞・巌瀑・巌畔・巌扉・巌腹・巌壁・巌辺・巌房・巌木・巌末・巌・巌幽・巌邑・巌窈・巌腰・巌・巌籟・巌巒・巌溜・巌稜・巌嶺・巌麓・巌隈
[下接語]
倚巌・陰巌・隠巌・雲巌・遠巌・怪巌・寒巌・危巌・奇巌・巌・窟巌・古巌・孤巌・高巌・鑿巌・山巌・嶄巌・巉巌・樹巌・峻巌・松巌・岑巌・深巌・翠巌・巌・崇巌・青巌・石巌・絶巌・千巌・巌・蒼巌・層巌・巌・断巌・長巌・重巌・破巌・攀巌・盤巌・碧巌・峰巌・幽巌・緑巌・林巌

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「巌」の解説

いわお【巌】

群馬の日本酒。酒名は、日露戦争の満州軍総司令官・大山巌元帥に由来。大吟醸酒、純米吟醸酒、本醸造酒、普通酒がある。味わいは辛口。原料米は山田錦、美山錦など。仕込み水は自家井戸水。蔵元の「高井」は享保14年(1729)創業。所在地は藤岡市鮎川。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

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