曇(り)(読み)クモリ

デジタル大辞泉の解説

くもり【曇(り)】

雲で空が覆われている状態。気象用語としては雲量が9以上、視程1キロ以上で、降水や雷のない状態の天気をいう。
透明なものや光をよく反射するものなどが、曇ってぼんやりすること。また、その状態。「眼鏡の曇り
気持ち、また表情などが、明るさを失って沈むこと。わだかまりがあること。
「満面の―は拭(ぬぐ)い消されなかった」〈魯庵社会百面相
公明でないこと。うしろぐらいこと。「雲りなき身」
[下接語](ぐもり)朝曇り雨(あま)曇り薄曇り内曇り卯(う)の花曇り潮曇り霜曇り高曇り棚曇り・花曇り春曇り本曇り夕曇り雪曇り

どん【曇】[漢字項目]

常用漢字] [音]ドン(呉) タン(漢) [訓]くもる
空がくもる。「曇天晴曇
[難読]悉曇(しったん)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

くもら・す【曇】

[1] 〘他サ五(四)〙
① 曇るようにする。雲がかかったようにする。はっきりしないようにする。
※羅葡日辞書(1595)「Inuoluo〈略〉cumorasu(クモラス)、クラクナス」
※珊瑚集(1913)〈永井荷風訳〉九月の果樹園「炎暑は地平線をくもらしたり」
② 顔や声などを、心配そうな、また、悲しげなさまにする。
※内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉九「寔(まこと)に遺憾至極。残念だ、と声を曇(クモ)らして」
③ 考えなどを不明確なものにする。判断力などを鈍らせる。
※人間と真実の問題(1938)〈窪川鶴次郎〉続・島木健作論「生活における叡智を却って曇らしているような知識は」
④ 能楽で、面をうつむかせる。うれい、嘆き、思慕などの表情を表わす型。⇔照らす
[2] 〘他サ下二〙 ⇒くもらせる(曇)

くもら‐・せる【曇】

〘他サ下一〙 くもら・す 〘他サ下二〙 =くもらす(曇)(一)〔和英語林集成(初版)(1867)〕
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「僕の心には世間と云ふものに曇らせられん一片の誠がある」

くもらわくもらはし【曇】

〘形シク〙 (「くもらう」の形容詞化) 曇った様子をしている。くすんでいる。おぼろげなさまである。
※源氏(1001‐14頃)蛍「夕闇過ぎて、おぼつかなき空のけしきのくもらはしきに、うちしめりたる宮の御けはひも、いと艷なり」
くもらわし‐げ
〘形動〙
くもらわし‐さ
〘名〙

くもり【曇】

〘名〙 (動詞「くもる(曇)」の連用形の名詞化)
① 空が曇ること。雲が空をおおっていること。どんよりと暗いこと。とくに、気象の用語としては、雲量が九以上で降水のない天気状態をいう。そのときの最多雲量が上層雲の場合を薄曇り、中層雲の場合を高曇り、下層雲の場合を本曇りと呼ぶ。曇天。
※東大寺本大般涅槃経平安後期点(1050頃)二四「明了にして翳(クモリ)无し」
② 透き通っていないこと。光や色などが鮮明でないこと。ぼんやりしていること。
※拾遺愚草(1216‐33頃)上「うつすともくもりあらじとたのみこし鏡のかげのまづつらき哉」
③ 心がきれいに晴れないこと。心にわだかまりがあること。物事にとらわれて悟りの境地を開けないこと。また、そのために顔や声などにかげりのあること。
※碧巖雷沢抄(1533)九「著語擬心即差、動念即隔、心念纔にも生ぜばくもりよ、仏眼也」
④ 公明でないこと。うしろぐらいこと。嫌疑。
※古活字本毛詩抄(17C前)一七「成王の徳が高く明なちっともくもりもないぞ」

ど・みる【曇】

〘自マ上一〙 ど・む 〘自マ上二〙
① 色がどんよりする。光沢がなくてどんよりとくもる。にごる。
※清原国賢書写本荘子抄(1530)一「地金のどみて黄なは、刃のやうにきれんためではないぞ」
② 目がどんよりする。くもる。にごる。
※評判記・満散利久佐(1656)玉鬘「目もと、どみて、顔たち、ぬかりたり」
[補注]連用形「どみ」の例しか見られないので、四段活用で終止形は「どむ」とする説もある。

ど・む【曇】

(ほとんどが連用形で、活用未詳。マ行上二段か。一説にマ行四段とも) ⇒どみる(曇)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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