和歌山県中西部、紀伊水道に面し日高川河口の日高平野にある市。1954年(昭和29)御坊(ごぼう)町と湯川、藤田、野口、名田(なだ)、塩屋の5村が合併して市制施行。JR紀勢本線(きのくに線)、紀州鉄道、国道42号、425号が通じ、阪和自動車道・湯浅御坊道路の御坊、御坊南両インターチェンジがある。中心の御坊は、1532年(天文1)土豪湯川氏が石山本願寺証如(しょうにょ)に請うて西本願寺御坊(日高別院)を現在の日高郡美浜町に建立、1595年(文禄4)当地に再建されてからその門前町として発達した。河口の日高港は江戸時代中ごろには日高廻船(かいせん)で栄えた。熊野街道の渡津宿場でもあり、また日高川流域の木材を集散し、製材、製紙をはじめ、酒、綛糸(かせいと)、日高織などの生産が発達した。現在も紡績、化学の小工場があり、木材産業やプラスチック成型などが盛ん。近年、平野部や名田の海岸段丘に灌漑(かんがい)事業が進み、花卉(かき)などの施設園芸が広がっている。沿岸漁業も行われている。また塩屋海岸には、日本初の外海(太平洋)に人工島方式で建設された関西電力御坊発電所がある。近くの道成寺(どうじょうじ)(日高川町)、煙樹ヶ浜(えんじゅがはま)(美浜町)、日ノ御埼(ひのみさき)(美浜町)などへの観光基地でもある。面積43.91平方キロメートル、人口2万3481(2020)。
[小池洋一]
『『御坊市史』4冊(1979~1981・御坊市)』
和歌山県中西部,日高川河口にある市。1954年御坊町と湯川,藤田,野口,名田,塩屋の5村が合体,市制。人口2万6111(2010)。県第二の広さをもつ日高平野(御坊平野)の大部分を占める。阪和自動車道のインターチェンジがある。御坊の名は,1595年(文禄4)日高川河口に4町四方の土地を得てつくられた日高御坊(浄土真宗本願寺派本願寺日高別院)を中心とする寺内町に由来する。近世には,流域からいかだによって集められた木材や周辺農村で産する綿花,ハゼ,カンショなどの集散地として発達した。町内では多くの問屋が廻船業も営み,その繁栄は屋敷の残る古い町並みにうかがえる。現在の主産業は製材・木工業とプラスチック工業で,火力発電所を設置し,電子産業の誘致を進めている。市の南部の海岸段丘では,温暖な気候を利用して畑地灌漑による蔬菜栽培が盛んである。紀勢本線御坊駅が中心市街の北2kmに置かれたため,紀州鉄道(全長3.4km)が両者の間を結んでいる。道成寺が市の北部にある。
執筆者:水田 義一
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…三昧(墓所)の庵室に居住し,火葬や埋葬,墓所の管理などにあたった俗聖。一般に墓守,御坊(おんぼう)(隠坊)などと称される。墓所が三昧とよばれるようになってからの呼称であろうが,文献上の初見は15世紀はじめに書かれた聖聡の《浄土三国仏祖伝集》で,〈薩生法眼,三昧義を立つ。…
※「御坊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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